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2017/04/15

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祝武道館決定!打首獄門同好会をサクセスを見てるとこんな世の中だけど夢を持てる

 いやあ、めでたい!

 最近のロックバンドはある程度売れると武道館やるという風潮があるせいか、この頃は武道館インポというか、どのバンドが武道館やると聞いてもどうも「ああ、最近調子いいんだな」くらいにしか思わなくなってしまっていたのだが、今回はちょっと違う。

 それこそ幼馴染が東大に受かったみたいな気分。別にメンバーと面識があるとかそういうのは一切なくて、普通のファンでしかないのだけど、このバンドのもつ妙な親近感のおかげもあると思うのだが親しい友人のことのように嬉しい。

 嬉しいと同時にマジかと思っているのが現状。だって武道館だぜ。打首ファンの方は今まで武道館でライブをしたバンド一覧みたいなの検索してみてほしいんだけど、あの錚々たるメンツ。改めてみてみるとやっぱりロックの殿堂。”生活密着型ラウドロック”でそこまで上り詰めたわけです。すげえよ打首。

改めてよくこんなバンド売れたな

 僕が打首獄門同好会というバンドを知ったのは確か2010年ぐらいのころ、ライブハウスでバイトしてる友人が面白えバンドがいるとか言って紹介されたのを覚えている。

 今でこそ武道館をやるぞってとこまで人気がでたのでいえるが、正直なこと言えば売れないだろうなーと思っていた。みなさんも経験があるがあると思うけど「自分は好きだけど売れなさそうだなー」のアレ。

 まずバンド名からして「打首獄門同好会」という”六波羅探題”を並みの厳つい文字列。一般ウケからは程遠いというか、むしろ来る人を門前払いするロックなネーミング。

THE ORAL CIGARETTES, 04 limited sazabys, ゲスの極み乙女。, SHISHAMO, KEYTALK, 打首獄門同好会

 近年武道館でライブを行ったバンドを幾つかピックアップしてみたんだけど、ロックバンドとして成功するためには欠かせない若いリスナー、例えば女子大生とかになった気分で想像してみてください。”打首獄門同好会”の文字列にトキメキましたでしょうか。トキメイちゃった方は女子大生の気持ちになりきれてないだけです。一日300グラムマカロンを摂取して出直してきてください。通常、女子大生という生き物はこういう文字列には惹かれないようにできているものなのです。

 


打首獄門同好会 - 日本の米は世界一

 

 売れなさそうな要素はバンド名にとどまらないのが打首獄門同好会。

 音楽性はちょっと面白い要素が入ったラウドロック。マキシマムザホルモンが流行った後にこの音楽性は不利すぎる。定番曲はあるけど一発逆転のヒットソング的なのは今のところない。ファッションアイコン的に若者の間で流行したとかそういうのもあるわけでもなければ、公式で年齢を公表してないっぽいので深く言及はしないけど、そろそろまあ割といい年良いってるオジサンとおネエさん。あとご尊顔のほうも、フロントマン大澤会長の顔は見慣れてくると趣深いというか、心の目でみるとイケメンというか。何重苦だコレ。ここまでくると拒食症の相撲取りみたいな四面楚歌。

 改めて書き出してみたけど、とんでもないバンドです彼ら。先ほどピックアップした武道館バンド達とみごとに真逆。

 そんなバンドが若くて見た目が良くて若者に人気がある流行りのバンド達に割って入って武道館をやるといっているワケです。これってすげえ夢がある話だなとおもうんですよね。売れるバンドの方程式といいいますか、それから外れても成功することができるんだって証明してるんです彼ら。

 

まごころ


打首獄門同好会 - TAVEMONO NO URAMI

 とにかくまあこのバンド、通常”売れるバンドに必要とされる要素”みたいなのがすべからく欠如している以上、それ以外の部分に魅力があるということです。

 いましがたこのバンドを初めて聴いたばかりって人は「面白いところがいいのかな」と思うかもしれないけど、もちろん間違いなくそれも魅力の一つではある。食べ物の話で一喜一憂して曲を作っちゃうというところからまず面白いし、大澤会長めっちゃ喋り面白いしなんなら文章も面白い。

 ただそのあたりのは個人的にはどちらかというとそれは入り口の部分だと思うんです。

 僕の意見なんだけど”笑い”ってのは持続しにくいものなんじゃないかと思っておりまして。極論だけど同じお笑いネタを何回も繰り返して見て笑えるかという話です。大西ライオンを100回見させらるのを想像してしてください。ちょっとした拷問の類ですよこれは。

 でも音楽って普通に繰り返して聴いてしまえるじゃないですか。僕のitunesで確認したところ打首の曲で一番多く再生したのは「カモン諭吉」の72回。金欠でやっていけねえ時に無理やりテンションあげるために流した分のおかげで結構多いけど、もし仮にこの曲が”笑い”の要素しかない曲だったら、これは自分で自分を拷問してることになってしまうわけです。

 笑えるっちゃ笑えるけど、彼らのは恐らくお笑い芸人の”笑い”とはまた別種のカテゴリーのものではないだろうかと。この感情を説明するために色々と考えたんだけど、多分これは優しさ、人間の暖かみ、もっといえばまごころという言葉が一番シックリくると思うワケです。

 


打首獄門同好会 - デリシャスティック

 

 金がなくてしんどい気持ちを歌にしたり、ただ食べ物が上手いってだけの話を高々に歌い上げたり。”生活密着型ラウドロック”を銘打ってるだけあって日々の何気ない気持ちを共有できるというか。話したこともないけど親友みたいな感じ。

 冒頭のほうに書いた”妙な親近感”やらこのバンドの異常なまでの好感度の高さはここからきてるんじゃないだろうか。

 音楽だけじゃなくて普段の喋りや文章からもめちゃくちゃ良い人感でてるし、ライブのときはファミリー席とか学割とか「『開場から開演まで1時間も待つの暇でしょう?』というお楽しみプチ企画」とかがあってクソ優しいし、なんなら大澤会長インタビューでKenKenにメンバーにも超優しいエピソードを暴露されてたりもするしな。

 この超良い人感が曲にも現れているし、だからこそ僕は打首獄門同好会ってバンドが好きなんだろうなと思うわけです。

 あとこの辺に埋もれてあんまり語られないことが多いけど、地味に演奏がガチで上手いのもポイント。優しさとか面白さ抜きで普通にロックとしてカッコいい。

 

応援してます

 というわけで決して一般ウケしなさそうなこのバンドが、ついに武道館をやれるようなところまできた、ということで非常に嬉しく思っているわけです。

 ただまあ実際問題武道館のキャパ大体一万人。「友達100人できるかな」を100回やってたどり着く途方もない数字でございます。武道館の告知がされたライブのスタジオコーストはキャパ2400人。大体4倍くらい。遠めに見ても「マジでいけるか…?」みたいなチャレンジングな試みだと思うし、公式でも武道館を成功させるにはさらなる勢力拡大が必要とのこと。そこで4季連続リリースなどを含めた勢力拡大企画「目指せ武道館!!2017-2018 戦獄絵巻」をやるらしい。

 うーん。はたしてうまくいくだろうか。上手くいってほしい!とにかく、応援してます!

 それでは!

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