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2017/04/15

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Brian The Sunはメジャーデビューに魂を売ったのか

 島国、日本。

 スシ、ゲイシャ、モエ、ブッカケ、独自の文化を気づいてきたこの国。音楽という文化もかなり独自的なものとなっている。

 西洋から「ロック」を学び、わが民族独自の解釈で消化したのが現在、私たちが楽しんでいる邦楽のロック。40過ぎの洋楽全盛時代を過ごしたオジサンたちは、なんでかやたらに今の若者のロックをバカにしたがるけれど、個人的には日本のロックの形は多様で面白いとも思う。

 例えば日本を代表するアジアンカンフージェネレーションなんかは、OASISなど海外ロックバンドの影響を公言している。が、そのサウンドは独自解釈された彼らならではのもので、現在の邦楽ロックのスタンダードを決定付けた。と、説得力のありそうな人からこの間訊いた。

 ELLEGARDENはWeezerやブリンク182の要素をうまく彼らなりにメロディックというジャンルに落とし込んで成功したし、ART-SCHOOLは海外のオルタナティヴロックから着想を得た日本人の奏でるロックを提案したとも言える。

 イントロのリフがブリンク。

 

 ディストーション加減がニルヴァーナ。

 そんな感じで、10年前は洋と和をうまく解け合わせた、素晴らしいバンドがボンボン出てきた時代であり、その影響は今現在、私たち若者の耳にこびりついているのだ。

 さて、現代。上のようなバンドをはじめとして、混沌とした時代から再び新たなムーブメントが作られていった。

 その一つが、現在ギターロック、と形容されるジャンルだ。が、なんだ、このジャンルね、説明が難しいんだよ。

 ざっくり言っちゃうと、「日本のロックのスタンダードを丁寧に踏襲したギターサウンドを基調としたロック」と俺は解釈している。

 四つ打ちとか、爆速ディズニーとか、時代の流れとともに付加要素は変わったりくっついてきたりするけど、大元は変わらない、と思っちゃってる。

 その大元が同じせいかジャンル時代が慢性的に一つの問題を抱えている。

 あまりにもスタンダードすぎて、掘れば掘るほど似たようなバンドがザクザク出てきてしまうのだ。

 

ギターロック、画一化問題と、対照的に浮かび上がるBrian The Sun

 最近はやりの若くしてグイグイ来とるShout it out。

 

 当サイトで「スタンダード」を襲名。Halo at 四畳半。

 さて、ギターロック若手ネクストブレイク代表の2バンドを出しましたが、皆さんどうよ。

 え?顔面がかっこいい?イケメン?

 失せろ。ここにお前の居場所はない、サンボマスターと10-FEET聴いて正露丸食って寝ろ。

「私はみんなとは違うからこんなのは聞かないかなぁ?」

 サブカル女子はみんな同じこというな!じゃあ逆にお前何聴いてんだよ、素直になれ!カッターナイフを手首にしまえ。

 こういう少々エキセントリックな手合は置いといて、聴いてみてみんなどう思いましたか?

 俺は、ファンの気持ちを逆撫でる覚悟で正直を言えば「違いがわからん」という感想に着地する。正直に言うとそう。ホントにそう思うんだから仕方がない。たぶん、同じ人もけっこういるんじゃないか。

 確かにかっこいいし、厳密に言えばちゃんと2曲とも全く違うんだけど、一番冒頭にあげた「目新しさ」や前者の3バンドのような「個性」なんかに関しては劣るのはどうしても認めざるをえなくないですか。

 

 そこで、前々から記事でオススメしようと思ってたのが、「わたしゃこんなんじゃ満足できん!」って人に勧めたいと思ってたのが、Brian The Sunです。

 ぬぐいきれぬアークティックモンキー感。コード進行のせい?キメを多用してるから?もしはバンド名?

 しかしながら、ボーカル森さんのソングライティングセンス、鋭利。ギターサウンドがどことなくとげとげしい感じもする、でもおしゃれ。

 加えて彼の作るメランコリックなメロディは一種の「メロディの個性」という命題への結論。こんな気だるそうなメロ作れるんだな。声もあるかな?なんつーか、練習で疲れた野球部みたいなのでもなく、恋愛に疲れた女子大の女でもなく、セクシーな大人の倦怠感。

 曲のふり幅も広い。直球以外も自在に使い分けてる。歌詞も一筋縄ではいかない、個性を放っている。

 上の2バンドが藤川球児なら、ブライアンはダルビッシュ有。変化球全方向持ってる。

 YouTubeやTwitterのフォロワーからじゃ想像は付かんほどのクオリティ。こんなまやかしの数値を否定する圧倒的かっこよさ。

 しかし、最近のBrian The Sunはと言うと。

 

Brian The Sunの最近

 いや、ブライアンは確かに直球の曲も書いてきた。が、これはなんだろ。

 あの気だるげなメロディの個性がまるまる抜けて、「とりあえずPOP」みたいなことになってるこれ。

 バンドのソングライターが一番気を使うのがメロディであって、あれやこれや、譜割だ音飛びだキーだを頭絞って考えて、かつどうやってメロディに個性を出すか、歌い方は、としとるのに。

 こんなの俺が好きなブライアンじゃねぇぞヒーローアカデミア。リズム隊、他の楽曲じゃもっと凝りに凝ってたでしょ!

 実際、HEROESリリース時のリスナーの反応は微妙そのもの。「メジャー行って変わっちゃったね」を乱発するブス。

 メジャーデビュー後、急激なイメージロンダリングを遂げた例はKEYTALKなんかもそうだけれど、コースターとパラレルまでは初期から地続きの感触があった。対してブライアンザサン、悪魔に魂を5秒で売却。メルカリか?

 


(参考)

 しかし、続くこのMaybeという曲、個人的にはグッときた。通常のブライアンならB面やアルバムのアクセント的に持ってきていた「KAWAII」枠の曲をシングルで出してきたか!と。

 でもこれでも反応は微妙。「もう私の知ってるブライアンじゃない」「閃光ライオットから追いかけていたのに」などブスが阿鼻叫喚。ブス叫喚。

 思わず「え…俺がセンスないの?」となった。

 どうやら旧来のブライアンのリスナーが求めているのは、上で書いたような、鋭利でメランコリーでセクシーなブライアン。

 そう考えるとやっぱこれじゃあ満足はできんわなぁ、でもメジャーであの作風を書いてくれるのか…。指図しとる大人が車に轢かれたらあるいは…。

 そんな中、アナウンスされたメジャーファーストアルバムの発売。

 程なくして、リードトラックが解禁されたのだが…

 

最新作

 森さんのエロさ、復活。韻を踏み荒らし、メロもいい。サウンド言うことない。最高。ギターもだけどリズム隊がしれっと難しいことしていい味出してる。

 偉い人が車で轢かれたかは定かではないが、いやー、戻ってきた。おいでなすった感。

 旧作を愛していたファンも、「待ってました!」と、これにはブスもニッコリ。

 これはアルバムへの期待も爆上がり。

 もっと言えば、この曲のおかげで前のメジャー曲が救われたことになる。

 POPすぎる曲だけでまとまってしまえばBrian The Sunである必要がなくなってしまう。けれどこのブライアンあってのポップソングなら、器用な一面ととれる。ラーメン屋がマカロンをメインにメニュー展開を始めたからびっくりしたけれど、ちゃんとラーメンがウマいならOK。マカロンも食ってみるね。

 ともあれ、メインの料理の到着で、ようやくブライアンの劇場は完成したと言える。

 もともと、曲のインパクトではなくてアルバム、さらに言えば楽曲単体の総合力で持っていく硬派なバンドだった。

 これが真骨頂であると言える。

 批判を受けた楽曲すら作品の要素として救い、成立させるこのかっこよさ、男らしいし、スタイリッシュだ。

 あと森さん、ライブもTwitterも言うことが熱い。椎木ともみも好きだけど、俺は森派。そんな派閥ないけど。

 聴いたことなかった皆さん、これがBrian The Sunです。

 まだ遅くないから1月発売のメジャーファースト買おう。そして旧譜も買ってみて。

 きっと今のギターロックシーンを陳腐化させず、より盛り上げるのはこんなバンドだよ。

 必聴あれ。

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