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邦楽ロックはなぜクソか 邦楽ロック ジャンクフード化問題

2016/05/14

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前回:バンドは儲からない バンドマンなら”絶対に”知っておくべき音楽経済学

*追記 記事内での"邦楽ロック"という単語が指す範囲について

前回チラと触れたが今回はもっと邦楽ロック画一化の悪循環について掘り下げて行きたい。タイトルこそ字面のインパクトとの兼ね合いで否定的なものとなっているが、内容は否定一辺倒というわけでもないので「邦楽はもう終わりだ」と嘆いている人「はぁ?邦楽ロック最高だし」と息巻いている人、その両方に読んで是非一考してもらいたい。

"邦楽ロックはクソ"派の主張

邦楽はもう終わりだ、と言われて久しいが、彼らが何を以って"邦楽は終わっている"と主張しているかを具体的にしよう。

・オリコンチャートがジャニーズとAKBで埋まっている
・CDが売れていない
・似たようなバンドばかり台頭している

こんなところだろうが、上二つは今回触れて行きたい"邦楽ロックの音楽性の停滞"という意味での"終わってる"とは論点が大きくズレているので簡潔に済ましたい。

CDが売れていない最たる理由は言わずもがなインターネットの発達だ。わざわざCDを買わずともYoutubeを開けば無料で聴けてしまう現状が音楽・CDの金銭的価値を大きく低下させている。

また、安価もしくは無料で楽しめる娯楽が増えたことが音楽業界の業績の悪化に繋がっている。という主張もあながち八つ当たりとは言えないだろう。小中学生の時分から身近にニコニコ動画のような無料で延々と遊び続けられるような娯楽があれば、それに傾倒するのは当然であるし、3000円払ってCDを買うよりは、まずボーカロイドや歌い手に手が伸びるのが自然だ。
もしレコード店でブラックサバスとメイヘムを両手に「どっちにしようかな…」と迷っている中学生がいたら逆にそいつの方が異常だ、将来が危ぶまれる案件だ。
小中学生に的を絞って書きはしたが、邦楽ロックの主な購買層と思われるハタチ前後の人間においてもそう違った話でもない。ニコニコ動画がツイッターや2chまとめ、ネットサーフィンに変わる程度の事だろう。

以上を踏まえて考えれば、わかりきった話ではあるがAKBはCDの中身ではなく握手券として金銭価値を付与しており、音楽が売れているというわけではないのである。実際に人の手を渡りに渡って要らないAKB・SKEのCDが僕の手元に回ってくることもしばしばある。「作曲めちゃくちゃ凝ってるな…」と感心して聴いたりするが実際は購入した人間のほとんどがそんなこと気にも留めないと思えば皮肉極まりない話だ。

ジャニーズもテレビパワーで説明がつく、狂信的な信奉者を生み出しお布施としてCDやグッズが機能しているというわけだ。別に曲の内容など問題ではなく、ファン同士の連帯感の楽しさと"その人を応援している"という状態への執着が主なコンテンツだ。

どちらにせよ結局CDが音楽媒体として売れてはいないのである。ただ秋元康とジャニーズ事務所は上手く販売形態を確立できているだけという事である。

さて、ここからが本題だ。"似たようなバンドばかり台頭している"これが今回のメインテーマだ。
前回はメジャーシーンの契約形態がいかにバンドにとって重荷か、という内容だったが今回はそこから一歩進み、その現状がメジャーシーンの音楽性にどういった影響を及ぼすか、という話だ。これをわかりやすくジャンクフードに例えて話を進める。

 

ジャンクフード

そもそもジャンクフードって何?そんなあなたの為にWikipediaから概要を拾ってきた。

ジャンクフード(英: junk food)とは、栄養価のバランスを著しく欠いた食品のこと。高カロリー、高塩分だが、他の栄養素であるビタミンやミネラルや食物繊維があまり含まれない食べ物。「ジャンク」とは、英語で「がらくた」・「屑」の意。

酷い言われようだジャンクフード、食に対しての向上心が異常に高い日本ではそこまで大きな問題となってはいないが、二大味覚音痴国家アメリカ・イギリスでは深刻な問題となっている。
研究によれば

ジャンクフードの過剰摂取は、人間の脳をコカインやヘロインと言った薬物の中毒症状に似た状態にするとしている。実験体のネズミにジャンクフードを餌として食べ続けさせた結果、ネズミは肥満になり、更に喜びについての脳の働きが鈍くなり、もっと多くのジャンクフードを欲しがるようになったとしている。

 

邦楽ロック

邦楽ロックの現状はこれと酷似している。こちらもWikipediaから拾ってきたので見比べて欲しい。

邦楽ロック(英: Japanese Rock)とは、サビの盛り上がりのみに重点を置いたの音楽のこと。高音圧、高ダンスビートだが、多様性や独自性があまり含まれない音楽。「邦楽ロック」とは、英語で「がらくた」・「屑」の意。

酷い言われようだ邦楽ロック、食に対しての向上心が異常に高い欧米ではこのような問題は起こっていないが、音楽後進国日本では深刻な問題となっている。
研究によれば

邦楽ロックの過剰摂取は、人間の脳をコカインやヘロインと言った薬物の中毒症状に似た状態にするとしている。実験体のネズミに邦楽ロックを聴かせ続けた結果、ネズミは肥満になり、更に喜びについての脳の働きが鈍くなり、もっと多くのBPMを欲しがるようになったとしている。

危険だ邦楽ロック、邦楽ロックを聴いてると太るらしいぞ。

と冗談はこれくらいになぜ邦楽ロックがジャンクフードよろしく極端な味付けになってしまったのかについて考えよう

 

邦楽の経済的余裕のなさ

これについては前回の記事を引用しよう。

日本のメジャーレーベルはその経済危機からいわゆる”売れ線”と呼ばれるバンドを中心に担ぎ上げ広告を打ち、ムーブメントを起こして似たようなバンドを量産している。誤解を恐れずに言えばバンドというよりもアイドルに近いと言える。こういったメジャーシーンの意向によって尖った音楽性を持つバンドが育たず、何と呼称するのが適切かわからないが所謂”耳の肥えた音楽ファン”といったような人たちは邦楽のメジャーシーンから離れてゆき、どんどん日本の音楽はガラパゴス化していってしまっている。そしてそれによって縮小する経済規模からメジャーシーンの売れ線一辺倒の傾向が強まり取り返しがつかないほど悪循環が進んでいる。

メジャーレーベルは組織形態の過度な肥大化によって自転車操業のような状態に陥っている。精進料理のようなわかりづらい音楽に構っている体力がないのだ。とにかく売れる音楽を量産することで精一杯なのである。
とにかく売れる音楽、これを根ざした結果がジャンクフード音楽だ。
アメリカ人イギリス人が執拗にマヨネーズ、ケチャップ、塩コショウで味付けを完成させるように、売れ線と呼ばれるバンドも恐ろしいほどにダンスビート、サビの繰り返し、王道進行を多用する。両者とも理由は同じだ。味が濃くてわかりやすいからである。わかりやすいから売れる、味が濃いから中毒になる、中毒にして似たようなバンドを売っていく、これが邦楽の現状だろう。

 

ジャンクフード化による悪影響

「べつにメジャーシーンは好きにジャンクフード化させといて、自分の聴きたいものだけ聴いておけばいいじゃん」
たしかに正論ではあるが、この状況は音楽を演奏する人間にとっても、聴く人間にとっても、売り物にする企業にとっても、この現状は良い結果をもたらさないだろう。

まず、売れ線から外れたバンドが人気を獲得する事が現在の市場形態だとかなり難しくなってくる。現状では将来的に芽が出る可能性があるバンドも、細く長く続けることすらできず発芽前に潰れてしまうだろう。
ナンバーガールも今の時代に結成されていたらきっとあれほどの大成功を治めることはできないんじゃないだろうか。

次いで、ジャンクフードに飽きたリスナーが邦楽から魅力的な音楽を見つけ出すことができず洋楽へと流れ出ていってしまっている。
邦楽にもマイナーながら素晴らしい音楽を演奏しているバンドは数えきれないほどあるが、そういったバンドは上記のような理由から解散してしまっていたり、見つけ出すのに大変な労力を要することが多い。

これらを繰り返し邦楽ロックはどちらの方がキャッチーでわかりやすいか、というキャッチー戦争を激化させる一方だ。
確かにキャッチーを追及している現状も各々バンドごとの工夫があって面白いが、より多くのバンドが陽の目を浴び、リスナーの選択肢も増えた方がより良いだろう。

海外ではエグザイルのような音楽から、エレクトロニカまで幅広くチャートにランクインしているが、日本ではみなさん知っての通りの状態だ。
日本人が和食、洋食、中華からイタリアンまで毎日違った食事を楽しんでいる傍ら、アメリカ人が毎日ピザかステーキかハンバーガーをコーラで流し込んでるのと同じだ。

 

展望

素晴らしいバンドが現れて、音楽業界に革命を起こす、なんてことはまず起きないだろう。今ブランキージェットシティやナンバーガールのようなバンドが居たとして、先ほど述べたように現代の土壌にはきっと根付くことはない。もしあなたが自分の音楽で世の中を変えてやる、と考えているのなら今一度そのやり方を考え直す必要がある。

いくら素晴らしい物を作ったとしても、リスナーが"素晴らしい物"を求めているとは限らない。むしろ若手邦楽ロックバンドのライブの動員の大半を占める、ツイッターのプロフィールにスラッシュで区切ってバンド名を羅列している人たちの過半数はより良い音楽なんか求めてはいないだろう。今プロフィールに並べているバンドで満足しているし、執着もしている。そんな人たちに
「こんな素晴らしい物をつくったから聴け!」「この音楽の方がハイレベルだ!」
なんて説いたところで迷惑なだけである。

ここまで売れ線邦楽ロックをジャンクフードなどなんだのと散々な言いようで扱き下ろしたが、多すぎてそればかりになっているのが問題なだけで必要不可欠なジャンルでもある。売れ線と呼ばれるバンドの台頭によって若年層の音楽ファンは確実に増えているし、若者のバンド音楽への入口としてその役割をしっかりと果たしている。
特にメインロードで売れているバンド達は売れ線の中でもしっかりと独自性を出しているし、一概に売れ線という言葉で片づけられない何かがあったりする。売れ線に飽きたリスナーを楽しませられるようなバンドがどのようにその顧客層の目までたどり着くかどうかが課題だろう。

そして先ほどもチラと触れたように、無名ながらも音楽性では海外に引けを取らないようなバンドは数多く存在する。音楽で一切勝負にならないというわけではない、問題はそんな素晴らしいバンドが活動を存続できないような現状にある。

 

追記

どこまでも余談ですが、地下室TIMESは再開から3ヶ月でひと月のPV数が40万を越えました。
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詳しくは地下室TIMESについてをご覧ください。
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記事内での"邦楽ロック"という単語が指す範囲について

邦楽ロックという大変幅広い範囲を指す単語を使ったため、どのようなバンドを指しているかよくわからない、という意見がちらほら見られる。曖昧な表現を選んだこちらの不備だ。申し訳ない。
今回の記事内での"邦楽ロック"は2010年以降デビューの今現在"若手邦楽ロックバンド"と呼ばれているバンドのうちで、特に10代からの支持を強く集めているいわゆる売れ線と呼ばれるバンド達を想定して書いている。

 

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