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なぜ女たちは元カレのことをバンドマンにしたがるのか

 バンドマンって、何だい。

 言葉の意味としてはもう文字通り「バンドをしてるマン」を指す言葉なのだけれど、最近ではなぜかバンドマンであることがステータス、という社会構造が出来上がりつつあり誰も彼もがバンドマンを自称するようになったと思われる。冷静になってくれ、バンドマンって、法的にはフリーターのことだぞ。

 奇特な例になってくるとライブどころか最悪バンドを組んですらいないのにもかかわらず、家で拙いエレキギターを撫ぜるだけの大学生すら自信満々にそれを自称する。女が言う「バンドマンの元カレ」っていうは大体コレ。浅野いにおが産み落とした闇の落とし子たち。今すぐ本棚のソラニン上下巻は庭先で燃やせ。DVDの方はダイオキシンが出るから燃やすな。

 ではなぜ、女たちはその"ただの大学生ないしフリーター"たちをバンドマンに仕立てあげたがるのか。

 今回は、そんな浅野いにおが撒いた種が芽を出す前に摘み取る為に筆を握った次第だ。


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バンドマンの元カレというファッションアイテム

 言葉狩りから始まったこの記事、冒頭のギターがちょっと弾ける男たちをバンドマンじゃない!と断じたとして、じゃあ僕らが思い描く最もスタンな形のバンドマンとは一体どういう人たちなのだろうか。

 KEYTALK?BUMP OF CHICKEN?ドラゲナイ?そうだね、違うよね。彼らはもうスターだ。

 僕らが、いや"元カレや彼氏のことをやたらバンドマンとして扱いたがる女たち"が胸に抱くバンドマン像っていうのはそうじゃないのである。彼女たちが「いやバンドマンの元カレがさあ…」と語り部のような面持ちで口を開くとき、その"バンドマン"の五文字に具備されるノスタルジーは上記のようなスターたちにはもはやないものである。

 彼女たちが求めるバンドマン像、それは「そこそこ固定客がいて且つ大人気ではなく、もしかしたら売れるかもしれない」という状態だ。最高にヘルい。希望があるという逆説的な地獄。そこに身を落とすことが最高にクール。そういったニヒリズム文学の価値観である。

 モノで溢れた21世紀に暮らす僕らには、もはやファッションは身に纏うだけに留まらない。

 DV経験、行為中の首締め、不純異性交遊、それが全てが憂いの演出。L(B)GTをわざわざプロフィールに書く大学生はだいたいバイじゃなく積極的に男好き。Now Testify.田島陽子の陰部を舐めろ。

 そのノスタルジックな雰囲気を醸しだすのに「バンドマンの元カレ」はうってつけ、最高のアイテム。ヴィヴィアンウェストウッドのキーケースよりも彼女たちのマストバイだ。彼女たちの心の木下理樹がダウナーガールを演出するのだ。鍵アカウントで一生木下理樹と五十嵐隆とバンドマン崩れの元カレの話を、貶し崇め老い死ぬのである。

 

バンドマンとフリーターのボーダー

 じゃあフリーターや学生とバンドマンの境界ってどこだ?と考えた時、思い浮かぶかなり厳しめのボーダーラインは

「キャパ100の箱でワンマンできるか」

 これですね。かなり厳しい。もうちょっと緩めにするのであれば「友達の売れてるバンドのワンマンの出口で自分のバンドのフライヤーを配ったりしてる」とかか。文字に起こしててこんなに生臭い字並び初めてだぜ。たまんねえ。

 しかし厳しいが故に、この条件を満たすようなバンドをやっている人間は十中八九後が無い。人生がヒリついている。もうバンドがうまく行かなかったら地元に帰って一生非正規雇用である。

 だからばこそ、そういう状況下にある人間はたいていの場合ギリギリよ。この規模だとバンド収入って差し引きほぼゼロだしね。

 バンドなんかまともにやると時間と金を食い過ぎてな、遠征なんかするようになると正社員の身では厳しかったりもする。20代前半をそうしてバンドに捧げている人間に金なんかあるはずもなく、たいていの場合彼女やメンバーと一緒に暮らしたりして生活費をなんとか浮かしている。
「クズめ!」
とオジさんたちの声が、全員からミュートされているツイッターアカウントから聞こえてきそうだが、そのクズ性こそ非現実的な現実性というヤツであり、浅野いにおとクリープハイプが定義した新たな価値観である。それは場末のライブハウスのスモークのように希薄だ。しかし、彼女たちの価値観を変容させるには十分だったらしい。

浅野にも尾崎にも勿論罪はない。賢い成功者たちである。ただ、結果として「バンドマンの元カレに振り回される人生イズ、クール」という荒んだ価値観を21世紀に再定義したのは彼らで間違いないのである。

 

バンドマン需要

「バンドマンの男はクズだから〜」

 と声高々におっしゃる女性のみなさん、あなたの元カレはバンドしてましたか。してないなら空虚だし、してたなら最悪。死の両面待ち。

 上のボーダーラインをJISとするのであれば、言わずもがな該当者というのは本当に本当に少ない。バンドマンの元彼女がバンドマンの実数の200倍はいる現象。1人あたり10人元彼女がいたとしても無理。バンドマンが全員山田亮一でも無理。絶対無理。

 ここで外せないのは

「でも結局バンドマン好きなんだよね〜」

 そんな、下北沢の泥のようなウーロンハイの味がするワードだ。

 先程も述べたように、バンドマンの元カレというのは彼女たちの悲劇のヒロイン欲求を的確に刺激する最高にオシャなアイテム。故に奴らも奴らで、バンドマン風のよく見ればバンドマンじゃない元カレをバンドマンと偽装するクロックスのような案件だけでは飽き足らず、積極的に本物を獲得に行っているらしい。

 モテるバンドマンとの荒んだ交際がクール→バンドマンと付き合ってたって言いたい→バンドマン需要発生→バンドマンがモテる

 日本経済か?しかし彼女たちが掴むのはやっぱりフェイク。バンドマンと付き合いたいポーズを取れば取るほどバンドマンじゃないなんかよくわからん楽器が弾けて髪が長くてイケメンでしかも正社員みたいな奴と付き合うハメになるのである。オイお幸せに。

 

バンドマンがクズというよりは、クズなバンドマンを引き寄せている

 自らガードを下げてバンドマンという右ストレートを積極的に待つバトルスタイルで闘うのだからば、当然何発も良いのを顔に貰うわけだ。その上で

「バンドマンの男はクズだから〜」

 といかにもバンドマンにウケそうなボブヘアで宣う女ね。そりゃお前、その釣り方で釣りしてたらそういうサカナしか釣れないのは当然だろうと。「自分と付き合うようなやつと付き合いたくない」論で考えればわかりやすい。クズ釣り場でクズの好きな餌でクズ釣ってたらばクズが釣れるに決まってんだろ。むしろ鯛が釣れたら自治体に問い合わせろ。

 バンドマン(?)と付き合って浮気された!!と嘆かれてもだ、柳は緑、花は紅。付き合う前から明らかな話だっただろうと。でもそれでもそれがそこかしこで語られるのはやっぱり「バンドマンの元カレ」というファッション性と「浮気」というトークテーマの話題性なんだろう。ナルホド。

 そんな話はもう何年も前に耳にタコなので訊いても肴にならんのですけれど、レアケースとして
「5年付き合ったバンドマンに400万の結婚詐欺に遭った」とか
「毎月無心されていたスタジオ代が他の女とのホテル代だった」とか
そのくらいグラインドコアな経験に基づいた味わい深い話も稀だが、ある。これは金を払ってでも訊きたい。

 薄暗い照明の中楽器を演奏する姿、大体かっこいい。しかも付き合ってた事が逆にステータスになると来たものならば、惹かれてしまうのも仕方ないと言える。

 しかしガチのバンドマンとガチの交際をするとファッションにならないくらいのガチのノスに人生ぶん殴られるぞ。楽器弾き男をバンドマンに偽装するぐらいが、一番賢いのかもしれない。

 納得いただけましたでしょうか。それでは。

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