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20歳そこそこの女の子の本気ブルースギターがカッコよすぎる「Rei」

2016/11/30

STICKER_ORB_TOWER

ある日の事、普段お世話になっている先輩から突然「Reiってアーティスト知ってる?」と質問をされた。この先輩、職場では普段音楽を全く聴かない人ということで有名な人で、最後にちゃんと聞いた音楽はSPEEDらしい。それくらい音楽に関連してない人。

 そんな人からふいに聴かれたものだから、またアイドルかなんかか?と勘ぐったが見当違い。意外にも女性ギタリストとのこと。どうやら週末に外出した際にたまたま路上ライブで見かけたようだ。

 なにやらとても興奮した様子でいらっしゃったので、そのReiちゃんの感想やら何がすごかったのか聞いてみたのだが、「とにかく凄かった!」の一点張り。シンゴジラを観たおじいちゃんの感想かよ。

 とにかく聴いてみることにしよう。


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ド素人の先輩でも惹きつけられたその才能

 世の中にはまだまだとんでもないやつがいるもんだな…なるほど、こりゃド素人先輩の足も止まる。

 見た目からは想像できないブルージーな歌声、アコースティックギターにぶっといチューブ系を噛ましたサウンドスタイル。サラッと聞くには少々刺激が強すぎた…。こんだけ特徴があったらもうちょっとなんか言うことあっただろうよマイ先輩よ。

 シンガーソングライターRei、 4歳からクラシックギターを始め、小学生の時にはブルースや60年代ロックを嗜んでいたらしい。
 wikiによれば

好きなミュージシャンはブルーズではJohnny Winter、Blind Blake、JB Lenoir、Blind Lemon Jefferson、James Cotton、Hot Tuna、Big Bill Broonzy、クラシックではLeo Brouwer、ポップスではJeff Lang、BECK、ペトロールズなど

 ませすぎじゃないすか?僕が小学生の頃なんてドラゴンズの応援歌ひたすら聴いてた記憶しかない、この差はなんなんだ。あとドラゴンズは来期はこそは頑張ってくれ、マジで頼む。

 だが、そのませ過ぎた幼少期の恩恵はしっかりとプレイに反映されていると断言できる。サウンド面においての表情の付け方、アウトプットの強さは20歳そこそことは考えられないほど洗練されており、目をつぶって聴けばいかつい黒人が顔でギターを弾き倒す風景が自然と浮かんでくる。手数の一つ一つに隙がない、どんな生き方をしたらこの演奏ができるのか教えて欲しい。

 こちらはブルースおじさん御用達ジョニーウィンターをカバーした演奏動画になる。

 "100万ドルのギタリスト"の異名を持つブルース界の巨匠ジョニーウィンター。

 この界隈では避けては通れないほど名の知れた名プレイヤーであり、ブラックミュージックに白人が足を踏み入れることが禁忌であった時代を切り開いた歴史上でも重要なポジションを占める人物だ。Be Careful With A Foolって曲が半端ないブルース力解き放ってるから是非聞いて欲しい。

 でだ、もはやこのお年頃の女性がジョニーウィンターを知っているだけでもうれしいのにだぞ?彼女はそれを完全に自分のモノにしてしまっているのだからもう仕方がない。オジサンホントに心の底から嬉しい気持ちがこみ上げてくる。

 もちろん手がける楽曲はカバーだけではない。

 彼女自身のオリジナルも既に3枚発表されており、その全てのアートワークも自らデザインするほどこだわりの詰まった作品に仕上がっている。

 

古めかしさゼロ、むしろ新しい


 いままで散々熱くブルースおじさんと化し語り散らしていたが、これは…あれだ、ブルース?

 いや、どちらかと言えば現代ポップスのが近い。どう考えてもビビットカラーダンスフルおじさん=ブルースには結びつかない。

 てっきりゴリゴリオールディーズをぶちかますのかと思えばそんなことはない。先のジョニーを引き倒す姿からは想像もつかないほどナウでヤングな作品に仕上がっており、テクニカルな部分をサラっと演じつつメリハリのあるメロディに独創的な歌詞が見事に織り込まれ、彼女の本懐であるブルース、クラシックなどのジャンルの袖をチラつかせどう転がしてやろうかという遊び心をひしひしと感じれる一曲になっている。

 そもそもだ、散々Rei=ブルースかのように話を進めてきたがそれ自体が大きな間違い。彼女の真に良い部分は、このルーツにに対する柔軟な考え方にある。

 リバイバルとして過去を模倣するだけでは面白くない、ということは本人が一番理解しているようだ。でなければこの楽曲、プロモーションには結びつかない。

 この他の作品でも、過去の巨匠達が積み上げてきたブルースの基本進行の中でどれだけ幅を利かせることができるかを模索し、それをいかに自分色に染めようかという実験的な部分も垣間見れリスナーを飽きさせない出来栄えとなっている。

 個人的には彼女の2ndミニアルバムの“UNO”が一押し。流れよく聴けるTheミニアルバム的なバランスのとれた構成がたまらない。

 

これからもブルースおじさんを実力で黙らせてほしい

 突如としてブルースという男の園に現れた希望の星Reiちゃん。いわばオールドミュージック界の姫として光臨した彼女だが、こういったニッチな世界に住む住人は女の子産業が介入することを極端に嫌う。俗に言うブルースおじさんたちはよそ者に至極厳しいのだ。

 だが実際に女性というアイディンティティをこれ見よがしにゴリ押しし、肝心な部分がお粗末ななんちゃってアーティストが乱立している事実も否定は出来ない。おじさん達は自らの聖域を守るのに躍起になり、そのせいか少々ばかしブルースの人口は極端に減ってしまったぐらいにも思う。

 それを踏まえてだ、彼女には是非ブルースおじさんを唸らせるその技術と貫禄でこの界隈を切り開いていって欲しい。そのありあまるブルース力で世間のリスナーをぶん殴っていってほしい。今後の彼女の活躍を、素人先輩と共に追いかけるとしよう、それではまた!次の記事で!

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