[新人発掘] creature falls umbrella「メトロノームがきこえる」
久々の新人発掘だ。
ちょっと気合いを入れて探してみると、駆け出し中・売り出し中のバンドは星の数ほどあり、売れるバンドなんか氷山の一角と言われるのもあながち誇大表現ではないなと思う最近だ。
やはり若ければ若いほど、根差す音楽性や手法は似通ってくるもので「より強烈なリフ・ブレイク」「サビの盛り上がり」を中心に曲を組み立てている傾向にあると思われる。それはライブにおいて一つの正義ではあるが、みんながみんなそうなると、違ってくるのは小手先ばかりで、聴く方は耳が慣れるし疲れるし飽きる。紹介する方も褒めるにしろ貶すにしろ同じような表現の堂々巡りをするしかなくなる。なんなら演奏する方だって頭打ちを感じているのではないだろうか。
こうなってくると明確な差異は演奏技術の巧拙だけとなり、そんなもんはもう芸術でなくスポーツの類だと思われる。
真剣に人生を賭けて取り組んでいるバンドマンのみなさんには申し訳ないが、似たようなバンドの大海原で新しい音楽を聴くことに飽き飽きしかけていた、ちょうどその頃に「わ、良い」と思わず声が漏れるようなバンドを見つけた。これがきっと個人的嗜好というやつだろう。しかしせっかく紹介するなら僕の好みのバンドを紹介したいというのが人情。他のバンドは他の人に任せた。
そんなわけで今回紹介するのはcreature falls umbrellaの「メトロノームがきこえる」だ
メトロノームがきこえる
3・3・2のポリリズムのリフが印象的だ。
今年4月が初ライブのできたてほやほやのバンドだが、作曲に拙さは一切感じない。3ピースだがハイ寄りな音作りのベースのせいか物足りなさは感じない。こういうバンドにありがちなコードストローク一辺倒ということもなく、かといってやりすぎでもなく、展開にメリハリがあり最後までリスナーを飽きさせず走り切る。
飽きさせないと言えば、MVも素晴らしい。水と時計だけで最後まで見させるMVとなっている。低予算だがそんなことはまったく気にならない映像だ。飲食店に何気なく置いてある水槽やロウソクの火なんかみたいに、意味はなくともなんとなく見てしまう。最後時計がバラバラになって水に浮かぶ所なんかすごくきれいだ。このバンドの向いている方向がよくわかる良いMVだ。
People in the Boxなんかが台頭していた数年前のシーンを思い出させる良いバンドだが、その全くの延長線というわけでもなく彼らの色もありこれからどんな音楽を作ってくれるかとても楽しみなバンドだ。
公式ページから聴けるもう一曲も良い感じ。
creature falls umbrella、オススメだ。