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2016/01/22

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3枚目ベッドルームポップ Benny Sings

地下室TIMESの読者には聴くだけではなく”聴かせる”側に立とうと楽器を手にする人も少なくないだろう。
中にはカヴァーのみでは飽き足らず、各々が抱く「憧れのあのバンド」のようなメロディを歌い、歌詞を書き、ステージ衣装を着るだろう。
しかし、いざステージに立ってオリジナル曲を披露すると何だか客のノリが悪い。というかちょっと引いてる...
なんでだ、「憧れのあのバンド」と変わらぬ演奏をしているのに!!

たぶん、違うのは顔です。

中年低身長小太りの等身大


Benny Sings - Let Me In

MVを見てもらえれば分かるように、Benny Singsは低身長小太りのおっさん。おまけに天然パーマ、モジャモジャのヒゲが加わって格好良さの欠片もない。
そしてこのLet Me In、土砂降りの中彼女の家の前で「中に入れてよ!」と訴えてる歌なんだ。なかなかにダサい。
ダサいんだが、そのダサさはBenny Singsのずんぐりむっくりな見た目と、対して上手くない歌声とマッチして非常に心地よい。

彼は背伸びをしない。
生まれ持った体型と声帯で一番シックリくる音楽をやっているからこそ真実味があって身に染みる、良い音楽になるのではないだろうか?
この曲を高身長のイケメンが美声で歌ったところで何も心に響かないよ、嘘くさいからね。

 

自由な国オランダとジャズ


Benny Sings - Little Donna

なんだか怪しいMVだが、別れた彼女に付き合ってるフリをしていて欲しいとお願いしている曲だ。ダサい。が、なんとなく分かる。
ちなみにMVに出演しているセクシーな女性2人はきっと売春婦だ。オランダは売春は合法、マリファナも少量なら合法だし安楽死も認められているらしい。
更には、同意さえあれば12歳以上なら性行為も法に触れないらしい。
売春にマリファナに安楽死にロリータ。自由の国ってオランダのことなんじゃないか?

 
オランダはジャズも盛んだ。
世界最大級のジャズイベント「ノース・シー・ジャズ・フェスティヴァル」もオランダで開催されるほどジャズを愛している国なんだ。ロリだけじゃない。
日本では堅苦しい音楽として距離を置かれるジャズだが、オランダ人にとっては最も身近な音楽なため、Benny Singsの楽曲にもジャズの要素が多く見られる。
オランダ国内には音楽学校が多くあり、聞いた話によると「音楽家」を名乗れば支援金も出るらしい。オランダすごいな!
このGet Thereもジャズと補助金とマリファナの匂いがプンプンする。オランダ、寒くなければ行くのにな。


Benny Sings - Get There

 

通過してきたモノが重なり合って音楽になる

Benny Singsはオランダのシンガーソングライター兼プロデューサーで、ほとんどの楽曲を家の中で一人で作る。いわゆる宅録ミュージシャンだ。
故に楽曲の多くは儚い恋をブツブツとつぶやくものばかりで、家に引きこもってPC画面を眺めながら悶々としている人にはぜひお勧めしたい。


Benny Sings - Twist You Around

彼はジャズだけでなくグランジ、現代音楽、ヒップホップを通過して今のスタイルになったと言う。このTwist You Aroundにはヒップホップの影響が見られる。
モタったトラックの上にポップスのメロディが自然と浮かんだのだろう、優しくて心地が良い。

彼は生まれ持ったモノ、通過してきたモノから音楽を生み出している。一切背伸びをしていない、だからこそ自然で受け入れやすい音楽になっている。
「憧れのあのバンド」も良いが、少し背伸びに疲れた時は、日常に寄り添うような音楽も聴いてみてはどうだろうか?

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