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顔、声、編曲、センス、"アンテナ"に恋に落ちない女子はいない

 やっほー、恋するサブカル女子のみんな。今日も趣味の悪い恋愛してるかい。

 恋が走り出すにあたって、最も大事な要素とは何だろう。性格?センス?年収?違うよね。みなさんご存知の通り、そう。顔だ。

 いくら性格が良かろうが、センスが冴えていようが、年収が高かろうが、前戯が丁寧だろうが、顔面がモンスターダンスしていたらば恋もスタートラインにすら立ってくれないのだ。

 これは就職活動に似ている。いくら面接に強かろうが、実際に仕事がバリバリにできようが、最終学歴が私立小鳥の世話第二中学では書類審査でアウト。まずは顔。そこを通過してやっとほかの要素が求められてくるのだ。男は中身じゃないかもしれないが、箱の外見があまりに汚くては、その中身も覗く気になれない。

 あなたが泉に落としたのは、この金の[Alexandros]ですか?それとも銀のサンボマスターですか?金?自分に正直者のあなたには

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 アンテナ渡辺諒を差し上げましょう。

顔じゃない

 で、その顔よりも曲が良い。なにこの声。キュン。

 正直なことを言うと、僕は逆にルックスで敬遠していたクチで「見た目通りの邦楽ロックバンドなんだろ!」と思って聴いたら一発で心射止められてしまった。ヤダ、超正統派じゃない…

 最近までバンドシーンは、音圧バキバキのポップチューンにズイズイ寄って行っていたんだけれど、アンテナのサウンドはその逆。この曲だけ四つ打ちだけれど、別にダンスビートに拘っているというわけでもなく、蓋を開けてみればバンド編成らしい音詰めのバンドポップ。ルックス以上に上品な音を鳴らしている。

「最近まで」と書いたが、メジャーシーンはともかくインディーズシーンでは音圧バッキバキのザ、ダンスロック!みたいなバンドはみんなさすがに飽きてきたらしく、以前のブーム反動からかここ半年前くらいから音圧控えめの正統派バンドに人気が移行し始めてるイメージ。

 そういうところを狙ってか、もしくは天然か、アンテナのポップサウンドはまさにの部分にぶっ刺さっている。ヤダ、優しい… ダンスにちょっと疲れはじめた人たちにはジャストの温度感で優しい。

 

 声質的にスピッツを思い出す人も多いんじゃないだろうか。独特の歌声を武器にシンプルな構成で攻める感じは確かにスピッツなんだけれど、メロディセンスや編曲、リズムパターンはとっても現代的。

 今のバンドシーンで育って、ライブハウスで暮らしてきた匂いがあってそういう部分が若いファンを惹きつける要因になっているんじゃないか。

 スピッツと言ったら、もしかしたら歌詞の感じとかは草野マサムネとちょっと通ずるところがあるのかもしれない。

イケない帰り道の25時
隠れて吹く口笛ヒューヒューと
怖さも不安も支配した気で
ついでにあなたのこと支配して

 この突然豹変する感じ。完全にDV男だ。

 スピッツの歌詞も急にエッチになったり、透き通った声でゾッとするようなことを口走ったり、そういう油断ならなさを秘めている。人間、歌声があんまりにキレイだとバランスを取ってそういうことを言いたくなるのか。このちょっと危険な感じにも乙女胸キュン。マズい。渡辺諒絶対に変な性癖持ってるもん。

 

 このバンドに文句をつけるとしたら演技力がなさすぎることか。どうした、不器用か。

 僕は知っている。女はこういうお茶目が好き。顔が良かったらなおさらだ。でも僕の方が渡辺諒好き。負けねえぞ女オラ。

 本人たちは「ひねくれ歌ものバンド」を自称しているけれど、こんなに正統派にポップソングを歌ってくれるバンド今日び珍しい。そういう意味でひねくれものってことなのか。

 でもしっかり最近のバンド音楽のリスナーたちが求めている要素は押さえていて、"邦楽ロックバンド"という枠組みの中からちゃんと外れずにオリジナリティも忘れない、そういうバランス感覚が絶妙な稀有なバンドだろう。

 どうですかサブカルクソ女のみなさん。恋するならアンテナ、オススメです。

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