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キュウソネコカミの"サブカル女子"の歌詞に出てくるサブカル女子存在しない説

2016/12/29

 先日、遠方に住む友人が電話越しにこんなことを言い出した。

「サブカル女子と付き合いたいんだけど、どうしたら知り合えるんだろう。ビレバンとかでバイトしてみようかなあ」

 完全に世迷い言の類だ。ヤンキーがモテると信じてとりあえず金髪にしてみたあの日の彼から一歩の成長もない一言。「マグロ釣りたいから海に行こうぜ」ぐらいのバカである。

 北欧の森にムーミンは住んでいないし、今日日ビレバンにサブカル女子はいない。ではなぜ"サブカル女子=ビレバン"という一次元的すぎるステレオタイプが世に流布しすぎているのか。言いがかりもいいところだが、原因の一つにキュウソネコカミの"サブカル女子"という曲があるんじゃないかと。

 

 これ。聴いたことありますよね。

 最近で言うと岡崎体育なりヤバいTシャツ屋さんなり、こういった"歌詞面白い系"の音楽はヒトやモノに「これはこういうもんですよね!」と勝手なレッテルを張り「あ、それわかるわ」と共感を得ることで笑いを誘うものがたいへん多い。音楽を使ったカテゴライズ/共感/あるあるネタである。

 岡崎体育もクリープハイプもやっていることは同じで、違いは共感の結果笑えるのか泣けるのか、太っているか痩せているか、ぐらいのものである。

 このキュウソネコカミの出世作"サブカル女子"も例に漏れずあるあるネタ、カテゴライズネタに分類されるもので、タイトル通り「サブカル女子ってこうなりがち」という分析を歌った歌。なんだけども、曲中のサブカル女子のプロファイリング、滅茶苦茶じゃないかと。

 

サブカル女子には数種類ある

 一口サイズに"サブカル女子"と切り出して語っても、近づいてよく観察してみるとその中にも更に細かい種別があることがわかる。

 昨今は特にその種別が明確化してきつつあり、✝️大森靖子ちゃん✝️みたいなサブカルから、白黒の服着て歌い手追いまわしサブカル、古着は着てるけど逆に黒髪ボブじゃないサブカル、彩度100で目に厳しい原色サブカル、こういった様々なサブカルがいる。

 こういった現状と、それについていけない外野のジジイが乱暴に「サブカル」とカテゴライズすることで実情と言葉がすれ違ってきている。しかもこれら、ポケモンのタイプのように複数属性を持つものも少なくなく、状況はますます入り組んできている。

 それに対してキュウソネコカミの歌うサブカル女子のプロファイリングはかなりバイオレンス。しかももうこれ、4年以上前の楽曲であり、情報もかなり老朽化している。

 わたくし、世田谷区在住。サブカル女子151匹全部ぶん殴って梅が丘に捨てたサブカル女子マスターが、この歌詞に潜むいびつさを解説したい。


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 まず、この歌詞の中で歌われているサブカル女子の特徴を書きだすと以下のようになる。

・東南アジアやインド旅行へ行く、ツアーは組まない
・細美武士(ELLEGARDEN)好き
・フェス好き
・黒髪ボブ、だてメガネ
・チーズケーキ作る
・黒縁メガネ
・カバンに缶バッチ
・結末の甘い映画、ドラッグムービーを見る
・ブスではないが、かわいくない
・ブログにうつ日記書く
・一眼レフ(技術なし)
・ラーメンズ好き
・楽器所持(弾けない)
・彼氏欲しい
・バイ宣言をする
・スタバでMAC
・SUBWAY
・IKEA
・ビレバン
・込みまくる隠れ家的カフェでブラック飲む

 ピンポイントでこんな概念の塊みたいなヤツいるかよ。こんなヤツもうサブカル女子じゃなくて女性器のついた下北沢か何かだろうが。

 こんなのはね、人間じゃないんですよ。オタクの考える女性像と同じくらい現実世界と深い溝をもって乖離しているんですよ。

 まずこれ

・東南アジアやインド旅行へ行く、ツアーは組まない・ラーメンズ好き
 かなり年齢のいったサブカル女子に見られる傾向。たぶんキュウソネコカミのアルバム持ってる人には全く当てはまらない。Twitterよりインスタ派で、銀杏Boyzからサブカルに入って一通りのサブカル(水タバコとか演劇とか岡村靖幸とか)を通ってきたヤツが最後に行きつくぐらいのやつですよね。27才ぐらいのサブカルですよね。と思ったら

・黒髪ボブ、だてメガネ・カバンに缶バッチ
 すごい初歩のサブカルが出てくる。14才ぐらいのサブカル。ともすれば

・結末の甘い映画、ドラッグムービーを見る・バイ宣言をする・ブログにうつ日記書く・楽器所持(弾けない)・一眼レフ(技術なし)
 こんなのはサブカルでもかなりメンヘラよりの種別であるし

・スタバでMAC
 これは意識高い系、似非実業家の類であるし

・彼氏欲しい
 これはもはやただの女だ。

 メチャクチャだ。

 人間は、自分のよく知らないものやどうでもいいものに対して「こういうもんなんですよ」と言われると「そうなんですか」と納得してしまうものである。だって興味ないんだもん。

 よくよく考えるとこの楽曲のサブカル女子論はこんな風に乱暴極まるのに、歌にして聴かされるとなんだか「そういうもんか」と思って笑ってしまう。SUBWAYとIKEAに関してはサブカル女子よりもOLとか会社員の方が多い。

 冒頭のくだりに出てきた「ビレバン」に関して言えば、これに関してはもうサブカル女子の中でも大変軽めの口当たりの若いサブカル女子が該当する文化だと思われる。

 おしゅしのスタンプとかを喜んで使っている中高生の為のサブカルといいますか、"サブ"カルチャーのはずが目立ちすぎてメインになりはじめて「それもう逆にサブカルじゃなくね!?」ぐらいの取り扱いになったサブカルだ。

 彼の探すようなサブカル女子はそこではなく、高円寺の古着屋とか、キャパ200前後のライブハウスにいるのだ。

 そんなわけで、キュウソネコカミのサブカル女子考察はメチャクチャ。メチャクチャなんだけど、とっても上手。これ、キュウソネコカミを聴いてるような女の気分を本当に逆撫でするようなことを一切言ってないのだ。たとえば

・自撮りはあのちゃんだけど現物は六角精児
・村上春樹バカにする割に村上春樹読んだことない
・SNS以外で彼氏ができたことがない

 仮に僕がこういう歌を作ったらこういうこと言って消し炭になるまで炎上するんでしょう。キュウソはそういうことを言わない。

「ブスではないけど可愛くない」「近寄りがたいねでも好きさ」「肩のあたりを殴られたい」と、相手が笑えるギリギリの距離感を保っている。たいへんお頭がよろしい。

「ブスもいるしかわいい子もいる」「すぐ抱けるから好き」「髪の毛掴んで殴りたい」こういう本音を言わない。たいへんお頭がよろしい。

 特定の層をしっかりプロファイリングしすぎないことで幅広い層に「わかる」と思い当たる人物を想像させるレンジの取り方も賢い。

 あとこの曲、歌詞のせいでしっかり曲に耳がいかないかと思うんだけど、曲良いんですよ。

 

 このアウトロのところなんか歌詞そっちのけでエモい。サビの進行の最後のとこもオシャレにキメて、よく聴くとメロディはすごい物憂げ。

「ついでに胸には一眼レフ 大した技術もないくせに~~!」ってこんなエモーショナルなメロディで歌う必要まったくない。このメロディで20代の憂鬱とか歌われたら普通に泣くと思う。

 

 繰り返しになるけれど、4年前の楽曲なのでそろそろ情報の更新があってもいいんじゃないかと思います。サブカル女子(2016)みたいな。

 ネットにはびこる中途半端なサブカル女子定義を是正できるのはヤマサキセイヤしかいない。キュウソネコカミに賛辞Oh,Yeah!

 それではー

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