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2016/11/21

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清 竜25のツッコミどころを挙げたらマジでキリがない

こんにちは。

どっから話せば良いのか分からないけど、とりあえず清 竜人を知らないという人に向けた説明から始める。

清 竜人

切ない王道コードのピアノに合わせて、愛する人の過去についての張り裂けるような想いを掠れたハイトーンボイスで歌い上げる。

素晴らしいシンガーだね、清 竜人。ちなみにこれは2010年、若干20歳の時にリリースした作品。

それから6年でどう変わったかというと

清 竜人25

 

こう。うん、えっと、髪の毛伸びた?

アフロのヒゲが可愛い子にスケベ呼ばわりされながらキレッキレのダンスを至極の笑みで踊っている。なんだこれ。

2014年の秋、彼は自身がセンターを務める一夫多妻制アイドルグループ「清 竜人25」を立ち上げた。ぶっ飛んでる。

そもそも何をどう考えたら男がセンターのアイドルグループを創ろうなんて考えつくんだろう。

おまけに各女子メンバーは全員清 竜人と結婚済みという設定。自分で言っててワケがわからん。呼称も「清 ○○」と彼の名字を付けたうえに「第○夫人」となってる。頭おかしい。

これは断言できるけど、2匹目のドジョウは居ない。

世の中の男はマネしても無駄。刺されて死ぬ。

じゃあなぜ清 竜人は今も無事に生きているのかってのをこれから説明する。もう細かい突っ込みどころは無視して行く。

そうしないとマジで記事が終わらない。

 

利害の一致

 

「清 竜人25」を語る前に触れておかなければいけないのが、「清 竜人」名義時代の4枚目のアルバム「MUSIC」。

もうこの時点で「痛いよ」を作った人と同一人物とは思えない。いや髪型の話じゃなくて(髪型もだけど)

このアルバムまではアコースティック編成がメインの普通のシンガーって感じだったんだけど、何をとち狂ったかいきなりミュージカルをやりだした。

本人がこんなに楽しそうにしてると「あぁうんいいんじゃないかな……」って思わざるを得ない。ブラック企業辞めた後の人と同じ顔してる。

ここが分岐点になって暴走が始まった。ここで見限ったファンも少なくないんだろうな。

そして以後もはやジャンル分け不可能な音楽を作り始める。

ソロ名義最後のアルバムになった「WORK」から。フュージョンをベースにやりたい放題の歌詞が並ぶ。

(最後の『破門』はズルいわ)

これらの動画を見てどう思ったか。多分「よく分からない」と感じる人が多いだろうけど「なんか楽しい」とも思ったんじゃないだろうか。

本人曰く、アイドルグループを結成するまでの過程については「やりたいことをやっていたらこうなった」と公言してる。決して昨今のアイドルブームに乗っかって売れようとしたわけではない。

彼自身がやりたいからやっていることについて、たまたまこっち側の大衆が楽しいと感じてしまっているから、アイドルグループのセンターに男が居座っていても受け入れられるんだろう。

というかヒゲのアフロが満面の笑みでキレキレダンス踊ってたらそりゃ笑うに決まってるわ。笑いの押し付け。

 

その割に計算深い

これが清 竜人25のデビューシングル「Will♡You♡Marry♡Me?」のPV。だからなんでアイドルのデビューシングルなのに結婚式挙げているの?アイドルの定義が爆発しそう。

でも肝心の楽曲はガッチガチにガチ。聴いている側を明るくさせるってアイドルの鉄則は外していない。

なんで聴いてると明るい気持ちになるのか。そのキャッチーさの根源は何かというと、ぶっちゃけブラックミュージック。ほんと最近この言葉使われまくってるからできるだけ避けたい言葉だけど、清 竜人25に関してはそれそのものだから仕方ない。だってこれだよ。

このど真ん中豪速球のブラックミュージックに

ど真ん中豪速球のガールズグループの曲を乗っけて完成。

世界中でバカ売れした2曲を下敷きにして可愛い女の子(とヒゲ)を踊らせて、しかもアレンジをモー娘。のLOVEマシーンを編曲したダンス☆マンが手掛けてる。

売れないわけがないだろ。過去に大成功した要素をこれだけぶち込んで売れないわけがない。マイケル・ジャクソンとかベッカムの嫁さんのグループからネタ引っ張ってくる勇気が凄い。

他の楽曲のアレンジャーにも錚々たる名前が並んでいて、アルバムを通して聴くと目新しさを感じつつもしっかりアイドルソングを作ってる。

ヒゲのオッサンがど真ん中にいる突拍子もないアイドルユニットなのに、そういうところはしっかり用意周到。

 

そりゃ愛されるわ

 

「清 竜人ハーレム♡フェスタ」というネーミング。感覚が麻痺してきた。

終始頑なにセンターを譲らないヒゲと、そのヒゲの一挙手一投足に湧き上がる観客。男女比はほとんど半々。でも竜人に対して歓声を挙げている男が確実に多数存在してる。お前らいいのかそれで。

ライブ会場の様子を見るに、この一夫多妻制アイドルグループは明らかに好意的に受け止められてる。それはなぜかと考えると、まず「最初にやったもん勝ち」の面白さがある。

「男がセンターのアイドルグループって何だよ」って二度見しちゃうじゃん絶対。SHISHAMOの真ん中で向井秀徳が「繰り返される諸行は無常」ってやりだしたら絶対見るだろみんな。

でもそういう奇抜さだけの出落ちプロジェクトではなくて、今までアイドル業界を牽引してきたアレンジャーを据えることでしっかり足元を固めてる。

その万全の地盤の上で清 竜人の持つ「良くわからない楽しさ」をビンビンに光らせてみた結果、唯一無二、万邦無比のエンターテイメントが出来上がってしまった。他じゃ見られないぞこんなの。マジで。

 

どこへ行くのか

昨日リリースされた完全限定生産シングルではまた変なことやってる。いきなりヒッピーになった。タバコ吸うなよ仮にもアイドルグループだろ。

ファーストアルバムの楽曲はバラエティに富んでいながらも一応ギリギリ既存のアイドルのカテゴリに収まるような曲で占められていたけど、今回の曲はその枠を飛び抜けて、以前のアーティストとしての清 竜人の側に一歩近づいたように感じる。ただポジティブで明るい作品であることには変わりない。

そんでこの先、このグループがどんな方向へ進んで何をやらかすのか全く予想がつかない。映画とか作ってくれないかなあ間違いなく面白くなるぞ。

ただ確実に言えるのは、清 竜人25はきっとこれからも俺たちを笑わせてくれるよ。

 

あ、第2夫人推しです。

 

追記

今日何だか突然、清竜人25の解散がアナウンスされた。

普通「解散!」なんて突然通告されればファンは大きく狼狽するものだけれど、清竜人だとみんな「ああ、またソロで音楽やるんだ~」くらいの感想に着地する。

解散時にもアイドルとして異質を見せつけた彼ら。音楽はきっとやめないんだろう。元夫人にもたちにも生きてればいつか会える。

今はどっちかというと、楽しみの方が強い。竜人、がんばって!

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