People In the Boxの暗号を解く
この地下室TIMESを見る人なら知ってる人も多いのではないか。
今回はPeople In the Boxについて特集するのだが、サウンドやライブについてではなく”歌詞”に注目して、というか「歌詞が何を示しているのか」を読み取っていこうと思う。
ピープル波多野さんが「歌詞の意味を解説したりしない」と宣言しており、謎は謎のままがいいこともあるのであくまでこれは僕自身の見解ということを頭の隅に置いて読んでもらいたい。
旧市街
ピープルのキモさ(良い意味で)が世に広まった素晴らしい曲、この曲から解いていこう。
まだわかりやすいほうかな・・・これは輪廻転生を歌っていると予想する。
時間だよ
僕から生まれた僕自身に告ぐ
「メメント・モリ」
メメント・モリというのは「自分が必ず死ぬということを忘れるな」という意味である。つまりこれは「今の”僕”の人生から次の”僕”の人生へ言葉を託している」ことを表している。
さらに一度目のサビ、つまり一度目の輪廻転生を終えてからの2番のAメロの冒頭
かくして僕は塔に君臨した
さあ角砂糖を献上せよ
曲中でも印象強いフレーズである。
これを読み解くなら、「塔に君臨」=「人生という塔に次の”僕”が到着」
そして「角砂糖」、これは「時間」だろう。「(新しい人生を歩む)僕にもっと時間をくれ。これからの僕に時間をくれ」ということなのではないだろうか
「時間」も「角砂糖」も同じ”溶ける”ものだから。
ニムロッド
以前、地下室TIMESでも歌詞のセンスが良いということで取り上げられたこの曲を次はいってみよう
まず、「ニムロッド」とはなんだろうか。調べてみたところ自走砲やミサイルの名前がヒットした。おそらくこれだ。
この曲は空襲だ。そう考えるとそうかもしれないと思う単語がいくつかある。
「火照った大地を見下ろした」「飛び交うバスケットボール」「飛行船」
これらはモロ空襲をイメージできる。
あの太陽が偽物だって
どうして誰も気づかないだろう
この部分は地上にいる、被空襲側の目線ではないだろうか。
見上げると赤く光るミサイル。これは太陽ではなく今から自分たちを吹き飛ばすものだ、という表現。
最後の節の、
足を滑らせたら、パラシュートは開かない
も憎い演出だ。パラシュートが開かないと落下物はどうなる?取り返しもつかない結果を連れて地上に降り立つのだ。
聖者たち
この曲はTVアニメ「東京喰種トーキョーグール」のエンディングに書き下ろされた曲だ。
ということで東京グールに沿った内容になっている、と考えると妥当だろう。もしくは作詞した波田野さんが「東京グールを見て思ったこと」を書いたのかもしれない。
東京グールはグールと人間のハーフ的な存在のカネキくんが主人公である。
まだ空っぽな明日は
限りなく黒に近いグレイ
なにかにもなれずに
限りなく黒に近いグレイ
ここに「人間でもグールでもない自分の不安」が表されている。「限りなく黒に近い」は、今まで人間→半グールになったため「僕はもう人間ではない・・・グールなんだ・・・」というネガティブな感情による「もう黒なんだ」という自己解決的な絶望が見える。
「クイズ」という単語も日々「自分は何者なんだ」と問う様子が見える。
問題は、なぜ”聖者たち”というタイトルになったのかという部分だ。うーん・・・
あまりにも情報がなかったので「聖者たち」でググってみたらディーノ・ブッツァーティの短篇集に「聖者たち」という作品があることがわかった。
聖者として崇められるマルコリーノと人間から忘れ去られた存在のガンチッロが登場する作品らしい。
この2極化した存在は確かに東京グールの人間VSグールに通じるところがある・・・のか・・・?
怪しくなってきたからとりあえずそういうことにしておこう・・・
最後に
正直、People In The Boxの楽曲の歌詞のテーマは読み解こうとするととても難しい。
精神病がテーマだったり戦争や政治がテーマだったりするものもある。(ここも私の見解では、の話だが)
ちなみに一番難しいのは曜日で題名がつけられたアルバム、GhostAppleだろう。私もこの意味を研究してみたのだが紹介した3曲以上に確証がもてないためここでは割愛している。ぜひピープルファンの皆さんで解釈してほしい。
もともと、People In The Boxは「歌詞の解説は絶対しない」と公言している。
「あなたの感じるままに感じて欲しい」という波多野さんの願いを破ることになるかもしれないこの記事。
感じる人には恐ろしいタブーになるかもしれない。そう感じた人には大変申し訳なく思う。
最初に言った通りだがあくまで私自身が感じて、考えた解釈であるのを忘れないでいただきたい・・・
まとめると、ピープルはやっぱすげえや!ってことで。