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2016/05/31

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誰か米津玄師を止めてくれ

ポンジュースが好きです。はとです。

自分の家で音楽をシコシコ作っている私のようなDTM(デスクトップミュージック)を嗜む人間にとって、ニコニコ動画は自分の音楽を発表できる素晴らしい場所だ。

そこに彗星のごとく現れたのが米津玄師(よねづ けんし)だ。

石左が投げたので、私が彼について考えたい。

米津玄師はすごい。誰も彼を止められない。

米津玄師とは

米津玄師は日本のミュージシャン、シンガーソングライター、イラストレーター本名同じ。別名義、ハチ

小学校5年生の時、当時WEB上で流行っていたFLASHアニメーションを視聴した際、音楽に対する意識が変わったそうな。

本人もBUMP OF CHICKEN好きを公言しているので、おそらくバンプのことだろう。

美術系の専門学校に通っていた経歴もあり、自身のアルバムジャケットのデザイン、MVにいたるまで全て一人で完結してしまう。多才だ。

彼が出てきてからボールペン画というか、そういうイラストが増えた気がするのは私だけだろうか。

ボカロP『ハチ』として、「マトリョシカ」「パンダヒーロー」等、ヒット曲を数多く生み出した。

ハチ - マトリョシカ

そこのボカロ嫌いの早漏君、ちょっと待て。次の記事に行くのは米津玄師名義の曲を聴いてからにしなさい。

 

不協和音と変態フレーズ

彼の魅力のひとつに不協和音があると思う。気持ちいい不協和音だ。

まず不協和音とはなんぞや。

簡単に言えば、調和しない、ぶつかっている音を含む和音のことだ。

つまりこういうことだ。かまってちゃんの新曲ではないぞ。

さて、楽曲を聴こう。

米津玄師 - ゴーゴー幽霊船 1st Album『diorama』より

絵がかわいい。

なんか楽曲は、モヤモヤしないだろうか。メロディの中にひょこひょこと『不協和音』が出てきて、船酔いみたいな感覚を覚えないだろうか。

タイトルの『ゴーゴー幽霊船』という名前にぴったりだと私は思う。

音楽が焼きまわしだのなんだの言っているやつは普通の音階、リズム、メロディに飽きてきているんだと思う。

彼はそこをぶち抜いた。

不協和音というのは先ほどのアンパンマンのマーチを聴いていただければわかると思うが、気持ち悪いか気持ちいいか紙一重だ。

『アンパンマンのマーチ不協和音ver.めっちゃ気持ち良いぜうっひょー!』となった変態は悪いことは言わないから猟奇的殺人に手を染めないようにはやく寝なさい。

音楽を作っている人間ならわかる話だが、この不協和音、使うのがとっても難しい。

あまりにアクが強すぎて、ヘタに使うと楽曲が壊れる。

ゴーゴー幽霊船はあまりにナチュラルに不協和音をぶち込んでいるので、音楽をやっていない人は気づかない人もいるんじゃないだろうか。

何の記事に書いてあったか思い出せなくて引用元が出せないのが心苦しいが、『美しいものは汚したい』という旨の発言をしていたのを覚えている。

彼は意識的に不協和音を駆使して美しい楽曲を汚してきている。本当に美しいものって汚れているんじゃないだろうか。

 

そして変態フレーズだ。

ゴーゴー幽霊船をセクションごとに見ていく。ギターだけに限らず、変態フレーズ盛りだくさんである。

イントロ、左から聴こえる何やら奇妙な声らしきもの。幽霊を意識しているんだろうか。すごいセンスだ。

Aメロ、右のギター奇妙な位置のハーモニクス出しまくり。キンキン、とかカンカンとか聴こえるやつだ。

裏ではリバースがかかった謎の音が入っている、この音が揺れているので不協和音っぽく聴こえるのかもしれない。

女の子がテレビ君をバールのようなもので殴った後、右のギターがぶっ壊れてる、リズムも無視でぶっ壊れてる。芸が細かい。

そして何事もなかったかのようにしれっと戻ってくるあたりがこの楽曲のコミカルさを増幅させているように感じる。

サビは解放感を出すため変態フレーズを抑え気味にしている。謎の犬のような音がきになってしかたない。

何がすごいかって、破綻しないように片方が変態フレーズを弾いているときは、もう片方はカッチリ弾いている。

米津玄師 - vivi

私イチオシの楽曲だ。

この楽曲のイントロも不協和音に聴こえる。私が今傍らに置いているギターで確かめたところ、実は音が外れているわけではない。

『コーラス』という音に揺らぎを加えるエフェクターをきつめにかけて不協和音感を出している。

楽曲としてギリギリのバランスを保っている。彼は逸材だ。

 

バンドから一人へ、一人からバンドへ

彼はバンドスタイルで活動していたが、ボカロPとして一人で作品を作るようになった。

ボカロP名義のときは一人で作っていることもあり、ドラムのフレーズなんか腕何本あるんだよ。はっちゃんかよ。というものが多かった。

そんな彼はバンドスタイルに回帰している。全ての工程を一人で行っていた彼の中で何か変革が起きたんだろう。

米津玄師 - サンタマリア

不協和音の要素は最初のみで、あとはただひたすらに美しい。ピアノ、ストリングスも合間って、一人で全て行っていたときよりも楽曲のスケールがでかい。

初期の少しチープな音が好きだった人には受け入れがたいのかもしれない。

だが、彼の美しいものを汚そうとする気持ち、汚れたものこそが本当に美しいという考えは変わっていないように感じる。

誰か米津玄師を止めてくれ。

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