エンジニア不要論!?ミックス・マスタリング未来予想図Ⅱ
ミックス・マスタリングエンジニア、なかなか音楽を作る側の人でないと聞きなれない言葉かもしれない。
結構な人が音楽は録音したらそのままCDになっていると思っている。違うぞ!
録音・ミックス・マスタリングってなぁに???という諸君のために、めちゃくちゃざっくり料理に例えて説明すると。
- 作る料理に合わせて素材を集める ←録音
- 料理する ←ミックス
- 盛り付ける ←マスタリング
みたいな感じだ!
- 録音されたままの音源は要するに、肉じゃがで言うと生のジャガイモをかじるようなイメージだ。
- ミックス済みのままの音源は、肉じゃがで言うとつまみ食い状態だ。正直このままでも十分食える。ただ食べにくいというか。
- マスタリング済みの音源は、キチンと盛り付けられた肉じゃがだ。皿の種類や大きさで印象もかなり変わる。
人工知能が自動でマスタリングしてくれるサービス「LANDR」
いやあ時代は常に進み続けている。最近リリースされたサービス「LANDR」はブラウザから未マスタリングの音源をアップロードすると人口知能がマスタリングして返ってくるというヤバさがヤバイサービスだ。
料理で言うと自動盛り付け機(人工知能つき)だ。
マシーンによる全自動マスタリング。いかなるものなのだろうか。
よし、とりあえず試してみよう。
LANDR(機械)と
私、ジョルジュ(人間)でそれぞれマスタリングしてみた。
こちらが私がマスタリングした音源で
こちらがLANDRさんがマスタリングした音源のサンプルになります。
使ってみた感想としては意外と使えるといった印象だ。いちいち難しいことを考えずにぶち込むだけでそれなりにいい音になる。
やはり全自動なので、”ボーカルを前に出す感じ”とか”パンチが足りねえ!”のようなものには対応できないのだが、DTM初心者や、ホントはミックスとかマスタリングをやりたくないのにやらせれている人とかにはおススメである。
自動化されていく音楽
wavesアーティストシグネイチャーシリーズ
音響プラグインで一番最強のブランドwavesから出ているアーティストシグネイチャーシリーズ。
このプラグインはミックスで使うプラグインなのだが、ヤバイ。
料理で言うと全自動料理マシーン。
なんかサザエさんに出てくる全自動卵割り機みたいだな。
ニコニコ大百科 全自動卵割り機
話がそれた。
このシリーズアーティストシリーズ、名前から予想すると何か有名なバンドとかみたいな音になるのかと思ってしまいそうだが、違う。
そう、偉大なエンジニアたちの音になるプラグインだ!正直普通の人にとっては、いくらヤバイエンジニアだろうが全く知らないし、興味ないだろう。めちゃくちゃニッチだ。(いまさら感はあるが)
で、このシリーズ何がヤバイかというと、
ほとんどぶち込んだだけでミックスが終わる
複合型のエフェクターとでも言うべきなのか、一つのプラグインの中に、コンプ、EQ、リバーブ、オーバードライブ、ディレイ、ダブラー・コーラスなどまとめて入っている。
そして、それぞれ、ボーカル、ギター、ベース、ドラムなどの楽器に合わせたプラグインが用意されていて、ぶっ挿すだけで感動的に良いミックスが出来る。
やばい
確かにこれらは全自動的なものがあり、細かい部分まで追い込もうと思うと、なかなか融通が利かない部分もある。
だがぶち込むだけの気軽さとスピード、全く知識や技術がなくても良いミックスが出来る。
正直全くの初心者でも、このwavesアーティストシグネイチャーシリーズでミックスし、LANDRでマスタリングすれば、全DTMerのミックス品質の上位1割には入れることが保障できるレベルである。
機械ヤバイ
今回の記事やばいがやばい多くてまじやばい
いずれエンジニアはいなくなるのか?
先ほど、マスタリングとミックスの自動化について紹介したが、録音というのも自動化できるのか。
よくよく考えてみればもうすでにかなり普及した姿で登場していた。
打ち込み音源だ。
シンセサイザーベースの音源と生音をサンプリングしたパターンの音源、後者はレコーディングの自動化といっても差し支えないだろう。
プラグインを立ち上げるだけで完璧に録音された音源が使用できる。
ギターのアンプシミュレーターも録音の自動化といえそうだな。
また、最近では自動で作曲するマシーンが出てきたり(これに関してはかなり微妙だが)
音楽制作の自動化は年々すごいスピードで進化している。
どんどん自動化されたままでいいものが作れるようになった。もはやミックス技術の世界をリードするエンジニア以外は職を失ってしまうのか?
自動化の果てには、音楽制作はどのようになるだろう。ここから先は完全に個人的な妄想の範疇なのだが、
- エンジニアは二極化する。トップアーティストを担当するトップエンジニア、自動化されたプロセスで編集する、プロデューサー的な側面を持つサウンドデザイナー(仮称)
- トップエンジニアは今までどおり、最高峰の技術を使って音楽業界をリードしていく。
- トップエンジニアではないエンジニアたちは、自動化されたことにより素人でもそれなりのものが作れるようになったため、別の道を探す。
- そこで、そういうエンジニアはクリエイティブな音響アイデアを考え、実践するのを専門とする、プロデューサーとエンジニアの中間のような存在、サウンドデザイナー(仮称)になる。
アーティストたちは、自分たちの商業的規模に合わせて、自前でやるか、サウンドデザイナーに頼むか、トップエンジニアに依頼するか、と選択肢が増えるのではないだろうか。
もちろん技術的な敷居が下がったことにより、自分でエンジニアをやるアーティストも増えてくることが予想される。やはり、自分でミックスした方が自分の理想の音世界を忠実に再現できる。
別の側面から考えてみよう。
やたら食べ物に例えるが、今回も食べ物に例えてみる。
例えば、インスタントラーメンや、冷凍食品。最近のものなんかは下手したら外食したり自炊するより全然美味いものもある。
食べ物に例えた場合、音楽のエンジニアは料理人にあたるが、どれだけ食べ物の技術があがっても料理人がいなくなることはない。今のところは。
だが、ここに関していうと飲食店は”場”を提供するという側面が大きい。
では、技術の進歩は料理の世界に何をもたらしたか?
私は料理の幅が大きくなったと思う。
それと同じように考えれば、エンジニアリングの技術の進歩もエンジニアリングの幅が大きくさせるのではないかと思う。
面白い時代がくることを期待している。