バンドマンがハマるアイドル ”楽器を持たないパンクバンド”BiSHがヤバい
バンドマンはなぜアイドルにハマるのか?
当サイトには既に「バンドマンはなぜ萌えアニメにハマるのか?」という記事があるが、僕の観測結果からいえばバンドマンは萌えアニメにもハマるがアイドルにもハマる。
ちなみにバンドマンがなぜ萌えアニメやアイドルにハマるのか、先の記事ではバンドマンのメンタリティ、彼らを取り囲む過酷な現実からの逃避という結論になっている。
バンドマンはアイドルにハマる。既に僕の周りだけでも4~5人くらいハマってるし、内2名はハマり過ぎて帰らぬ人となった。
先日、その帰らぬ人となったうちの一人にたまたま会ったのだが、今曰く今アツいのはBiSHというアイドルらしい。”楽器を持たないパンクバンド”が公式の触れ込みとのこと。
彼が語るには、なんでもメンバーがカワイイとかそういうのよりも単純に音楽がカッコいいところがたまらないのこと。音楽の話をしたいんだったらお布施を捻出するために質に入れた自慢の5弦ベースを買い戻してからにしろよとは思いつつ、流れで聴かされてしまった。
とんでもない音楽がそこにはあった。
やりすぎ
BiSH / DEADMAN
コッワ。ホルモンバランスの乱れか?
BABY METALが出てきた時も衝撃的だったが、コレはまたベクトルが違うように感じる。ベビメタの場合はアイドルとメタル、一見して真反対だけれどアイドルにメタルチューンの楽曲はベビメタ以前からもちらほらあった。むしろアレは組み合わせの意外性というよりかは曲自体のカッコよさ、メタルとしての異常なまでの完成度の高さが衝撃的だった。
BiSHの場合はもアイドルとハードコアパンク、確かに意外性があるっちゃあるが今回の論点もまたそこじゃない。凶暴すぎる。近所の意地悪婆さんが飼ってる犬の怒号かと思った。大丈夫か、アイドルとして。
日本で”パンク”というと青春パンクが大流行したこともあってか「おつむは控えめだけど、真っすぐなオレタチ!」みたいな明るい雰囲気のイメージを持たれがちだが、流石「楽器を持たないパンクバンド」を自称するだけあるのか、そういう生ぬるいパンクとは一線を画している。
本来のパンクとBiSHとを一緒くたにしてはならんとは思うが、とにかく彼女らの音楽からは元々のパンクの、怒りというか虐げられているものたちの暴動のような攻撃性を感じる。アイドルが音で暴動をおこしとる。
上の曲もかろうじてサビにアイドルソングの残滓が見受けられるが、それ以外の部分がガチパンク。喜怒哀楽で言えば完全に”怒”の音楽。
こりゃまたとんでもないのがでてきたなあ。しかもこれエイベックスからでてんだぜ…あの会社、浜崎あゆみの成功を忘れられないでいつまでも時代遅れなことしてたイメージあったけど、こんなトゲそのものみたいなのもやるんだな。
音楽からみるBiSH
「不況になるとアイドルの人気がでる」と統計学的なやつからもデータがでているが、昨今のアイドル事情を見ていると恐らく今は史上空前の不景気なのだろう、アイドルが増えすぎだし、なんならアイドルという概念が独り歩きしている時代だ。知り合いの自称若手起業家が「アイドルやって一発大逆転する」とか言って闇に消えていったし、どこもかしこもアイドルやりすぎ。一時期の「ゆるキャラで町おこし!」よりも過激な状況。
BiSHというアイドル、僕は今回初めて聴いたワケなんだけど、そんなアイドル動乱の時代に求められる差別化の果てに生まれたミュータントのような印象をうけた。コンセプトが尖ってないと埋もれてしまうというのはわかるが、もう既にアイドルとはなにかがよくわからんレベルまで達している。
BiSH / 本当本気
こちらの曲もまた、とてもぶっ飛んでる。
冒頭のあんまり本気で言ってなさそうな「みんなが僕をバカにすんだ ナメんな」のあどけないボーカルから一変、アシュラマンがドラムを叩いているかのような怒涛のビート。割と激しめのハードコアバンドでもマジでキレた時しか見せない本気ビートだ。
結論から先に言うと、アイドル戦国時代を生き抜くためパンクという個性を選択した結果、今までにない新しい音楽が生まれてしまっている。
分類的には相対性理論と同じタイプ。あのバンドはキレッキレのバッキングとゆるふわで何考えてるかわからないボーカルのミスマッチ感が化学反応を起こしてブレイクしたわけだけど、BiSHの音楽も同じ類のバイブス。
アイドルソングとしてのいわゆるJ-POP的なメロディー感と、殺気に満ちたガチパンク、今までありそうでなかった音楽性だ。
これは新しいし面白い。アイドルにハマり過ぎてバンドをクビになった知り合いの彼の言うことも頷ける。
あと僕的には一人だけ声質がハムバッカー仕様のハスキーボイスが出る子を、ここぞというところで使ってくるところが好き。
いいなコレ
BiSH - OTNK
さていかがでしょうか、全方位において刺激強めのアイドルBiSH。
アイドルというとどうしても音楽性は二の次になってしまいがちだけど、BiSHはただカワイイだけじゃなくて音楽としても楽しめるアイドルだと思う。
あと個人的に感心してるのはこのアイドルのキャッチフレーズの上手さ。「楽器を持たないパンクバンド」という肩書きも秀逸だと思うし、メジャーデビュー前まで使っていたという「BiSHは『Brand-new idol SHiT』(新生クソアイドル)の略」というのもすごい。だって自分たちでクソアイドル名乗ってる人らいたら、たとえアイドル興味ない人でも気になってクリックしちゃうでしょ。
というワケで今回は、BiSHというヤバい音楽性のアイドルがいたぞ、という報告でした。
あ、ちなみに僕はモモコグミカンパニーちゃんが好みです。
ではまた!