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あなたはグルーブとは何か答えられますか?

こんにちは。

今日は危険な話題に踏み込んで行きたいと思う。
その危険な話題とは、そうグルーブについてである。

グルーブとは一般的にリズムに関する言葉だ。
だが、このグルーブと言う言葉、人によってビックリするぐらい解釈が違う。

一度グルーブと言う言葉を使ったら最後、その解釈に関して言い争いになりかねないのだ。
私の先輩は愚かにもグルーブ原理主義のおじさんにグルーブと言う言葉を使ってしまったがために、3時間こってり何の生産性もない話をされた挙句、心肺停止して死んでしまった。

あとこの記事を書くにあたってプロミュージシャンにグルーブとは何か尋ねてみたのだが、
「グルーブなんて言葉は争いの元にしかならねえから僕は一切使わないし、この質問にも答えない」と一蹴されてしまった。

それほど危険な言葉であるが、今回はあえてそれについて書いて行きたいと思う。

教えてWikipedia先生!!

この記事の趣旨に関してだが、ざっくり言うと
”人によって全く違うグルーブの違いをある程度分類して、それを理解しておけば、自分と違う解釈の人と出会ったときに、その人がどういう意味でグルーブといっているか判断できれば無駄な言い争いは少なくなるのではないか”と言うことである。

ということで、まず最初はこの世の大正義、Wikipedia先生はなんとおっしゃっているか確認しよう。

グルーヴ(groove)とは音楽用語のひとつ。形容詞はグルーヴィー(groovy)。ある種の高揚感を指す言葉であるが、具体的な定義は決まっていない。語源はレコード盤の針溝を指す言葉で、波、うねりの感じからジャズ、レゲエ、ソウルなどブラックミュージックの音楽・演奏を表現する言葉に転じた言葉である。現在は、素晴らしい演奏を表す言葉の1つとして、ポピュラー音楽全般で用いられる。

Wikipedia - グルーブ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%B4 より引用

お!
具体的な定義は決まっていないとおっしゃるか!

リンクから飛んでもらえばもう少し詳しくグルーブについて書いてあるが、現実にはもっと違う意味でグルーブという人が多くいる。
では一つずつ症例を見ていこうか。

 

グルーブ=ノリ 広義の意味でのグルーブ

個人的な感覚では、楽器をやらないリスナーや若い人がこの意味でのグルーブを使うことが多い気がする。

見出しにも書いたがこのタイプの人は”ノリ”と全く同義でグルーブという言葉を使う。
だから彼らの言う”グルーブ”を”ノリ”だったり”リズムのニュアンス”だったりの言葉に置き換えても問題なく通じる。

例文:

「打ち込みのドラムのグルーブ嫌いだわー」

「彼のドラムのグルーブは固いんだよねー」

実際に”ノリ”と”リズム”に置き換えてみよう。

”打ち込みのドラムのノリが嫌いだわー”

”彼のドラムのリズムのニュアンスは固いんだよねー”

どうだろう。
問題なく通じる。

さらにいうとリズムのことをそのまま全部グルーブと呼ぶ人もいる。
ホットケーキをパンケーキといったり、甘味類をスイーツと呼ぶようなものだろう。
真新しい言葉はいつだってかっこよく響くように聞こえるものである。


 

また、この使い方はノリの種類という解釈も可能である。

だからスウィングという種類のグルーブ
カンタービレという種類のグルーブ
パンクっぽい前のめりのリズムというグルーブ

楽器を演奏するときはアクセントだったり、数学的に正しいタイミングからずれたりしてノリ、ニュアンスを表現する。
同じ譜面でも演奏者によってノリが変わってくるだろうってことであるし、
さらに言うと同じ奏者でもどういうニュアンスで演奏するかによってノリが変わってくる。

その楽譜に記載されてない個々のリズムのニュアンスのことをグルーブと言うのだ。

若い楽器奏者はこのパターンで言うことが多い。


 
言葉と言うのは実に曖昧なもので、例えば”ヤバイ”という言葉だけでも無数の意味があったりする。
このタイプのグルーブはそういう解釈をすればいいはずだ。

大体会話の流れでなんとなくわかるだろうし、Wikipediaでみたグルーブの定義と違うからっていちいち突っかかるのはやめよう。
言葉なんて流動的だし、世代を経たらこのパターンが正しい意味になる時代だってくるかも知れない。

 

ノリの一種としてのグルーブ派 狭義のグルーブ

062
このパターンはおじさんに多いイメージがある。
元々のグルーブの意味に一番近いパターンだ。

リズムのニュアンスという意味での”ノリ”という大きな枠のなかにグルーブというノリがあるという解釈だ。
基本的に黒人がやってるファンクとかの音楽のノリのことを指していうことが多い。
”裏拍を強調したビートでリズムが心地よくうねってるのがグルーブ”言葉にするとこんな感じだろうか。
数学的な
ヒップホップ的なリズムを褒める言葉としての”バイブス”に近い概念だ。

だが、このタイプは困ったことに何がグルーブなノリで、何がグルーブでないノリなのかが人それぞれ違う。
例えばブラックミュージック以外の音楽で、”グルーヴィ”なノリを取り入れた曲とかはグルーブと認めないといった具合だ。

 

何でもいいからリズム的にテンション上がったら、それはグルーブだよ!派

コレも若い人に多い傾向があると思う。

見出しのとおり、リズム的にテンションが上がれば何でもグルーブと呼ぶのだ。
だから8ビートのロックでもダンスミュージックでもジャズのスウィングでもテンションが上がればグルーブである。

ポイントはリズム的にテンションが上がるか上がらないかである。
ギャル語でいう”激アゲ”みたいなもんだろう。

面倒くさいので、このタイプでグルーブといっていた自覚のある人は是非これからは、激アゲに置き換えて欲しい。
使ってるうちになんか楽しくなってくるはずだ。

グルーブ原理主義派

グルーブと言う言葉を神聖視しすぎた結果生まれた過激派集団である。
というか自分以外のヤツがグルーブを語るのがムカつくんだろうな。

このタイプの人はとにかくグルーブを高尚なものだと捉えている。

「〇〇のドラムを聴かずしてグルーブを語るなんて・・・」
「グルーブってのは〇〇のリズムを形容するために生まれた言葉だ」

こんな具合だ。
誰かがグルーブを語ろうとしようものなら、すぐさまそれを遮って鬼の首を取ったように語り始める。

まあ確かにグルーブを極めようと思えばそこに収束するのはわかるけど、それを他人に強要するのはやめて欲しいものだ。

 

いかがだっただろうか

DSC08130(Color Boost)
狭義の意味から広義の意味、そこから発展した意味。
上に挙げたように、グルーブと言う言葉は非常にややこしい。

ここに挙げた以外の意味でもグルーブを使う人もいるだろう。

もともとの意味が何であったであれ、既に実際にグルーブと言う言葉は一人歩きし、様々なレベルで使われるようになった。
相手の解釈が自分と異なったときは、どちらが正しいか考えるよりも、相手がどのような意味で使っているか考えた方が生産的だろう。

私もよくわからんおじさんに3時間ぐらい、こってりとグルーブの談義をされるのはもう御免である。

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