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2015/09/07

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エフェクターが宇宙的に増えていく avengers in sci-fi

エフェクターというもの

ギタリスト諸君、エフェクター使ってるかい?

「そりゃ歪ませるためには使うだろうがよ、オーバードライブとか」
と言うギタリストは健全だ。
「先生……エフェクターの買いすぎで……ご飯が食べられません……」
そんな機材厨のお前は、まず何個か買うエフェクター減らせ。
「ハァ? エフェクター? 漢らしくねえっ! 漢ならアンプ直だぜ!」
メタルのひとに多そうだね。でもメタルミュージシャンにとってTS(チューブスクリーマー)でブーストするのって常道よ?

のっけから、音楽機材に詳しくない一般人のひと置いてけぼりでメンゴメンゴ。
でも、このavengers in sci-fiというバンドを語るにおいて、エフェクターという「ギターやベースの音を変える機械」を抜きにして語るのって、筆者としてはあんまやりたくないんよ。つまらないから。

だって。
次の写真見て。

エフェクタージャンキー

 

avengers_in_sci-fi

これが、彼らの公式フォトとして、最も有名な一枚ではないだろうか。
一体いくつエフェクター、機械使っとんねん!

そして、演る音はこういうのである。

ピコピコで、電子音豊かで、しかし壮大!
バンドサウンドと、シンセサイザーサウンドが、見事に同居している!

だがしかし、これは全部、打ち込み……PCを使った音ではなくて、全部「手足」で。通常のスリーピースバンドサウンドを、シンセとエフェクターでいじり倒して、このような音を出しているのである。

んでさ、この写真見てよ。
エフェクター好きだったらほぼ大体が知ってる雑誌「THE EFFECTOR BOOK」2010年冬号なんだけど。

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s-20150411_082314

……何、この数。これは、上はギターの木幡太郎、下はベースの稲見喜彦の使用エフェクターである。
これを、リアルタイムで、踏み変え踏み変え、ギター、ベース、ヴォーカルの音を変調させて、あのエレクトロサウンドをナマで作り出しているのだ。

つまり、エフェクター無しに成立しない音楽。それがavengers in sci-fiなのである。
名言がある。

木幡「僕にとっては、エフェクターを踏むのはチョーキングをするのと同じくらい重要ですね。普通のギタリストがチョーキングやアルペジオといったフレーズを使うことで曲に表情をつける代わりに、僕はエフェクターを踏んで、それを実現しているというか。そういう感覚に近いですね。もうギター・プレイの一部と言っていいでしょうね」
稲見「そうですね。フレーズの一部ですね」
――「THE EFFECTOR BOOK」2010年冬号 巻頭インタビューにて

聞いたかアンプ直メタルミュージシャン。世の中にはこんな人間もいるのである。

ちなみに、さらに次のアルバムになると、こうなる。

s-20150411_080757

木幡のボードだけど……エフェクター、増えてる……。

 

しかし彼らの本質は大道芸的エフェクター使いだけではない

当然だ。
彼らは、その卓越した音センスでもって、「宇宙」を描く。
「sci-fi」の名は伊達じゃない。人呼んで、「ロックの宇宙船」
エフェクターが、シンセが何のためにあるか? 彼らは何を表現したいか?
宇宙である。SF的宇宙である。

彼らの音楽には、いわゆる「素朴な田舎暮らし」とか「学校の青春」とか「日々の生活」とか「絆」とか「ズッ友」とかいう感覚がない。まるでない。
あるのは、宇宙に対する感覚。もしくは、宇宙を夢見、宇宙に飛び立ち、地球を遠く離れ、どこかの星で生を眺める感覚。
「地べたの生活感覚」なんてお呼びじゃない。

エフェクターで加工しまくりの、彼らのギター、ベース、そして声さえ。それなのに、エモーションがこんなに伝わってくるのは何でだろう。

絶えることない、少年の夢想がそこにあるからだ。
SF者なら、一発で答えられる言葉がある。
センス・オブ・ワンダー

ギターは七色の音を紡ぐ。
ベースはぶっとくグルーヴを紡ぐ。R&B、ソウル的要素すらある。
ドラムがまた巧者である。ビシビシと疾走、楽曲を一時も止まらせない。
そして、ツインヴォーカル。
オトナになりきれない、ハイトーンの少年のような声である。この声で、宇宙に対するエモーションを歌うのだ。意味不明な歌詞なのに、胸が……締め付けられる。

現実のリアルなナマの感覚こそが音楽のすべてだ!
という人には、薦めない。avengers in sci-fiの音楽を。
けど、地球すら離れて、宇宙的サウンドスケープを展開する、ってのに、興味がある人は……センス・オブ・ワンダーのある人は……聞いてみてもいいんじゃないかな。ないかな。かな。(エコー)

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