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レビュー 邦楽ロック

Wiennersを"でんぱ組.incの楽曲提供をしている人のバンド"って言うのをやめろ

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 ことメジャーシーンにおいて、音楽は単純にインパクト勝負になりやすい。アニメやドラマの主題歌、CMソングなどの恵まれたタイアップでもなければ、音楽が人に聴いてもらえるチャンス、好きになってもらえるチャンスはわずか1回。YouTubeの1再生、1サビまでにいかに強烈なインパクトを残せるか。そういう強さが求められる。

 

 Fear,and loathing in Las Vegasの登場は当時衝撃的だった。耳を爆音でぶん殴ることしか考えてない。音楽ゴリラ。

 乱暴にラウド系!とくくるなら、FACTやattack!attack!も同じタイプのゴリラ。インパクト!バナナ!アンド暴力!!そういう音楽だ。

 

 今一番アツイのはミセスグリーンアップル。当サイトでも賛否両論で取り上げられているのでぜひ読んでほしい。ルックス、歌声、シンセ、鬱病患者を一撃で殺す激毒のようなポジティブだ。これも別系統ではあるがインパクトを重点に置いたインパクト音楽な一派だろう。

 ベガス、ミセス、と来て、今回僕が紹介するのは「Wienners」というバンド。

 上記のゴリラや激毒に勝るとも劣らない"音の爆発"を体現しているバンドだ。まずルックスを見てほしい

 

wienners

 ハジけ過ぎてジーンズの膝から下が爆散。一見人間に見えるかもしれないが、騙されないでほしい。限りなく人間に近いエリマキトカゲだ。インパクトが強すぎ。両サイドに巨人や女の子もいるのに他に全く目がいかないインパクト。

 

 Wiennersは東京都内のアンダーグラウンドなバンドシーンで着実な支持を集めてきた実力派バンドだ。

 作詞作曲のフロントマン、玉屋2060%…まぁ名前もそれなりにぶっ飛んでんな、なんだ、真名明かさないのか、サーヴァントか?

 この男がなかなかの切れ者、天才。作曲のセンスはずば抜けている。

 実際他アーティストに楽曲提供などを行っているのだが、その楽曲を実際に聞いていただきたい。

 

 この曲作曲してるのが写真のロン毛。玉屋さん。上にラスベガスあげてるけど、この曲も負けてねぇ。ルックスの破壊力も負けてねぇ。

 とまぁこのように、一見、華やかな活躍をしているように見えるwiennersだが、これまでの道のりは決して平坦とは言いがたいものであったようだ。


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長い苦難の道のり

 アンダーグラウンドなシーンで頭角を現し、評価を経て満を持してメジャーへ乗り込んだのもつかの間、メンバーの脱退や活動休止、そして活動再開と同時にリリースされたCDはインディーズからのリリースとなった。

 さらにここからは憶測に過ぎないのだけれど、俺の身の回りにいる人はwiennersを知ったきっかけの多くに「でんぱ組の楽曲提供をしている人のバンドとして知った」と答えている人が多かった。よく話を聞いてみると、既存のファン層と、新しく入ったファン層とではやはり毛色が違うとの意見も見られた。そういった新規のファンのせいで、足が遠のいちゃったな、という人も少なくはないようだ。

 新しく流入してきたファン層は、アイドルのライブなどに好んで通っていた人が多かったらしく、その独特のノリやライブの楽しみ方が食い違ってしまい、既存ファンにとってはこれまで通りではいづらい空気を生んでしまったのだろう。

 

 俺も実際経験がある。

 高校在学当時、俺はKEYTALKが好きだった。

 地方ツアーで回ってきた彼らを初めて見る機会があった。本来の目的は対バン相手のバンドだったのだけれど、初めて見たKEYTALKはUNCHAINやthe band apartなどの、テクニックを前面に押し出した楽曲が挟み込まれていたり、対照的にドン!と盛り上がるような曲もあったりと、とにかくライブが楽しかった。

 そのあと少し経って、KEYTALKがメジャーデビューしてからまたLIVEを見る機会があったのだけれど、そこはまさにメスの楽園だった。

 メンバーをあだ名で呼んで黄色い声援を上げるメス、MCでメンバーに猫なで声で話しかけるメス、ライブハウス前で出待ちするメス。

 俺はジャニーズのライブにでも来ているのか?今回は純粋にKEYTALKを見に来ただけにがっかりだった。おまけに楽曲もポップなもので固まって30分が終わってた。

 ファン層でバンドへの見る目が変わる、というのは、俺はにわかに信じがたかったのだけれど…。うん…。

 こうして、俺のKEYTALKとの付き合いはMABOROSHI SUMMERした。

 このように、(一つは完全に一面的な話を聞いただけの推測のようなものだけど)バンドを続けて、かつ人気を得ていく上で大いに苦労があったことは確かなようで、特に人気が出てきていた大事な時期でのメンバー脱退からの活動休止というのは本当に痛手だ。

 しかしながら、僕は思うのだ。

 彼らには今置かれた状況や逆境を覆し、再びメジャーシーンに返り咲くだけのパワーがあると。

 当サイトをご覧いただいている、センスある皆さんに、ぜひ知っておいて欲しいのだ、このバンドの底力を。

 

楽曲がとにかくハンパじゃねぇ

 最初にwiennersを聴いた時、まず要所要所に挟み込まれるシンセの派手な音に気を引かれたが、よくよく聞いてみると

「骨格はメロディックパンクじゃねえか」

 と気が付いた。

 歌、ベース、ギター、ドラムのサウンドだけを注目して聞いてみていただけたらわかるのだけれど

・2ビートや四つ打ちを多用した性急なビート
・全体的にシンプルなギターサウンド
・楽曲は2分半~3分ほどの曲が多く、ショートチューンを基本とした構成

 など、要素としては完全にメロディック。パンク畑の人間の楽曲構成である。

 しかしながら一筋縄ではいかないのがwiennersで、ド派手なシンセのサウンドや、緩急自在のベースライン、ただオクターブを上下するだけでない気持ちのいい男女混合の爽快なコーラスワークなど、彼らの楽曲ならではの魅力も兼ね備えている。

 

 奇怪すぎるPVに目が行きがちだけども、楽曲の完成度は目をみはるものがある。

 上記の要素を緻密に積み重ねて、どこで作用させれば音楽として高い次元なのか、おそらくしっかりと思考して作られているだろう。

 適当に派手な音を使ったりベースで遊んだりしてもただテクニックの押し付けのような楽曲ができるだけだ。その点、彼らの曲はさすがだと思う。思いませんか?

 

他のバンドとのサウンドメイキングで違うところ

 根本は違うが、表層の部分でおそらく同系統として並び立つであろうミセスグリーンアップルの代表曲。いつ聞いてもウルセェ、きらびやかすぎる、そこが心を打つのだけれども。

 

 対してこちら、wiennersの楽曲。

 みなさん、この二曲、キーボードサウンドがフィーチャーされているからか、多くの人が似ていると感じてしまうんだけど、随分とタイプが違う。

 ミセスの楽曲はわかりやすく言うと「メジャー感」のようなものが爆発している。

 メジャー感、というとぼやかした表現だが、要はサウンドメイキングや音楽性の話であり、ミセスの場合はギターやドラムといった明らかなバンドサウンドよりもシンセによるきらびやかなサウンドを全面的に押し出し、歌メロに高低差をもたせて、少年性のあるハイトーンボイスで爽快に歌い上げる…といったところか。

 簡潔に述べるならば、バンドによって奏でられる音楽ではあるのだが、バンド独特のヒリヒリと乾いたソリッドさよりも、耳障りの良いポップスとしての完成度が追求されていると言える。

 

 対するwienners、こちらはその逆。彼らの育ったアンダーグラウンドな「バンド感」が伝わってきませんか?

 ミセスと比較してみて、キーボードの華やかさはあれど、それはあくまで「楽曲の一要素」にしかすぎず、前面に押し出して印象付けるよりも他の要素と親和させるような使い方をしている。おかげで、ギターサウンドやドラムのビート、上にあげた個性的なベースラインが映えるわけだ。そしてこのバンドサウンドこそが、目立たずともwienners節というか、彼らの育ってきた畑の空気感を醸し出している。

 なんで俺がこんな分類にしたか?

 理由は単純で、まず、ミセスの楽曲でのキーボードサウンドは昨今の邦楽ギターロックのリードギターと似た役割を担っている。

 

 こんな感じ。ミセスのキーボードは歌メロに沿った「歌えるフレーズ」をギターが奏でている邦楽ロックのそれと目的は同じ。

 歌メロ以外に派手なフレーズぶっ放して耳に嫌でも引っかからせる。

 一方のwiennersだが、こちらはイントロなどでは個性を発揮しつつも、ボーカルがメロディを歌っている最中やベースのフレーズが際立つタイミングなどではしっかりと引いて添え物としての自分の存在を有効に発揮している。

 アルバムを通しで聴いてみたらわかるのだけれど、wiennersのキーボードサウンドは足し算と引き算の使い方がうまい、うますぎる。PVにない楽曲もぜひ聞いてもらいたいくらいだ、俺はこんなにうまいバンドは初めて見たってくらいですよ。

 そりゃ初動のインパクトであったり、耳への残りやすさなんかはもしかしたら劣ってしまうけれど、彼らの武器はあくまで楽曲構成。しっかり2~3分の楽曲を通しで聴いてみてこそ、リスナーを感嘆させるタイプの緻密な音楽。

 個人的な趣味で申し訳ないけど、完全に俺は後者の側が好きな人間。若者の音楽は俺の耳では明るすぎて疲れる。音数が多いしキラキラと眩しすぎる。

 俺は可愛らしさよりは、バンドにしか出せないソリッドな存在感が欲しいのだ。同じだ!って人いるでしょ。

 

絶対目をつけておくべき

 新譜も聴いてみたのだけれど思ったことはただ一つ、「アルバムで聴いてみて」だ。

 リードトラックでも上のことをつらつら語れるくらいにもちろん魅力的。しかし、彼らの引き出しはこんなもんではなく、アルバムで聴きこむと凄みが増すのだ。

 今は確かに苦難の状況であることは変わりはないだろう。

 しかし、俺はこのバンド、「あぁきっかけがあればすぐ売れちまうぞ」って思ってます。

 ここまで幅の広い音楽をやっていながら、ブレずに自分たちの根っこは残し、かつ緻密に音楽を作り上げられるバンドは数少ないのでは?

 きっと、根強いファンに支えられて、これからどんどん上に行くだろう。

 当サイトをご覧の皆さん、今のうちにみといて損はないバンドです。

 さっさと上に行かれちゃう前に、今のうちから目をつけて、その躍進を見届けませんか?

 それじゃ今回はこの辺で!

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