でたまた唯一無二の世界観!バンドプロフィールの画一化!
シューゲイザー、ポストパンクなどをルーツに持ちながらも2000年代以降のロックを独自のポップセンスで解釈し唯一無二の世界観を作り上げる。
また、内に秘めた激情を高い演奏力で構築するライブパフォーマンスは見るものを圧倒する。
さて、あなたは上の文がどのバンドのプロフィール文かお分かりだろうか?
正解は僕が10秒ぐらいで考えたありがちなバンドのプロフィール文でした!!!
どこかで見たことあるような、というか最近のバンドのプロフィール文ってこんな感じの多いのではないかと思う。いやマジで。
そこでもう一つ問題がある。
どんな人がやっているどんな音楽性のどんなバンドなのだろう?伝わっただろうか?
え?じゃあ何も伝わらないのに、どこの誰に向けた文なの?
わたしにはわからない。何かこの誰にも伝わらない意味のない文を絶対必要だという理由があるなら是非教えていただきたい。
いや、意味のあるプロフィール文は必要だと思う。フライヤーだとかホームページとかなんとか、ハッキリ言って音楽よりも先に文章が消費者に届くシーンは少なくないと思う。
だが、ああいった文だと”はい、私どもはありがちなバンドでございます!”と宣言しているのと何も変わらない。ありがちなバンドです、とか面と向かって言われたら一縷の興味を持ってきたお客さんも音楽を聴く前にそのバンドについてあらかた理解したつもりになって聴いてすらもらえないんじゃないかと思う。
結局ミュージシャンなのに音楽で評価される前に敗者の烙印を押されてしまうのだ。
エントリーシート化問題
学生時代はテニスサークルで部長をやっておりました。私が所属していたサークルは近辺の大学の中でもトップクラスの規模を誇り、それを取り仕切るのは簡単ではないのですが、逆に私なら出来るという自信もありました…
また、バイトリーダーも…
ボランティア活動を…
私の長所は誰とでもすぐうち…
自分で書いておいてこんなにもイライラしたのは始めてだ。今なら連続殺人犯と楽しくお茶でもできるぞ。
バンドマンの中には俺就活とかしねえから!という人も少なからずいると思うが、エントリーシートというものはわかるよな?頼むからわかっていて欲しい。
就活を経験した人や、間近に控えた人、真っ只中の人ならわかると思う。奴隷商人へのラブレター、没個性の証明書、資源と労力の無駄遣い。アピールするポイントがないにも関わらず、それを要求されるため、誰もがサークルで重役をやるし、バイトリーダーやるし、ボランティア活動をやって、みんなリーダーシップバリバリビンビンだ。
ところでエントリーシートの語源を知っているか?
時代は10世紀、今のイギリスがノルマンコンクエストでフランスに占領された時まで遡る。当時、イギリスは後のイメージから多少異なっていて他のヨーロッパ諸国に対して文化的にも技術的にも後進国だった。
その遅れている文化の一つとして、古来の呪術に由来するのだが、貴族の謁見の間に入るために、その前に設けられた椅子で一日日が暮れるまで座らなければいけないというものがあった。
これがエントリー(入るための)シート(椅子)である。
もともと椅子を指していた言葉だったのだが、時代を減るに連れてその儀式自体のことをエントリーシートと呼ばれるようになった。
このエントリーシートの儀式は前述したノルマンコンクエストによりフランスに占領されるまで続いており、占領された際に当時の王であるウイリアム一世が残した"エントリーシート、これより無駄な儀式はない"という言葉から転じてエントリーシートは"無駄なこと、無用の長物"という意味を持つようになった。
後世になりエントリーシートの儀式が疫病を持った者の侵入を防ぐと言った効果があることが発見されたのは皮肉である。
(一応だがジョークだぞ)
まあ冗談はさておき実際のところ、バンドのプロフィール文もエントリーシートと同じく画一化、ありがちな言葉の羅列だけで意味をなさないのではないのかということだ。
”独自の”、”唯一無二の”、”独特の”、”普遍的な”、”彼らなりの”
他にも沢山あるぞ
初期衝動、メッセージ性の強い歌詞、通常のロックバンドにない彼ららしさ、幅広い音楽性、瞬時にフロアを支配する存在感、緊張感、ジャンルを問わず、センス溢れる、直情的で、強い攻撃性、圧巻のライブパフォーマンス、怒涛のライブパフォーマンス、激しいライブパフォーマンス、あー沢山あるわ!
とりあえず多用されすぎな言葉を羅列してみた。読者の諸君もこの言葉を使って文を書けば即座にありがちなプロフィール文が書けるぞ。
理解して欲しいのはこの言葉を使っても全く音楽性についての説明が出来ないとこだ。もはや何も言っていないのと同じだ。アレがアレだからアレがアレをアレしたいみたいな感じだ。
極論、唯一無二の曲と言ったときにどんな曲かイメージつくだろうか?というか曲なんて基本的に全部違うし全部唯一無二だろ。
とりあえずこの言葉を使うのをやめるところから始めてみるのももいいかもしれない。
シューゲイザー、ポストパンクなどをルーツに持ちながらも2000年代以降のロックを
独自ひねくれたポップセンスで解釈し唯一無二のドス黒く歪んだ世界観を作り上げる。
また、内に秘めた激情を高い演奏力で構築するライブパフォーマンスライブではフロントマンのHIDEKI世界観のひたすらネガティブで自虐的なパフォーマンスは客だけでなく一緒に演奏しているメンバーする圧倒する。
どうだ、さっきのよりはかなり具体性をもってイメージが伝わると思う。
因みに今プロフィールを書いているバンドの設定は
the basements
member
gt&vo: HIDEKI世界観
bass&cho: ひっでち
drums: ピエール秀樹
という架空のスリーピースバンドを想定している。
とりあえずありがちな言葉を使うのはやめた!他は?
今見てもらったようにありがちな言葉を使わないだけでだいぶイメージが伝わる文になったと思う。
だがこれでけではなにか物足りない気もしなくはないな。
もっと独創性のあるプロフィールの書き方について考えてみよう。
小説風
一瞬の間に起きた緊張と解放。ギターがかき鳴らされ空気を切り裂くようにライブが始まった。数えるのが無理なほどライブに行っているつもりなのだが、彼らのライブが始まる瞬間は毎回、初めて生でバンドが演奏しているライブを見た時のあの興奮を思い出させてくれる。
歌っている時とは対照的に、気だるそうにバンド名が呟かれるとすぐに一曲目が始まった。熱しきったオーディエンスに油を注ぐように激しく絡み合うベース、ドラム、そしてギター。最新アルバムのリードトラック”納屋を焼く”だ。もはやもはや歌詞は言葉ではなく、ただサウンドに張り付くイメージとなって、僕らは自分を忘れてただ音に身を任せてその身を振り回し続けた。
ああダメだこれは。
とにかくアツいライブということは伝わるが、どんな音楽かは一ミリも伝わらない。ただこれがプロフィールとして書いてあったら、きっと文学風な歌詞のバンドなんだろうなとぐらいには思ってくれるかもしれない。
ツイッターのプロフィール風
nirvana/foo fighters/凛として時雨/9mm paraberamu baretto/art school/killing boy/KAREN/naparm death
都内でthe basementsというバンドをやっています。
#RTもらえたら曲作る
#邦ロック好きの人と繋がりたい
#RTください
#favください
レビュー風
1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
★☆☆☆☆リビングで
リビングで聴いていたら親に心配されました。もう買いません!
10 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
★★★★★前作がよかったので
まだ届いてませんが期待を込めて☆5です!
3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
★☆☆☆☆ちょっとこれは
子供に悪影響です!
息子の誕生日プレゼントにこのCDを与えたのですが、それから息子の様子がおかしくなりました。
試しにCDを聴いてみたら酷い内容でした!暗い曲調の曲しか入っておらず、激し目の曲に至ってはなんというか破壊的な音楽です。
みなさんお気をつけください!
57人中、47人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
★★★★★ハジマルセカイカン オワルセカイカン
世界の始まりを大好きな男の子と眺めている感じ。
地下室でじゃれあってるような、泥の海でキスをするような、もはやそんな感じ。
夜寝る前はコレを聴きます。
目を瞑ると。
とても暗くて残酷な世界。
あまりの凄惨さに少し居た堪れなくなるほどの光景。
ハジマルセカイカン オワルセカイカン。
嬉しいね。
書かない
履歴書風
まとめ
いや、普通に何か良いアイデアが無いかと思ったが結果的に完全にふざけて終わるという結果になった。
ここまで書いてみて何だがやはり言葉で音楽を説明し尽くすのは無理だ。
頑張って文で音楽を説明しようとせずに、どうしたら興味をもってもらえるプロフィールになるのか、どうしたら一度でも音楽を聴いてもらえるプロフィールになるのか。そこを追求した方が建設的だと思う。
それではごきげんよう。