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2017/04/15

レビュー 記事

シンガーソングライター=ギター語り弾き? ビッケブランカはピアノマン

いきなりですが、皆さん"シンガーソングライター"と聞いて何を思い浮かべますか?

"シンガーソングライター"で画像検索してみた結果がこちら。

見事にみんなギター持ってる。検索結果からもにじみ出ているが、おそらく多くの人のイメージは「ギター持ってる歌手」といったところだろう。

近頃はギター1本持って歌う人が多いせいかそのようなイメージがついてるのかもしれないけど、実際の"シンガーソングライター"は、歌って曲も作っちゃう人って意味です。シンガーであってソングをライトする人だから。楽器は関係ないし歌う時に持ってなくてもいい。

確かにギターは持ち運びも簡単だし、アコースティックギターであれば電源も不要、単音も和音も奏でられるので語り弾きをするにはピッタリの楽器だ。だから多くのシンガーソングライターはギターを構えているし、皆さんのイメージもそのようになったのだろう。シンガーソングライターと言っておきながらギター持ってないと「話が違う」とサジを投げたくなるのも分からなくない。「なんか見栄えが良いから」と、弾けなくてもとりあえずぶら下げさせとくという歌手プロデュースもあったりする。

でもさ、もう日本のギター持って歌う人の音楽お腹いっぱいじゃないですか? 需要よりも供給が上回っている、完全に飽和状態。ギターと歌は音域が被っているから実は聴きづらい、もうそのシルエット見飽きた。

そこでオススメしたいのがビッケブランカ、今時珍しいピアノマンです。

ピアノマン、ビッケブランカ


ビッケブランカ『追うBOY』(official music video)

ピアノマンってのを紹介したいのに全然ピアノ弾いてくれないビッケブランカ。このピアノの前でフラフラしてる人がビッケブランカです。

ピアノをメインに置いたサウンドメイキング、これがビッケブランカの楽曲の特徴。アレンジもバンドサウンドで特に新しいことはしていないんだけど、最近の流行り音楽でこういった古臭いアレンジは滅多にない。これで売れていこうと考えているのだからかなり挑戦的だし、その結果類似したミュージシャンがいないため目立つことに成功している。

60年代までは歌手と作詞作曲編曲家は別の場合が多かったが、そこを1人でやってしまおうとなったのが70年代。だからシンガーソングライターという言葉には自作自演の意味以外に70年代初頭の音楽という意味も込められている。ビッケブランカは今流行りの音楽ではなく、古臭い音楽としてのシンガーソングライターになろうとしていると感じる。ちなみにスタンスが近いのは星野源と藤原さくら、ここらの音楽性は結構古臭い。好きです。


ビッケブランカ『ファビュラス』(official music video)

全然ピアノ弾いてくれないビッケブランカ。

こちらもピアノポップ全開の楽曲、古臭いね。力強いピアノサウンド、そして歌声も特徴的だ。いきなり裏声でオクターブ上に登ったり、急にオクターブ下に降りたり、歌うのは結構大変。ここまで綺麗で伸びやかに裏声が出せるのは案外難しい。それを楽しそうにやってのけるんだから聴いているこっちもウキウキしてくる。伸びやかな裏声も素敵だが、地声も芯があって結構いい。

アイドルだったりEDM寄りのサウンドだったり、みんなで歌いやすいがウリの楽曲が多く売れる今の時代に、このような古臭ピアノサウンドとオクターブ行ったり来たりの歌で勝負する姿勢にも惚れ込んでいるんだなと思ったよ。

ビッケブランカの音楽はオマージュかパクリか?


ビッケブランカ / 『Slave of Love』(official music video)

一度もピアノ弾いてくれないビッケブランカ。

さて、ビッケブランカの音楽を取り上げると出てくるのが「〇〇のパクリじゃん!」というコメント。

例えばこのSlave of Loveで言えばクイーンのパクリという言葉がちらほら見受けられる。


Queen - Killer Queen (Top Of The Pops, 1974)

ピアノやギターの音色、裏声など類似している。

どんどん行こう。追うBOYならシザー・シスターズだ。


Scissor Sisters - I Don't Feel Like Dancin'

ファビュラスならミーカだ。


MIKA - We Are Golden

聴き比べてみると類似点がたくさん見つかる。

言いたいことはわかる。が、2000年代に出てきたシザー・シスターズやミーカ自体が既にクイーンやその他70年代シンガーソングライター、ディスコ、ピアノポップのオマージュをやっているんですよ。だからパクリじゃなくてこれはオマージュ。

70年代音楽ファンには懐かしさを、現代には温故知新で挑んでいると言える。こんなのはね、ブルーノ・マーズも一緒ですよ。"あの頃"に憧れてみんな音楽を作っているんです。むしろビッケブランカ以外にこのような音楽を今やっている人っている?

私は70年代シンガーソングライター期のピアノポップをうまく日本語に落とし込んだなと感心するばかり。オマージュの具合も程よく、今時ピアノマンというのも好印象だ。

シンガーソングライター・ピアノポップが今後伸びるか


Natural Woman Uta-Tube / ビッケブランカ

70年代の音楽が〜とか言ってきたが、老害っぽくなってないかちょっと心配。Natural Womanもブラックミュージックお得意のコード進行使ってて私的にどストライクなんだけどね。今時こういった音楽は珍しいので、新しいものとして聴いてみてもいいんじゃないでしょうか?

ビッケブランカの活躍によって"シンガーソングライター"という言葉がギター弾きからピアノ弾きに変わったら面白いのにな。以上!

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