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SAYONARA、ARIGATO、SAKEROCKよ、永遠に

2015/09/07

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2015年6月、SAKEROCKが解散した。

今や個々の活躍が大き過ぎて、こちらが母体なのにも関わらず、サイドプロジェクトのように思われているかもしれないが、新世代のゆる系ロックスターも、吹奏楽器吹きの個性派俳優も、ロックレジェンドが挙って指名する辣腕ドラマーも、全ては・・・全てはこのSAKEROCKというバンドがあったから、今があるのだ。


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1.ゆるいのにロックな不思議系バンド

SAKEROCKとは、今や押しも押されぬロックスターとなった星野源がリーダーを務めるバンドである。

結成は2000年。

星野の高校の同級生を中心に結成。
ちなみにバンド名はアメリカのピアニストのマーティン・デニーの楽曲名から由来されているという。

2002年CDのデビュー以後、メンバーチェンジや脱退などを経て、ベストアルバムやサウンドトラックを含む12枚のアルバムを発表。

2010年以降は個々のソロ活動が活発化。
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リーダー星野源はソロアーティスト、俳優、映像作家、そして文筆家として活動。
俳優活動はあの大人計画に所属し、3枚目ながらもその優しい雰囲気とコミカルさを武器に多くの作品で主演級の役どころで活躍。
音楽活動でも、その素朴で優しい歌声を活かした心に染み入るナンバーから、ファンク、ロックを巧みに解釈した肩の力が抜けているのにどこまでもアッパーでファンキーなメロディまで、縦横無尽にロックンロールを鳴らし、2015年現在、フェスの常連であり、ヒットチャートの常連でもある人気も実力も兼ね備えたロックスターとして活動。

トロンボーンやスキャットを担当していたハマケンこと浜野謙太は「在日ファンク」というバンドでボーカルも取りながら、俳優活動を行い、その出で立ちや、アドリブ力の高さから個性派俳優として数々のドラマ映画に引っ張りだこ。

上二人と比べてしまうと少し見劣りする感は否めないが、ドラム伊藤大地、奥田民生や真心ブラザーズと言ったロックレジェンドから、レキシ、ハナレグミ、そして細野晴臣などのサポートミュージシャンとして活躍している。

そんなSAKEROCKの音楽がどんなものだったが、以下の動画で紹介したい。

まずはロックなSAKEROCK代表曲「MUDA」。
この曲が、最も「カッコ良い」SAKEROCKだ、と言っても過言ではないだろう。
え、「コレ」で?って思うかもしれないが、「コレ」がなのである。
わかってもらえるだろうか?
この肩の力が抜けているのにソリッドな感じ。
こんなに歌心溢れるメロディをわざわざトロンボーンで吹くこの感性。
これだけユルいのになぜだか踊れちゃう不思議と癖になるグルーブは邦楽史上いなかった。

そしてもう一曲。

先ほどのカッコ良いSAKEROCKとは対照的な、「変」で「ゆるい」SAKEROCKらしい一曲だ。
なんかいろんな音が鳴ってる。
題名が「ホニャララ」なのもPVがNHK教育の番組風なのも、色々ツッコミどころ満載なのだが、そんなことお構いなしに好き勝手に鳴らしまくる音の数々。
そんな脱力感と、遊び心が積み込まれまくったSAKEROCKの代表曲だ。

さあ、ここまで聴いて、あなたは「このバンドのジャンルは何?」と問いかけられたら何と答えるだろうか?

ジャズ?
ファンク?
フュージョン?
パンクロック?
はたまたサンバ?

きっと、そのどれでもないんだと思う。

そしてそれが、彼らの音楽が、如何に面白く、唯一無二と言っても良いバンドだったことを物語っているのではなかろうか?

2.「うたう」インストバンド

ジャンルレスの音楽だというだけで、彼らがここまでの評価を得てきたわけでは決してない。

正直、超絶技術が売りのバンドではなかった。
それこそ初期のSAKEROCKは、狙ってるのが本当に下手なのかわからないようなギリギリのラインの演奏も多かった。
よくわからないけど面白い。
サラッと変なことをやってのける。
デビュー時からそんなバンドであった。

その変な塩梅が、彼らのゆるい魅力を、エキゾチックな魅力を育んでいったのだろう。

デビュー以来、全力で他の誰にも似てない、そんな道を選び続けることで得たオリジナリティがSAKEROCKの肝なのだ。

初期の彼らは、幅広い音楽ジャンルへの造詣の深さを感じさせながら、敢えてど真ん中に行こうとせずに、軽く外す感じがあったが、それはその他大勢の売れ線にならないための彼らなりの必死のもがきだったと感じる。

SAKEROCKデビュー時期は青春パンク全盛期。
確かに、このインストバンドは一聴して、他のどのバンドとも違った。

そしてバンドは、不思議なインストバンドと言う立ち位置から、フェスブームの到来とともに、徐々に盛り上がる邦楽ロックシーンの中で、作品のリリースごとに異彩を放ちながら、強くしなやかに成長していく。

そんな彼らの音楽性の完成形が2006年発売の「song of instrumental」だろう。

このアルバムより、数曲だが、ちゃんとボーカルが乗る曲が出てくるのだが、その出し方がまた素晴らしい。

冒頭に「インストバンドの唄」と題し、ゲストボーカルにハナレグミが歌っているのだが、とてつもなくセンチメンタルで心の奥底にまで染み入るようなグッドメロディの一曲に仕上がっている。
しかし、それを上回る感動を、本編の最後に収録された、その「インストバンドの唄」から、ボーカルを取っ払った「インストバンド」で感じることが出来る。
ハナレグミのボーカル部分を、ハマケンのトロンボーンが絶妙になぞり、そして歌い上げているのだ。

それまで、当然のように聴いていたSAKEROCKのメロディーがこんなにも歌心に溢れていたことを気付かされた瞬間であった。

星野源のギターもハマケンのラッパも、ボーカルがない分、特徴的なメロディを奏でてるんだな、とは思っていた。
しかし、同じメロディを、稀代のボーカリストとなぞっても、一切聴き劣りしないくらい完成されたちゃんとSAKEROCK節が存在していたのだ。
そして、むしろ歌メロの方がしっくりくるようなメロディばかりを彼らが奏でていたという確信に変わる。

歌心溢れるインストバンド。

SAKEROCKがそんなバンドであると世間が気付いた瞬間であった。

そんな気付きの瞬間のボーカルを、メンバーである今や押しも押されぬ時代を代表するボーカリスト星野源が取ったのではなく、ハナレグミというその時代のトップボーカリストにマイクを取らせたあたりがまた憎い。
憎すぎるほどオシャレな演出だ。

この作品以降、バンドは飛躍的にセールスを伸ばし、「J-ROCK界にSAKEROCKあり」と広く一般の人にも知られるようになる。

その歌声のようなメロディラインに、多くの人が心の琴線を刺激され、彼らの音楽の虜になっていった。

多くの人がSAKEROCKの「うた」に魅了されていったのだ。

3.「SAYONARA」そして「ARIGATO」

「song of instrumental」以降、嵐の映画のサントラに、「ホニャララ」「MUDA」と言った金字塔的アルバムをリリースし続け、順風な活動を続けていたバンドだったが、2011年のベース田中の脱退を機に少し停滞する。

ここで、リーダー星野源が本格的にソロデビュー。
その後の活躍は語る必要もないだろう。
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ハマケンも、2007年に組んだファンクバンド「在日ファンク」の活動を精力的に行うように。
sr2音楽活動以外にも両者は、映画にドラマと引っ張りだこに。
しかも、多くが主演級で出演することに。

2013年のベストアルバムで、バナナマンに書き下ろした「Emerald Music」一曲発表したのみで、ほとんど休眠状態と言っても過言ではない状態であった。

画面の向こうでハマケンを見る時間が増えるたびに、星野源のステージの動員数が増えるたびに・・・
「もうSAKEROCKはやらないんだろうな」と思っていた人は少なくないはずだ。

もしくは、「もうSAKEROCKは終わった」と言う人もいた。

そして2015年年初。

少し長いですが、お付き合いいただければと思います。
2013年の夏の入院中、「SAKEROCKでやりたいことはなんだろう」とずっと考えていました。3人体制になってからというもの、バンドとしての活動がうまくできず、次の動きを考えている間にメンバー個人の活動が本格化し、次第にそれぞれの「戦う場所」が生まれました。どんどん時間は過ぎ、「SAKEROCKで戦う意味、活動する意味」を見つけようと思えば思うほど、やりたいことがわからなくなっていきました。ここはきっぱり解散するしかないのかな……。そんな想いでベストアルバム『SAKEROCKの季節』に収録された「Emerald Music」のMVの編集をしていたとき、差し込んだ過去のオフショット映像で馬鹿みたいに笑っている初期の自分たちを見ながら、ふと「この頃に戻りたいな」と思いました。「でも解散するとしたら、もう無理だな」とも思いました。すると、急にポジティブな感情が生まれたのです。「解散するからこそ、できるのではないか?」解散するからこそ「最後にもう一度脱退した二人を呼び戻すこと」もありなのではないか。そうしたら今まで一度も作ることができなかった「オリジナルメンバーでのアルバム」ができるのではないか。そしてその5人で、戦ったり、挑戦したりするのではなく、ただ「メンバー全員で楽しく演奏する」ことがしたい。そのとき、SAKEROCKで心からやりたいことが見つかりました。メンバーの大地くんとハマケンに相談すると、解散することを含め賛同してくれ、元メンバーである卓史くんと馨くんにお願いすると、二人とも快く引き受けてくれました。5人での制作は本当に楽しく濃密で、ポジティブな空気に満ちていました。その勢いの中、1stアルバムのようなラストアルバム『SAYONARA』が完成しました。この1枚で思い残すことなく、自分が結成当初から目指していた音、インストバンドSAKEROCKのすべてを出し切ることができたと思います。
6月のライブをもって、SAKEROCKは5人で解散します。
5人で同時に終われるということが、本当に嬉しい。
メンバーのみんな、本当にありがとう。
そして、ここまでたどり着けたのも、今まで応援してくれた皆さんのおかげです。
本当にありがとう。

星野源

嬉しそうに演奏するシーンが目に浮かぶようなラスト曲だ。

そして、最期までSAKEROCKだった。

そう確信させられる楽曲である。

大往生のラストだろう。

脱退したメンバーを呼び寄せて、ラストアルバムを録って、ラストライブを演る。

SAKEROCKらしい終わり方だ。

そもそも脱退だって、仲違いが原因じゃなかったんだろう。

音楽性の違いではなく、個人の尊重。

そんな別れ方をしたからこそ、終わりの時に、仲間はまた集ったのだ。

本当に良いバンド・・・と言うよりかは本当に良い仲間だったのだろう。

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ラストアルバムを聴けば、この5人でSAKEROCKを終わったという、その多幸感はライブを見ないでも十分伝わってくる。

今年、惜しくも終わりを告げたが、彼らの音楽は、きっとこれからも生き続ける。

SAKEROCKよ、永遠なれ。

素晴らしい音楽を、素晴らしい日常に。

Let’s sing A song 4 ever.

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