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2016/07/16

記事 邦楽ロック

オッサンたちには理解できない強烈な才能 ジラフポット

20代も中盤戦に差し掛かると全身の各所に疲れが出始める。

顕著なのは肌年齢と時差でくる筋肉痛と新しい物事への関心。このペースでいくと30代には全身の皮膚が紫色とかになるんじゃないか。不安で夜も眠れないし、寝たら寝たで疲れも取れない。枕から懐かしい匂いすんな、と思ったら実の父と同じ匂いがし始めてんのかこれ。

10代のうちは元気が無意識にあり余り全く気が付かないが、新しいものを探したり好きになったりするのはとんでもなく体力を消費する。
「最近の音楽は~」とか「最近の若い奴は~」とか年寄りが言いたがるのはセンスの老朽化もあるが、新しいものを認める体力のなさのせいもある。気に入らないと所をみつけてきて否定しているのはすごく楽なのである。

今日はあなたがオッサンであるか、若者であるか、をリトマス紙のようにパリっと二分してくれるナイスなバンド、ジラフポットを紹介したい。

「あーハイハイ、よくあるやつね」
と素通りしそうになる。わかる。しかしちょっと待ってくれ。

一口に言うなら2000年代以降のに流行ったハードコアとオルタナの合いの子邦楽ロックだ。今の4つ打ちサビ繰り返しバンドの大発生と同じく、一時を境に大量生産されたジャンルだ。流行が2005年以降ぐらいなのでそのセンスを引きずったバンドが未だに少なくない。探さなくてもそこらへんのライブハウスを回れば2日に3バンドぐらいは見つかる。島根県の総人口より多いんじゃないかな。

正直な話、今の20代は数年前に嫌と言う程聴かされてきたのでこのジャンルとっくに飽きている。だがジラフポットは過去の遺物として片づけるのは勿体ない。近年稀に見る才能だ。
良いところも悪いところもウソなくしっかり取り上げよう。と毎回記事を書いているが、もうこっから先は恥ずかしいぐらいにベタ褒めだ。ピンとこなかったオッサンはブラウザを閉じてワンカップ飲んでてくれ。

どの曲を聴いてもまず耳につくのは歌メロのセンスだ。メロディに優劣をつけるのは難しいが「そんなメロディつけるか…?」と耳を疑うような方向にメロディが流れる。ただ裏声をつかっているからとかそういう範疇を越えて非凡。音が外れているわけではないし奇をてらってつけられた風でもない。ありきたりでないということは親しみがないということだが、聴いて違和感もない。

作曲のミソとしてフックという部分がしばしば取り沙汰される。平たく言うなら"耳に残る部分"だ。
「なんか変な曲だなあ」
と思っているうちに耳に残ってしまいそのままその曲を好きになってしまうこととか、ないだろうか。そのソレだ。二拍三連で落ちてくる裏声が頭から離れなくなる。
イントロからAメロまで曲に動きが少ない分、サビのエグさと落差もできている。

とってつけた風になりがちなジャズ歌謡風味のパートもギターソロ前から始まる長めの前置きのおかげで自然に聴ける。あえて最後も落としてサックリ終わるのもカッコイイ。スキがない。

あとそう、歌詞だ。歌詞も変にメッセージ性があるわけでなく、Grapevineの黒い曲よろしく「何の話をしているかわからないけど怖い」そんな歌詞。詞だけみるとちょっと仰々しすぎるが、歌にしてしまえばちょうどいいギリギリのバランス感覚だ。

 

たった三人で大満足なアンサンブル。ジラフポットの代表曲だがこっちはダンスミュージックに寄った現代的な構成。こういう曲で若者を引っ張ってきて、その耳を毒の強い曲で殴れるのは強い。久々にライブを見てみたいバンドだ。

 

さてみなさんのオッサン判定はどうだっただろうか。趣味や好みもある、極端な話をしているのはわかるがどうか彼らの音楽を認めて応援して欲しい。

否定する気満々で聴いたら聞き逃してしまうジラフポットの良さだが、バンドの明暗を分けるのはそういう手の抜けない細部だったりする。オジサンたちにはどうでもいい部分もきっと耳聡い今の若いリスナー達は無意識に聞き分けて彼らの音楽に振り向くことだろう。

彼らには一時代を築き得る実力が既に十分あるはずだ。

頑張ってくれジラフポット!

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