シナリオアートのKANA-BOON抱き合わせ商法が卑怯くさい。
バンドの売り方の一つに、「ファンの共有」がある。例えば対バンなんかがまさにそれで近しいジャンルのバンド同士を同日同じハコでぶつけることでお互いが抱えているファンを共有する意図や意味がある。
古典的な手法ではあるが、邦楽ロックを聴く人間の人口対バンド数を照らし合わせるに、どうやったってファンの共有は必要不可欠。サブカルマッシュの中高生のTwitterアカウントを覗けば
「お前さん… これ… どう見たってYoutubeの関連動画巡回しただけやんけ!!」
みたいなバンドの羅列が見受けられる。過去に当サイトで取った「あなたの好きなバンド、どこで出会いましたか?」アンケートでもYoutube様はブッチギリの一位。僕だって小中学生の頃BUMP OF CHICKENのフラッシュ動画とかでバンプにはまり…とかしてたワケで、これだけインターネットがスマホで身近になった現代「あ、音楽聴いてみよう」と思った10代の少年少女がYoutubeに手を伸ばさない方が不自然。「あ、僕はディスクユニオンでHIP HOPのLPジャケ買いしてますね」みたいな高校生がいたらね、親の金!って叫びながらぶん殴ってやるよ。連れてこい。
と、思えばだ。シナリオアートのKANA-BOON抱き合わせ商法はね、卑怯だよあんなもん。
憤慨している。とりあえず以下の動画を見て欲しい。
まずこれ、KANA-BOON。本当にキャッチーなメロディ作るのが上手いなこの人。例えば[Alexandros]と見比べて、同じ人類とは思えない程度にはルックスのハンデを抱えているのに対等にやりあってる。ハンパじゃないことだよ。
そしてこれ、シナリオアートのナナヒツジ。よくこんなパターン叩きながら歌えるな…
ちゃんと見比べてくれればわかるように、PVの内容が地続きになっている。プロモーションもKANA-BOON側から「シナリオアートと一緒にPVつくりましたー」と寄り添うカタチだ。
そんなん、見るでしょ、KANA-BOONのファンはとりあえず。何なら関連動画にも表示されるワケで、かなりの捻くれ者かシナリオアートに親を殺された人でもない限りは見るだろう。
大義名分としては「同じアニメ"すべてがFになる"の主題歌だから一緒にPV、つくっちゃおっか!」みたいな感じだが、それにしたってシングルまで2バンド1枚に詰め込んで売るのはダイナミックすぎる。
一般論の話なので落ち着いて聞いてほしいのだけれど、やはりバンドという商品は有名になればなるほど購買層の"売りつけられればとりあえずそれを買う"という層、マイルドに言い換えればアホ、の割合が増えてくる。メジャーシーンは言うなればアホの争奪戦。まだ物の好き嫌いも判断つかぬ子供をかき集めお小遣いを巻き上げるデビルシステム。THIS IS THE HELL. かなり悪い見方言い方をすればこんな感じだ。いや実際は各自にそういった意図は明確にはなく真面目に音楽を販売しているだけなんだけども。
きっと奇跡的に「KANA-BOONも好きだけどシナリオアートも良いじゃん」と趣味がバッチシあった人もいるでしょう。しかし二者の音楽性を見比べても「邦楽ロック」という狭い範囲内であればあまり近しいモノとは思えない。両方好きになれた、という人は「邦楽ロック」なるものが好きなんだろう。で、あれば既に一生聴けるぐらい世の中に蔓延してるからこだわらずなんでも聴いてみてほしい。
実際にシナリオアートのこの広告戦略は成果を上げている。キューンミュージックの聡さよ。
しかしいくら状況に恵まれ脚光を浴びたとして、手放しに地位が確約されるハズもない。チャンスの後に必要になってくるのは実力だ。メジャーの一線で活躍するキャッチーの鬼たちと対等にやりあわなければならない。やっぱりね、KANA-BOONはすげえよ。聴くと「なるほどー」って声が自然に出るもん。
一度リスナーたちのiPodに入ったとして、シナリオアートはKANA-BOONを押しのけてリスナーたちの指を引き寄せ再生ボタンを押させることができるのだろうか。
結果はそのうち出る。
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