最近の売れ線若手、洋楽を聴いていない説
時の流れは速いもので、みんながドラゲナイドラゲナイ騒いでいた頃からあっという間に1年半。
気がつけばもうみんなFukaseのことなんてどうでもよくて、#日曜日だし邦rock好きな人と繋がりたい のタイムラインにもほとんどセカオワの名前はない。
そんな飽き性な皆様のために、業界関係者はあの手この手のアプローチで新しいバンドを売り出してくる。
そういう風に最近グイグイ来てるバンドを聴いてると、ある疑問が浮かんでくる。
最近売れてる若手バンド、洋楽聴いて育ってないんじゃね?って。
「中学時代にワンオク聴いてました」←は?
若手で売れてるっつったら最初に出てくるのはこのバンド。ミセス。耳にも目にも非常に騒がしいのでオジサンはもうついていけない。
そんなミセスのボーカル大森がどんな音楽的経歴を踏んできているのか気になって調べると「中学時代はワンオクとかRAD聴いてました」って。は?
大森は96年生まれなので、現体制になったワンオクが完全感覚Dreamerをリリースした2010年の時点でまだ13歳。ピカピカの中学1年生。先述のドラゲナイ騒動が勃発した頃にやっと18歳。
なんというかやるせなくなるね。テレビの向こうの甲子園で頑張ってる野球部がいつの間にか全員年下になってしまった時のやるせなさを思い出す。
ということで20代の皆さんが老害になりつつある事実を受け止めたところで、その20代が若かりし頃に活躍していたバンドについて触れてみよう。
00年代は海外フォロワーの時代
僕たち老害の青春であるアジカンはOasisからの影響を強く受けていると公言している。特にこの動画の3:16からのギターソロなんてOasisのLive foreverからソックリそのまま引用している。
他にも[Alexandros]であるとか、Base Ball Bear、RADWIMPSなどがOasisを聴いていたり、そのソングライターであるノエル・ギャラガーから影響を受けていると各所のインタビューで語っている。mirrazとアクモンの話はやめろ。
アメリカのパンクバンドBlink-182。目を瞑って聴いたらELLEGARDENだよこれ。歌い出しがまんまBored of Everything。
こんな風に00年代に全盛を誇っていたバンドは何かしら海外からの影響を受けていて、なおかつそれが自身の楽曲にモリモリ表れていたりする。アジカンとナンバーガールの関係性のように邦楽バンドから邦楽バンドに繋がるルーツも勿論あるが、比重としては海外に元ネタを探すことのできるバンドが多い。Oasisが売れてなかったら生まれなかったバンドや楽曲も少なくはないだろう。
時間軸を戻して10年代、最近の売れ線バンドの楽曲を聴いてみよう。
洋楽→邦楽→邦楽
これもわりと有名な話ではあるが、KANA-BOONはアジカンに、BLUE ENCOUNTはELLEGARDENにルーツが見出だせる。聴いていてもそうだ。サウンド・メロディー・リズムのどれをとっても邦楽らしい邦楽になっている。
言い方を変えるとあまり洋楽の匂いがしない。その最たる部分は表拍・裏拍の使い方にあるが、その辺りは以前の記事で詳しく解説されているのでそちらを参考にしていただきたい。
00年代に活躍したアーティストが洋楽を聴いて育ち、洋楽の影響を残す邦楽ロックを作った。その邦楽ロックを主食の白ご飯として育った世代は先代と比べて洋楽味が薄れるのは当然の帰結だ。
これは貶しているわけではないし、むしろ喜ばしい変化だ。
この先が読めない
何が喜ばしいって、この先どんなバンドが出てくるのか全く見当がつかないことだ。楽しみで仕方がない。
ここまでの世代の変化の法則を読むに、今からデビューするというバンドは大体5~10年前の音楽にルーツがあることが多い。要するに今後数年は00年代後半から10年代初頭のバンドに影響を受けている可能性が高いワケだ。
その年代に流行った音楽をザッと挙げてみると、9mm Parabellum Bullet 凛として時雨 相対性理論 サカナクション THE BAWDIES 神聖かまってちゃん セカオワ マンウィズなど。
キリが無いからこの辺にしとくけど、エレクトロ方面からもPerfumeやtofubeatsなども絡んでくるだろうし、果てはここ数年のアイドルブームに感化されたバンドキッズだって居るかもしれない。
小さい頃からこれだけ多種多様な音楽に触れているであろう次の世代は一体どんだけのエリートバンドマンに育つのか。その才能を持つ若者がどこに隠れているのかは誰も知らない。
だからみんなめらんちょとか金魚草とか叩いちゃダメだよ。暖かく見守ろう。