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ちょっと最近のクリープハイプ、ヤバくない?

 この度はどうも、アクセスありがとうございます。今後とも末永くどうかよろしくお願いします。

 

 こういうこと言って、そういう顔して、そんな姿勢でいれば大抵大きく波風は立たない。なので、世の中の有名人はファンの皆さんに対してそういったことを言う。というか、言わされる。環境に、状況に、立場に。

 だけどハラの中で本当にそんなこと思っているのかどうかは別。みなさんも、先生に、バイトの先輩に、取引先に「ごめんなさい」とか「どうかよろしくお願いします」とか、言う事くらいあると思うんですけど、口から出てる音と頭の中に表示されてる文字って毎回は一致しないですよねそういう時。

 心の底から本気でいつも誰かに感謝したりできるヤツなんか、本当に一部の天才だけだと思うんです。ましてや、有名になれるほどの才能を持った人間に、そんな才能まで備わっていることなんか稀も稀。毎ライブ毎ライブ、定型文みたいなアツい感謝を述べるバンド俺は嫌いです。すごく嫌い。アツいほどサムい。そう奴ほど女から金借りてるし。

「みんなには悪いけど今日はどうにも気が乗らねえから次に期待して」

 ぐらい正直に言ってしまうようなバンドの方が好きです。人間らしいヤツの方が、好き。

 俺なんとなくインスタとか嫌いなんですけど、あれって日常の綺麗な部分を無理やりに作り出して切り取って「これがワタシの毎日デス!」みたいな。嘘で固めて作った見栄見せられてるみたいな気持ち悪さがあるんですよね。

 そんで、多くのバンドに対しても俺はそういうことを思っている。うっそクサ。歌詞も言動もツイート一つとっても、全部臭い嘘臭い。シュッ!ってファブリーズかけたら消えちゃいそうなバンドばっかり。いや、かけたら会社ごと消えそうなレーベルとかあるな。ラストラムあたりにぶっかけてみようかな今度。

 そう思えば最近のクリープハイプはすごい。その立場で、その地位で、この時代で、よくそんなに尖がっていられるなと。90年代のロックバンドでももうちょっとさ、ロックと商売を握手させてたじゃん。

 帝一の國の主題歌になった上の曲、イト。糸と意図。そういうレトリックで進行する曲。なんだけれど、軽快なイントロ、ポップなメロディ、前向きなサビ、そういう所で猫被っておいて、薄皮一枚剝いだら皮肉の塊のような歌詞がギチギチに詰まってる。モリッシーが日本語読めたら絶賛してるでしょうねきっと。

 タイアップ先のことなんか、ちょんと掠っただけでガン無視。中身はたぶん、メジャーレーベルと自分たちのこと、自分から進んでビールを飲める年齢にならないとわかんないような踏み込んだ恋愛詞、あと社会風刺。

 中田ヤスタカなんかはもう本当に「嫌味か?」と邪推するほどタイアップに媚び媚びの歌詞を書く。そういう意味でプロだけれど、今回の尾崎世界観は真逆だなと、こんなデカいタイアップで完全に自分の歌いたいことに突っ走ってる。これもプロ。両方超かっこいい。

 

 最近のリリース全部良いんですよね。

 

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 MVに他のバンドマン使ったり、他のバンドマンを迎え入れた曲を収録してるところ以外、全部好き。よく知らないで「もうすぐ着くから待っててね」の最後の曲聴いたら急に谷口鮪入って来て一回曲止めました。ハッピーセットのつもりか?注文したのはビッグマックです。ジバニャンのオモチャなんかいらないんです私。

 にしても鬼。鬼も良いタイアップに強烈な一発をぶつけてんなと。ドラマ普段見ないんですけど、藤原竜也の顔芸見たさと伊野尾慧の演技力見たさにちょっと一話だけ見てみたら主題歌がクリープハイプでびっくり。しかもイントロからメチャクチャカッコイイ。小室進行をディミニッシュで終わらせる極悪進行から裏声を使った印象的なサビ。そんで、あの歌詞。このMV。筆舌尽く。

 人間って、長いこと同じことやってると迷うんですよね。自分をミュージシャンの方と同列に話すのはおこがましいことこの上ないですけど、このサイトもおかげ様で3年目。いや、4年目だっけ。わけわからんくなって、なんか言いたくないこと書いたり思ってもないような話してたり「え、これ本当に面白いのか?」「もっと効率のいいやり方あんじゃないの?」とか迷走を始めます。俺の元カノの彼氏が張り付いてるといううわさのうちのサイトの2chに

「最近迷走してるよねー。自分で『このバンドは迷走してる』とかいう癖に自分もそうなってんじゃん。このサイトももうオワコンだなー」

 みたいな。ことをね。書かれたりしますけど、そりゃするわ迷走くらい。天才ミュージシャンのみなさんでもするんだそ。俺なんかオギャと生まれてからずっと迷走してる。もうわけなんかわかってません。正直にやるだけですよね。

 正直クリープハイプもすげえ迷走期間長かったなと、どこまでを迷走とするかは難しいところだけれど、試行錯誤の痕は見えたし、苦悩も見せてた。

 そんで、バンドの一番の迷走原因って、売れた時に怒りと苦痛がなくなることなんじゃないかなと。

 俺はバイト バイト バイトって曲が一番好きで、これは売れないバンドマンの日常の擦り減りを歌った歌詞なんだけど、もう今の彼らにはこういう歌は生み出せないわけじゃないですか。「売れたバンド」になった瞬間に「弱者」っていう武器がなくなるんですよね。それでも歌わなきゃ仕事になんない、歌いたいことない、嘘くさくなる、メジャー落ちる、実家帰る。そういうデスコンボ。そんな例は30くらい知ってる俺は。

 だけどクリープハイプは今の景色から見えるヘイトを歌にできていて、歳食ってもまだブチキレてる。今は特に、キレてる。すげえ良いです。

 嫌いって人も多いじゃないですかこのバンド。声が気持ち悪いとか、歌詞が露骨だとか、それは本人も歌詞にしちゃうくらい認めていることなんだけれど、自分の作ったものを「好き!」と言ってくれる誰かに届けるには、絶対クレーマー体質の面倒な野郎(俺みたいな)の目の前を一回通過しないと届かないんですよね。そういう面倒を越えて、ちゃんと人気を獲得して、膝をつかないで歌えてる。今売れてるバンド、あるいはもっと数字を持っているバンドと比べても、トップクラスにカッコイイバンドです。

 嫌いなら嫌いなまんまで良いバンドだけど、好きになれたあなたはラッキー。俺もラッキー。

 最近のクリープハイプは特にヤバい。楽しみで仕方がない。最近は「テレビサイズ(TV Size 2'30)」が好きです。

 それではまた。

 
 

 

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