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CRYAMYが売れないならこんなクソサイト今すぐやめてやる

 正直俺はこんなサイトもうかなり前から飽き飽きしている。もう4年とかやってるんですよ。4年て、強姦罪でも模範囚なら出てこれる年月ですよ。

 飽きたといっても、記事を書くこと自体や、音楽そのものに辟易したとかそういうわけじゃなくて、最近のバンドの流行りとか、ファンたちの文化傾向とか、そういうものに本当にうんざりし始めている。

 なんかボーカロイド文化からフォロワーの暴力でバンド業界に食い込むボカロアメリカザリガニ、有名人が取り上げて一躍有名になった一発屋、タイアップヤクザ、プロモーションマフィア、YouTuberの武道館ライブ、バンドがバンドとして発生してバンドとして成功したような例が本当に少なくなってきている。マジでバンドがいない。マジで、バンドが、いない。

 いても、こんなもん環七沿いのバンドマン崩れの家で同性している美容師見習いのクソ女しか聴かねえだろみたいな尖りすぎた音楽性のバンドとか、売れてないこと自体をアイデンティティにしちゃってる詰みバンドとか、My Hair is Badのコピーバンドみたいなのとか、もう本当にそういうバンドばっかりに出くわす。平日のライブハウス、SoundCloud、YouTube、デモ音源、気が狂いそうになる。スタッフのみなさん、レーベルの新人発掘部門の人たちはは本当にすごい。たぶんあいつらもう全員とっくに気をやってるに違いない。意味わからんバンドメジャーデビューさせて2年で契約解除するの一生繰り返してるからなあいつら。

 俺は本当に心が狭いから、みなさんみたいにね、色んな音楽聴いてね

「あれもいいし、これもいい、みんなちがって、みんないい」

 みたいな気持ちにはなれんのですよ。小3のときから金子みすゞの詩集を灰皿にしてましたからね。鈴は投げ捨て小鳥は蹴り殺しました。そうやって生きてきました。

 ただね、そんな度量の小さい人間だからこそね、良いものを見つけた時の喜びは一入。

 バンドはこれでいいし、こうあってほしいし、こういうのを聴いて最悪な日を乗り切ってほしい。そういうバンドを見つけました。CRYAMYと言います。聴いてください。

 爆音で聴け。

 これは俺のフェチズムなんだけれど、最終的に音楽に求めるのはメロディの良さだけ。

 だからすごい凝った編曲とか、オシャレなMVとか、難解なポーズとか、そういうの本当にどうでもいい。

 よく言うじゃないですか「逆にこれがいいんだよ」って。俺はこういう精神性がマジで嫌い。逆って、何?ワケワカラン要素を足すことで「サブカルチャーとして格式高いです俺たち!」みたいなナンセンスマウント&サブカル暴力みたいなの、本当にやめてほしい。「逆にいい~」ってなってる奴も目を醒ましてほしい。良いの逆は悪いに決まってんだろ。愛してるの反対は無関心とか言ってんじゃねえぞ。愛の対岸には殺意だ。ちゃんと殺せ。

 だから音楽はこれでいい。バンドはこれでいい。これがいい。メロディが良い。歌詞が正直。そんでギターがうるさい。それでいい。

 最近のバンドはパワーワードブームで、歌詞の頭とかに強い言葉を置きたがる。たぶん「ブラジャーのホックを~」のせいだと思うんだけど、CRYAMYの歌詞なんかは、風俗嬢とか、コンドームとか、そういう強い言葉を直接使わないで歌詞の主題を伝える、そういう日本語歌詞の憂いがある。

 歌詞の傾向もそうだけど、音楽性に今っぽさというか、流行りの匂いが一切ない。たぶんできないんだとおもう。どの曲も凶悪な歌メロと声質が柱になっていて、楽器隊はもう「うるさい」という一点に特化してる。特にギターのロン毛がクソうるさい。暇なときずっとギョワァアアァアピコピコピコーッギャギャギャッ!!とかやってる。クソうるさい。

 

 冒頭、最近のバンドが全然好きじゃねえという話をしたけれど、俺はなぜそうなったのかという理由を一つ確信していて、スマホが普及した昨今は、必死に探して見つかるすごく良いモノよりも、手軽に手に入るちょっと良いモノの方が求められているのだ。

 お金を払って時間を使ってライブハウスに行くよりも、家でYouTube見てる方が良いっていう人間の方が多いのだ。気持ちはすごくわかる。またピンと来ないひともいると思うのでもうちょっと例え話をする。

 Twitter上で漫画を描いているアカウントが平均1000RTされていたとしよう。その人が、何らかの理由(4枚に収まらなかったとか)でPixivとか自サイトに漫画を掲載して、20RTとかまで反応が下がっている光景を見たことないですか。俺はあります。

 人間はその「別サイトに飛んで読む」という一動作すらも面倒くさがって反応率が98%まで下がるのだ。本当にみんな何もかもがめんどうくさいんだとおもう無意識のうちに。

 音楽にも同じようなことが言えて、関連動画とかプロモーションとかで回ってきたものを精々ギリギリ享受するので体力精一杯っていうファンがとても多いのだ。だからそういうバンドが流行る。Twitter上でウケの良いバンドとか、事務所が強いところとか、そういう派手なモノばかり消費されていく。音楽がどんどんYouTuberとかそういう他の娯楽に食いつぶされていくのはそういう時代性だと思う。

 みんな見てくれよこのバンド。曲名を。地味すぎる。普通て。

 派手なものがウケる。そんなのことは4年も記事書いてたら嫌と言うほどわかる。でも俺はそういう安直な派手さ、わかりやすい話題性、そういうのがあんまり好きじゃない。

 その代わりに、余りある生々しさがある。CRYAMYには。

 このアルバムには、人間の、どうしても上手くいかない部分とか、取りこぼしてしまったこととか、そういうごく当たり前の生傷が詰まっている。

 なんかファンモンとか西野カナとかによく謳われる「等身大」って言葉があるけど、ああいう綺麗に化粧して着飾った等身大のマネキンみたいな歌じゃなくて、本当に、伸び切らなかった身長とか上手くいかなかった髪型とか子供の時に怪我した傷跡とか、そういう生身の人間のような、本当の等身大の歌だ。

 

 俺は本当にこの曲が好きで。去年のスタジオ録音で演奏本当にへったくそなんだけど、聴くとなんか泣いてしまう。

 最初にこのバンドの曲を聴いたのがこの曲で、その時なんか俺は入院したり人間関係が上手くいかなかったりで本当にキツい時だったんだけど、このガタガタのデモソングをなぜだかずっと聴いてた。

 このボーカルのカワノという奴もカワノという奴で、10代で地元でめちゃくちゃな目に遭って、でも夢を諦めきれずに上京して、必死にメンバーを探しながらライブハウスのバイトして弾き語りでライブして、それでも2年ずっとバンドすら組めなくて、毎日曲だけ作って痩せていったようなやつで。本当に、やっとバンドが組めて、書き溜めた歌をやっと歌えるようになったところ。

 ギターのやつもギターのやつで、本当に顔の綺麗さとギターぐらいしか取り柄のないような男で「ギター上手くなりたい」つって何故か渡米してノイズだけおぼえて帰ってきたような人間。

 ドラマーとベースは二人そろって社会福祉士しながらバンドをやっている。日本の社会を支えてるんだからリズムが支えられないわけがない。

 全員、バンドをやりたくて集まった人間でバンドをやっていて、バンドがだめだったらもうダメっていう人間でできてるバンドだ。

 俺はもうずっとこのバンドはいつか評価を受けると信じていたし、このサイトなんか、こいつらを聴いてもらう為に続けてきたようなもので、これが売れないならもう本当に何もかもどうでもいい。

 結局のところ音楽のレコメンドなんていうのはエゴでしかない。自分の愛しているものを他の人にも認めてもらいたい。そういう自己満足でしかない。

 そこに正直になるなら、今俺が紹介できる一番良いバンドがCRYAMYだ。おせっかい極まりないが、安直に手の届く、目立つ、派手な、わかりやすい音楽じゃなくて、不器用でままならない彼らみたいなバンドを手に取ってほしいと思うのだ。

 これが、CRYAMYがわかってもらえないなら俺がやってきたことは意味なかったんだとおもいます。こういうバンドを聴いてもらうためにこの四年間、四の五の御託を並べてきました俺は。

 誰も聴かなくてもバンドか俺かどっちかが終わるまでずっと追い続ける。俺は。

 それでは。

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