音のサーカス?Beat Circus
ブライアン・カーペンターと言うアメリカの音楽家を知っているだろうか?様々な楽器を使いこなすマルチプレイヤーであり、時折ラジオの音楽番組プロデューサーをやっている。端的に言えば、地位・実力の伴った「ミュージシャンズミュージシャン」だ。
今日はそんな彼が中心となっているバンドを紹介する。
ダークカーニバル?
Beat Circusは2002年に結成されたボストンのバンド。現在所属しているメンバーは7人と大所帯のバンドだ。過去に脱退したメンバーを合わせれば15人にもなる。15人と大勢で奏でる音楽はサーカスの名に恥じないバラエティ豊かな楽曲が揃っており、このバンドを具体的なジャンルで言い表すのは難しいが、比較的ジャズ・カントリー調の曲を得意としている。
1stアルバム『Ringleaders Revolt』より。軽快かつ奇怪なグルーヴを押し出すブラスバンドが特徴的な一曲。2分36秒から、人のうめき声を真似たような楽器の音を耳にするやいなや、3分14秒では本当にうめき声がハッキリ聞こえる。全体的な雰囲気は恐ろしいが、怖い物見たさと独特のグルーヴにまた再生ボタンを押してしまうはず。ちなみに、当アルバムはほぼ全部インストだ。猛獣の唸り声と襲われる人の悲鳴をモチーフにした曲等があり、かなりシュール・・・。
ここで「合わないな」と思って別の記事を楽しもうとしている地下室TIMES読者諸君!せめて、次の項で紹介するブライアン・カーペンターの声を一つ耳にしてくれないだろうか?
ボーカリスト、ブライアン
所謂クセのある声が苦手な人は多い。しかし、好きな人はたまらなく好き。ブライアン・カーペンターも又そのような印象を抱くだろう。
3rdアルバム『Boy from Black Mountain』より。開幕のピアノと付き従うストリングスの旋律が美しい一曲。ステッキ片手にタキシード姿で街を歩くようなジェントルマンが主役のミュージカル映画にピッタリなブライアン・カーペンターの古風かつセクシーなボーカルが、より一層曲のイメージを広く作り上げているのだろう。
2ndアルバム『Dreamland』より。列車の汽笛に遅れて到来するゼンマイを巻くような音とマンドリンのフレーズの印象的な一曲。こちらは「むかしむかし・・・」と話し始める紙芝居のおじいさんのように落ち着きを払っており、突如女性ボーカルの入るサビでも違和感がないほどに存在を消し、逆に言えば女性ボーカルの輪郭をクッキリと目立たせている。
押すだけではなく引く上手さも心得ているボーカリストの力量の高さを感じるはずだ。
これにて閉演
現在、Beat Circusは暫し休業中だ。ブライアン・カーペンターがGhost Train Orchestra, The Confessionsと二つの別プロジェクトが忙しく、そちらの方に専念しているためだ。しかし、年に数回はBeat Circusとして活動しており、余裕が出来たらまた戻ってくると思われる。
Ghost Train Orchestraの奏でる音楽はBeat Circusのオーケストラやクラシック要素をよりスリリングかつ現代的に発展させたものとなっている。こちらも中々魅力的なので、今後の記事で紹介するかもしれない。
だが、最後はBeat Circus「Exit Music」文字通り終わりの曲で締めくくりたい。