ちょっとひねくれたポップスがクセになる 市橋ヒデチカ
ポップスというジャンルはお好きですか?
ポップスというジャンルは結構面倒くさいもので広義の意味だとポピュラー音楽全般、つまりロックからブルース、ジャズ、ヒップホップ、EDMも全部オッケー、簡単に言えばクラシックと実験性の音楽以外全部含めてしまえる。
だが今回の”ポップス”は狭義の意味でキッチリ定義するのは難しいが、歌メロを中心に据えながらも何かしらのジャンルに根ざしすぎない音楽くらいに捉えていただきたい。要は聴いて「これはポップだな」と思える感じの音楽だ。最近話題のアーティストでいうと星野源とか、そのあたり。
そしてポップスにはもう一つの側面があって大体の場合が雰囲気が明るかったり、音楽がわかりやすかったりする。そりゃあ日本語に訳せば”大衆音楽”となるのだから当然といえば当然だが。
今回は「市橋ヒデチカ」というアーティストを紹介する記事な訳だが、彼の音楽性を形容するなら”ひねくれたポップス”。そのように本人が公言しているわけではないが、私が名づけるならひねくれたポップス。
要は狭義の意味の歌モノという意味のポップスと一筋縄でいかない音楽性をまとめた音楽性ということだ。
ということで今回はそんなちょっと矛盾してしまうような要素が一つにまとまったようなアーティストを紹介しよう。
ポップなメロディとひねくれたトラック
市橋ヒデチカ - オツォああォ暑いああアウアアウア#ネ
初代ポケモンがバグった時のようなヤバいタイトル。
歌詞の内容も抽象的だが、タイトルどおり「暑い」ということについて歌っているようだ。
蒸しかえるような暑さに朦朧としてくるような感覚がヒシヒシと伝わってくる。まるで呪詛かのごとくカオティックにループするトラックに対して耳に残るポップなメロディーライン。
ポップなのに明らかに真っ直ぐでないテーマ性、このアンバランスさがクセになってくる。
元々Browniesという名義メジャーで活動していた
現在は市橋ヒデチカ名義でインターネットなどでの活動をメインにしているが、元々はBrowniesという名義で2005年までメジャーレーベルにて活動してた。
当時の音源がコチラ。
リリース当時、2000年代前半らしさが反映されているフックの効いたブレイクビーツに合わせて展開される、ユルい雰囲気が特徴の一曲だ。
ポップスやロックはもちろんヒップホップやエレクトロ系からの影響が溶け切って彼の持ち味となっている。
この頃から既に現在の彼の音楽性に繋がる”斜に構えた感じ”がでていて非常に面白い。
市橋ヒデチカ - 不穏な雰囲気(ほとんどヨーダ)
(ほとんどヨーダ)まで入れて曲名。
結局(ほとんどヨーダ)にどんな意味があるのかはサッパリわからないが、スターウォーズのヨーダの宇宙人っぽさというか、緑色の亜人みたいなそんな様子は伝わってくる。
サイケデリックで酩酊感のあるループとポップなメロディ。方法論でいくとシューゲイザーにも似ているような気がする。
市橋ヒデチカはポップスでありながらポップスでないような、そんな音楽性の稀有なアーティストだ。
明るすぎるポップスに嫌気がさした人やサイケデリックで中毒性がある音楽のファンの方まで、是非コレクションにくわえてはいかがだろうか。