ライブのダイブ・モッシュって死人出してまでやる意味あるんですか?
ライブから今に至るまでの出来事、想いを書き出しました。
ライブハウスは自己責任だとわかっていますが、一生のトラウマになってしまったので。
ライブへ行く人、ダイブをする人、わたしの鼻を蹴った人、是非読んでもらいたいです😊 pic.twitter.com/LfIJbkbq06
— まちこ (@LmhLIA7tySSR6Ec) 2017年4月17日
今回はちょっと難しい話になるし、冗談も言えない話題だけれど、見過ごすべきでない大事な話なので皆さんも考えながら読んでくれたらうれしい。
今までもライブハウスのマナーについては、ファンの間であったり、時には有名アーティストが声を上げたり、大手フェスが規制を発表したりと、大小さまざまな形で是非が問われ続けてきたけれど、今回明確な被害者が現れたことによってSNS上で大きな波紋を呼んでいる。今この記事を読んでいる人たちの中にも、上記ツイートを見かけた人は多いはずだ。
一人の女性が大けがを負ったという事実に対して、今またライブ中におけるダイブやモッシュなどの危険行為の是非が激しく問われている。
みなさんはダイブやモッシュを始めとするファンの行為について、反対ですか、賛成ですか。
もちろん怪我人なんて一人も出ない方が良いに決まってはいるし、若い女性が顔に大怪我を負ってしまったことは取り返しのつかない悲劇ではあるけれど、ライブマナーの在り方について一度みんなで考えるチャンスだとも言える。
タイトルからわかるように、結論から言えば僕はライブでの過度なダイブ行為に反対だ。
今から述べるのは一個人の極端な意見だが、これを踏まえた上でみなさんの中にダイブやモッシュの是非について一つでも考えが生まれれば幸いだ。ではちょっと長いし文字ばかりですが後半だけでもいいので良ければ耳を傾けてください。
よろしくお願いします。
本当に自己責任?
こういった事故が起きた時、真っ先に言われるのが
「自己責任ではないか」
「前列に出るならそういう覚悟を持った方が良い」
という意見。これらはちょっと乱暴な考えだとは思うが、論外なほどの極論でもない。
ダイブやモッシュという行為が容認されるべきなのか規制されるべきなのかは、今まさに話し合ってる途中なのでおいておくとして、現実にはダイブは行われており、今回のような大怪我や死亡事故も実際に起きている。というのが事実だ。
メロコアやハードコアといったジャンルのステージ最前列は夜の足立区に匹敵する明らかな危険地帯であり、それでも前に出たいというのであればそれなりの覚悟はもちろん必要だ。
が、それは参加者の大多数がそれを共通認識として認めている場合のみの話。ロキノン系とかギターロックと呼ばれるようなバンドでもモッシュやダイブが頻繁に起きるようになりつつある最近では、参加者ごとにライブへの認識が大きく違う。
人によってはスポーツのような感覚で捉えているんだろうし、人によっては芸術鑑賞のような感覚で捉えているんだろう。両方共の楽しみ方が尊重されるべきだが、そういう認識の誤差から事故は実際に起きている。
怪我を覚悟で最前列にいる人間がいくら自己責任を叫んだところで、それはあくまで一個人の意見であり他人に強要できるようなものではない。「自己責任だから」という言葉は自分が怪我をした場合にのみ使われるべきだ。受付で同意書を書いたわけでもない怪我人に、一方的な覚悟を求めるのはかなり酷なことじゃないだろうか。そういうつもりで来ていない人を「常識がない」と一蹴してしまうのはあまりに価値観が自分本位すぎる。
今回の事件がライブマナーという言葉で語られるように、ダイブやモッシュという行為の是非はあくまでマナーでしかない。マナーや常識なんていうのは、法や規制の後に続くもっとも曖昧で拘束力の低いルールだ。
「法律で禁止されていないからオッケーだ」
という考え方もできるがそれ以上に
「法律で正式に容認されていない行為だ」
とも受け止められる。むしろこっちの考え方の方が慎重だろう。
でも逆に、ガチガチのパンクバンドの最前列に行ってアザやコブを作って戻ってきて「こんなはずではなかった」「音楽の楽しみ方として間違っている」と、各々の同意の上で楽しんでいる集団に対してモラルを振りかざして迫害を行うのも良くない。多様性が認められるべきだ。
みんなが楽しむためには
ともすれば、頼れる尺度は「全員が最大限楽しく過ごすためには」という考え方しかない。
先ほども述べたように、大多数がモッシュやダイブを楽しみたい!というステージであれば彼らを尊重すべきだし、逆に数人のダイバーのワガママで他すべての来場者の楽しみを汚すのは許されないだろう。
ここまで至極当たり前のモラル論や功利主義的な話を並べてきたが、ちょっとここでみなさんに一つ投げかけたい。
ダイブって、楽しいの飛んでるヤツだけじゃないですか?
前述の「全員が最大限楽しく過ごすためには」という尺度で考えた時に、ダイブってあまりにリスクリターンが見合っていないんじゃないかと思うのだ。むしろ本題はここからだ。
枕で「僕はライブでの過度なダイブ行為に反対だ」と書いたが、ただのモッシュなんかはさして取り沙汰すような問題行動なんかじゃないと考えている。すし詰めの満員電車状態のライブハウスで全員が音楽を聴いてノってしまったらモミクチャになるのは自然のだし、あれはあくまで音楽を楽しんだ先の成り行きとして納得がいく。モッシュは僕もする(するって表現するのはヘンだけど)し、巻き込まれても全く不快ではない。
だがダイブは全くの別物だ。この記事のサムネイルのようなダイブは、ファンの興奮状態からモッシュが起き自然にステージに押し上げられた人間がフロアに戻る過程で起きる天然発火現象だが、ダイバーという言葉が指すような人種は同じヤツが何度もステージに上がってとびかかってくる。完全な自発行為だ。
モラルやマナーを越えて、これは一つだけ権利として言わせてもらいたいのだけれど、俺はお前の顔を見るために金を払ってはいないし、お前を支えるために休日を使ってここにいるわけではない。あまつさえバンドを差し置いてお前に「まだまだこんなもんかァー!」なんて煽られる筋合いは全くない。誰なんだ。面識ないんだから敬語を使ってくれ。
ライブ終わりやSNSでよく見かけるのは
「今日めっちゃ暴れたわ~。3回もダイブしたった(笑)」
みたいな男。どれに当てはまるかは知らないが103条ある憲法のうちのどれかに絶対抵触しているので早く死刑にした方が良い。
自然発生のダイブなら本当に構わない。ダイブをする人間が全員が全員邪悪だとは思わない。が、一部には間違いなく自己顕示欲を満たすために飛んでる人間がいる。これは人様を使った自慰行為に他ならないです。もっともっとみんな怒って良いと思うよこういうヤツには。
飛んでる一人は死ぬほど気持ちがいいかもしれないが、全体を鑑みればトータルでマイナスなケースが多いんじゃないか。ならそんな行為は減った方が良い。
死人を出してまでやるべきことか
なんでもかんでも危ないから禁止だ!という考え方は僕も好きではないし、そんなことを言ってしまえば運動競技は全部禁止になってしまうし公園はただのサラ地になってしまう。
だが、楽しいのは一人限りな上に死や怪我のリスクを背負ってまでやるメリットがあるのか?と僕は勘ぐってしまう。
ていうか絶対ない。大げさだが海外ではダイブでまあまあ人が死んでいるし、今回のツイートにも「私も昔怪我をした」という被害報告が多数寄せられている。
危険度に楽しさが見合っていない娯楽は世の中にまあまあある。スカイダイビングとかね。自己責任でそれをやるのなら一向に構わない。しかし、ダイブに関しては及ぶ危険があなただけで済まない上に、ダイブされるなんてことを夢にも思っていない人間が怪我をする恐れがあるのだ。そんなのはもう個人の自由の範疇をとっくに飛び越えている。
僕は「99人が楽しむために1人がちょっと我慢しよう」という考えだが、99人が楽しくても1人が怪我をしたり死んでしまったりするようなことがあればそれは途端にひっくり返る。
ダイブって命賭けてまでやるべきことなんでしょうか。よく考えてみてください。
終わりに
何度も繰り返すが、ダイブやモッシュが完全に悪い!根絶しろ!ということを言いたいわけではない。
ダイブのことをとても悪くいったが、これは一部の悪辣で思慮の浅い人たちへの警告であって、ダイブやモッシュなどは楽しみの一つ、文化の一つとして理解がある人間同士でこれからも続いていけばなんの問題もないだろう。
こういうハッピーなケースも実際にあるわけだし。
だがあまりに危険な状態が続けば、バンド側がファンにマナーを制限しなくてはならなくなったりもする。実際にそういうバンドは多くいる。バンド側にそんな無粋なことを言わせてしまうのはとても残念なことだ。
また、事故に際して運営を過度に批判するようにもなれば、今度はダイブやモッシュが醍醐味のバンドのファンが息苦しい思いをしてしまう。
互いが互いに配慮しあって、できるだけ全員が楽しめるようにちょっとでも心がけていければいいし、実際問題そうする他ないとおもいます。
みなさんはどうでしょうか。一度考えてみていただければ幸いです。
それでは。