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2016/07/16

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新高校生に贈る、軽音楽部に入る前に知っておくべき4つのこと

2月も下旬に入って、じきに卒業シーズンが来る。(今でも大地讃頌とか歌ってるのかな)世の若者達はやがて来る新生活にそろそろ胸を膨らませ始めるころじゃないだろうか。このサイトを見ている中学3年生の方々の中にはきっと「進学したら軽音楽部に入るんだ」と目を輝かせている方もいることだろう。

しかしこのタイミングで誤った選択を取ると、この先の3年間を棒に振ることになる。3年あれば結成からメジャーデビューまで辿り着くバンドだっている。バンドマン(予備軍含む)にとっての3年ってのはなかなか大きい。更に10代における3年間なんてものは、大人のそれとは比べ物にならないくらい貴重な時間だ。大人になったらみんな気づくと思うが、気づいてからでは遅いのだ。制服デートとかするなら今のうちだぞ。大人になったらお金払わないとできないぞ。

つまり「10代の」「バンドマンの」3年間ってのはもう何物にも代えがたいくらい大切な期間だということを10代の読者諸君に知ってほしい。進学先に軽音楽部があるからって何も考えずに入って良いワケではない。その軽音楽部の方針やら雰囲気、先輩諸氏がどんな様子かってのを良く観察して、本当に自分に適しているのかよく考える必要がある。今回はその辺のことについて、3年間を棒に振った筆者が解説する。

今回は高校の軽音楽部に焦点を当てていく。大学の軽音サークルについてはこちらを参照のこと。

1.顧問の方針を知る。

 

同じ「軽音楽部」という名前の部活でも、学校によってその内情は全く違う。運動部かよってくらい指導をキメる顧問のいるところもあれば、漫画でよくある置物と化したおじいちゃん顧問がいるところもある。筆者の高校は前者だった。
50を過ぎた世界史の先生の独裁政権だった。最初の3ヶ月くらいは楽器なんて触らせてもらえずにビートルズやらストーンズを聴いてレポートを提出する日々。いざバンドを組んでも演る曲は顧問によって決められた70's。そしてライブができるのは地元の納涼祭(罰ゲームかよ)と文化祭のみ。筆者の年代はみんなBUMPから音楽に入っていった輩ばっかりだったので、不平不満をブーたれたまま3年間を過ごした。

不満なら辞めればいいだけの話なのだが、あいにくのクソ田舎。校外でバンドをやれるだけのメンバーもスタジオも無く、音楽をやりたければ軽音部か吹奏楽部に入るしか道はなかった。寡占。

何よりも致命的だったのは、高校生にはいささか不健全だという理由でライブハウスでの出演が禁止されていたところだ。おそらく、こういった方針の軽音部はおそらく全国各地に存在する。「ライブハウス出られないバンドが何するんだよ」と思う方もいるだろうが、そういう軽音部は大体老舗の軽音部コンクールを目指しているはずだ。

例えばこういう。

観客席のポンポン、司会者のいろいろすごい笑顔、甲子園ばりのプラカード持ったチアガール。

こんな風にメンバー全員が一丸となって大会に臨む部活に青春を注ぎ込むのも悪くはないが、そういうのを求めてないのに何も知らず入部してしまうと、部にとってもあなたにとっても不利益にしかならない。

この動画のステージとあなたの思い描く理想のステージを重ねてみれば、どうするべきかは自ずと分かるはずだ。

 

2.部員の規模を知る。

 

筆者が高3になった春にアニメ「けいおん!」の放映が開始された。するとどうだろう。隣の市にあった高校の軽音部には60名近くの入部希望者が殺到した。強豪校の野球部かよ。
それまでマイナー文化部の立ち位置であった軽音部にはそれだけの部員数を賄えるだけの機材も無く、よしんばアンプやドラムセットを買い与えたところで文化部きっての公害度を誇る騒音を持つからには、適当な教室で音を出して練習するワケにもいかない。

結果的にその軽音部ではそれだけの入部希望者を受け入れたものの、バンド自体の数を極力減らすため大所帯のバンドを作ることを強いられて、それでもなお1バンドにつき平日5日間のうち1日しかスタジオ練習日を割り当てることができなかったとのこと。その他の日は何をしているかと言うと、音を出さずに練習したりミーティングをしていたそうだ。常日頃から顔を突き合わせている高校生が何をMeetするんだよ。
これならまだ部活に入らず週1でスタジオ入って他の日はバイトに充てる方が金銭的な余裕ができて活動の幅が広がるぞ。

というのはちょっと極端なパターンかも知れないが、なんにせよ部活における人員的、機材的な面での恩恵を充分に受けることができなさそうであれば思いとどまる必要があるかもしれない。

 

3.先輩の実力を知る。

 

軽音部の体験入部や部活説明会ではほぼ間違いなく先輩バンドによる新入生歓迎ライブが行われるはずだ。そこで先輩の実力を知ることができる。見極めろ。十中八九最近流行っているバンドのコピー曲をやると思うが、まずはその選曲が自分の嗜好と合っているかどうかを考えよう。例えばそこでV系をやっていたとすると、V系好きの前髪がメチャクチャ長い先輩と仲良くなれるだろうか、それは大事な部分だ。
もしその先輩がオリジナル曲をやっていてしかもクオリティが高かったなら、相当の優良物件だ。なりふり構わずその先輩に付いて行くのもいいだろう。

ジャンルの問題をクリアしたなら、次は先輩の腕前だ。自分と同じ楽器の先輩が上手ければ、媚を売っていろいろ教えてもらおう。他のパートでも上手い先輩がいれば、お付き合いしておいて損はない。卒業後にバンドのお誘いがあったり、逆にこっちから誘ったりすることができる。先輩同士の雰囲気も見ておこう。なんとなく仲が悪そうであればちょっと考える必要がある。先輩バンドの不仲、軋轢は部活内に拡散する。ギクシャクしながら過ごす気まずい放課後は非常に息苦しい。

決して可愛い女子ボーカルがいたからという理由で入部を決めてはならない。きっともうそいつはギターと付き合っている。

 

4.同級生を知る。

 

上記全ての関門をクリアした良質な軽音楽部だったとしても、最大の壁は同級生だ。3年間足並みを揃えて過ごす仲間とは距離が近いに越したことはない。ここでもやはり音楽性が重要となる。自分と同じ方向に進めそうな仲間がバンドを組めるだけの人数揃うのであれば良いが、真逆の感性を持った無駄に前髪の長い同級生と同じバンドをやるのはちょっと無理がある。最初は良くてもいずれ空中分解するのが目に見えている。

作曲のできる同級生がいる、もしくはあなたが作曲できるようになると良いだろう。お互いのフィーリングを確かめ合うためにコピー曲をやるのは良いが、いずれオリジナルをやりたいと考えているのであれば、動き出すのは早いほうが良い。そういった将来の方向性についてもあらかじめ話し合っておくとなお良い。曲作りには時間がかかるし、そもそも人前で演奏しても恥ずかしくないレベルの曲が作れるようになるまでにはもっと時間がかかる。

最初は聴いているだけで死にたくなるレベルの出来だとしても、我慢強く作り続ければなんとなく曲作りのイロハに気づく時期が来るはずだ。それが早ければ早いほど将来にとってプラスとなる。15歳から曲作りを始めることができれば、相当早い部類のスタートになる。

それを同じ学校、同じ部活の同級生と共にできればもう言うことはないくらい理想だ。バンドメンバーとはある程度距離が離れていた方が良いという話もあるが、それはお互いにちゃんとした技術や判断力を持っていることが前提だ。さあこれからという駆け出しレベルの場合はお互いがいつでも頼れる範囲にいたほうが行動する勇気も出るし、高め合うライバルにもなる。一人寂しく技術を磨くよりもよっぽど近道だ。

 

 

いろいろと書いたものの、要するに「自分のやりたい音楽がやりたいだけできる環境」と「同じ方角を向いてやれる仲間の存在」が確保できるかどうかが重要ということだ。それができないようであれば、学内学外の枠を越えて自由にバンドを組んだほうが良いかもしれない。

あと個人的にはやはりバンドをやるからにはできるだけ早くオリジナル曲を作り始めるほうが良いと思う。コピーバンドだけで3年間を過ごしたって後には大して何も残らない。文化祭でカッコイイ曲をやって「あれ実はオリジナルなんだぜ」とでも言えば簡単にヒーローになれる。オーディションや大会に参加するにしても、高校生の年代ではおそらく周りはコピーバンドの方が多い。そんな中でちゃんとしたオリジナル曲を披露すればそれだけで他よりも注目される。

若さは武器で財産だ。それを満たされない環境で腐らせてしまうのはあなたの人生において大きな損失となる。

一度しかない高校生活の3年間を存分に満喫するためにはあらかじめいろいろと考えておかなければいけない。

周りの大人に聞いてみるといいよ。みんなそうやって言うから。みんな制服デートしたいって言うから。

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