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何故日本発の音楽ジャンルが少ないのか? 邦楽、洋楽の違い 聴き方編

皆さんこんにちは。

先日、最近留学から帰ってきた後輩と会ってきた。

積もる話が沢山あったが、その中で
「ロンドンの音楽シーンはどうだったよ?」

特に答えを期待した上での発言ではなかったのだが、話が広がればと思い聞いてみた。

「やってる音楽なんてのは、ネットで調べて出てくるのと大差はなかったけど
それよりも、音楽を聴く側の意識が日本と全然違って面白かった。
クラブミュージックもロックも別けて聴かないというか、みんな音楽は音楽として垣根なく楽しんでいた。

予想もしない答えが返ってきた。

そして実際にリスナーの意識の違いが、音楽上に如実に表れているのではないかと思う。

それは音楽性といった形でも現れるし、
さらにいうとジャンルの成立に関わっているのではないだろうか。

タイトルにも書いたが、日本発の音楽ジャンルは少ない。
アメリカについで世界2位の圧倒的な音楽市場を誇る日本、もっと沢山のジャンルが現れてもいいのではないだろうか。

邦楽は自己完結型音楽!?

あくまで傾向としてだが、日本のアーティストと海外のアーティストでは決定的な違いがあると思う。

それはジャンルへの考え方の違いである。

日本のアーティストの書く曲はジャンル的な意味でバラエティーに富んでいることが多い。

例えば、一枚のアルバムの中にジャズテイストな曲を入れたかと思えば、次に王道ロックな曲が来たり、
はたまた、どこのジャンルから引っ張ってきたのかわからないようなバラードが来たり。

よく言えば、バラエティーに富んでいるという表現になるが、
悪く言えば他ジャンルからの借用、オリジナリティの欠如ということになる。

要するに、自己完結型音楽ということである。

ひとつのアーティストを追えば、様々なジャンルの音楽を楽しめることができるのだ。

そういった意味では、ある種囲い込みに近いだろう。

 

 

実際にどうだろう。

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前章の主張をまとめると、「日本の音楽は他ジャンルからの借用が多く、逆に洋楽はジャンルに属した音楽性のアーティストが多い」ということになる。
では、実際にどうなのだろうか。

個人的に他ジャンルからの借用が多い「自己完結型音楽性」のアーティストは、何かしらのジャンルに属するアーティストよりも、JポップやV系、アニソンなどのアーティストの形態を表すためについているジャンルのアーティストの方が多くいると思う。

ということで、実際にアルバムの曲を並べてどうなってるか検証してみよう。

日本からはJポップを代表するバンドとして、レミオロメンを
洋楽ではブリットポップ代表でオアシスのアルバムを比べてみたいと思う。

実際にはレミオロメンよりももっと音楽性がぶれているアーティストはザラにいるが、せめて私が愛を持って書けるバンドとしてチョイスした。

実際にアルバム内の曲の曲調をざっくり書き出したいと思う。
ジャンルを決める重要な要素である、
・リズム
・テンポ
・使用楽器
・メジャー調、マイナー調(要するに明るいか暗いか)

を重点的に見てみた

 

レミオロメン - Horizon

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レミオロメンのキャリアの中でも最重要曲である、粉雪発表後、それを収録したアルバム。
要するにレミオロメンが一番脂が乗っていた時期と言うわけだ。

1.スタンドバイミー
壮大なストリングス、ピアノアレンジが印象的な曲
アップテンポ、エイトビート
ちょっと明るい

2.1-2 Love Forever
バンドサウンド主体にシンセが入るダンスロックナンバー
少し早いミドルテンポ、4つ打ち
割と明るい

3.プログラム
歪んだギターのバンドサウンド主体
スローテンポ、エイトビート
結構暗い

4.蒼の世界
エレクトロっぽい、思いっきりダンスビートからバンド、ストリングスイン
早いミドルテンポ、4つ打ちとエイトビート
明るい

5.シフト
バンドサウンドとオルガンだけののJ-Rockっぽい曲調が特徴のナンバー
アップテンポ、エイトビート

6.傘クラゲ
バラード
遅いミドルテンポ、エイトビート
ちょっと明るい

7.太陽の下
殆どピアノとストリングスの曲
遅いミドルテンポ、エイトビート

8.MONSTER
複雑なアレンジが印象
ミドルテンポ、ハーフビートとエイトビート
幻想的

9.明日に架かる橋
エレクトロ+バンドのダンスナンバー
ミドルテンポ、4つ打ち
物凄く明るい

10.紙ふぶき
ミドルテンポのバラード、エイトビート

11.粉雪
サビがピアノとストリングス激押しの名曲
遅いミドルテンポ、エイトビート
少し暗い

12.流星
バンドサウンド重視
ミドルテンポ、エイトビート
俺の涙腺を刺激するとても良い曲

 

Oasis - (What's the Story) Morning Glory?

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”世界”の名盤中の名盤
ブリットポップの全盛期を飾る、名曲大富豪のオアシスの中でも名曲のDon't Look Back In Angerを収録している。

1.Hello
ミドルテンポのシャッフルのリズムのナンバー
ブリットポップ的ロックンロールといった感じ
ちょっと暗い

2.Roll With It
ミドルテンポ、エイトビートの如何にもブリットポップといった曲
ちょっと暗い

3.Wonderwall
アコギイントロが印象的なナンバー
ミドルテンポ、エイトビート、王道ブリットポップな曲調
ちょっと暗い

4.Don't Look Back In Anger
名曲中の名曲
ピアノイントロ
バラードとミドルテンポの中間、エイトビート、王道ブリットポップ
暗くも明るくもない

5.Hey Now
ミドルテンポ、エイトビート、王道ブリットポップ
ちょっと暗くて気だるい

6.Some Might Say
ミドルテンポ、エイトビート、王道ブリットポップ
暗くも明るくもない

7.Cast No Shadow
アコギイントロが印象的なナンバー
ミドルテンポ、エイトビート、
ちょっと暗いくて幻想的

8.She's Electric
ミドルテンポのシャッフルのリズムのナンバー
三連符のフレーズが若干カントリーチック
ちょっと明るい

9.Morning Glory
力強くて少しはやいミドルテンポ、エイトビート、王道ブリットポップ
少し暗い

10.Champagne Supernova
バラード、ミドルテンポ、ロックへと曲調が変化するが基本ずっとエイトビート

 

どうだろう

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実際に聴いてもらうほうが早いと思うがやはり、レミオロメンのアルバムはバラエティー豊かな曲調だが、
オアシスの場合は殆ど全部王道ブリットポップばかりだ。

「オアシスが聴きたいな!」
というときにオアシスの曲を流せばだいたい、ブリットポップの王道のオアシスが流れるが

「レミオロメンが聴きたいな」
と思ってレミオロメンの曲をかけると、ダンスビートでバカみたいに明るい曲が流れるかもしれないし、逆に歪んだギターのめちゃくちゃ暗い曲が流れたり、どんな曲が流れるかはわからない。まあ賛否両論のコバタケがアレンジしなければここまでブレることはなかったと思うが。


今回は邦楽ポップと洋楽ポップからそれぞれ1バンドずつ挙げて検証してみたが、恐らく別のバンドだったとしても同じ結果になるんじゃないだろうか。

では邦楽が「自己完結型音楽」で洋楽が「ジャンルに忠実な音楽」という傾向がわかった上で次に進もう。

”なぜ日本発のジャンルが少ないか”だ。

 

何故日本発の音楽ジャンルが少ないのか?

誤解を恐れずに言うならば「ジャンルを作る、引っ張る位置にあるアーティストの音楽性がぶれてる」からであると思う。

順を追って説明しよう。

まず前提に

・日本人は特定のアーティストの音楽を聴くのが好き
・外人はジャンルやアーティストに囚われずに音楽を聴くのが好き

という傾向がある。

そういった傾向があるため

邦楽アーティスト → 聞き飽きてしまわないように、一枚のアルバムのなかに様々なジャンルの音楽を内包する。
洋楽アーティスト → そのアーティストに求められている音楽、ジャンルの音楽をアルバムに入れる。

と言うことになる。

確かに今回例に挙げた、レミオロメンとオアシス、どちらも物凄く良い作品だ。
だが一生音楽をレミオロメンとオアシス、選んだどちらかしか聴けないとなったらどうだろう。

私なら迷わずレミオロメンを取る。
オアシスのアルバムは確かに最高に良いが、どの曲を聴いても全部ブリットポップ変化はあっても、大きな変化はない。

そしてそのことは、
「ジャンルを作る、引っ張る位置にあるアーティストの音楽性がぶれてる」に繋がる。

もし仮にレミオロメンのアレンジがジャンルとして成り立つような特徴を持っていたとしたら、もしかしたら〇〇系といった形でジャンルを形成できたかもしれない。

 

終わりに

「ジャンルを作る、引っ張る位置にあるアーティストの音楽性がぶれてる」といったが、全てのアーティストがそうなわけではない。

有名なところで行くと凛として時雨などが良い例だろう。
あそこまで尖った音楽性で、あそこまで売れている。
あれに続くアーティストがもっと増えればジャンルとして成立するかもしれない。

もしかしたら、我々が安易に「〇〇のパクリ」とか「〇〇にソックリ」等と言ってしまうのダメなのかもしれない。

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