良い意味で最悪。group_inou
良い曲とは何だろう、と考えたときに一つ思い浮かぶ言葉がある。"中毒性"だ。「また聴きたい!」そう思わせることができれば、その楽曲は音楽として一つ本懐を遂げたと言えるだろう。
そんなことを考えていたので今回は是非中毒性のある音楽を紹介したい。そんなわけでgroup_inou、今回は彼らの記事だ。
茂木健一郎に見せたら「脳に悪い」つって怒りそうだなこれ。ほら騙されたと思って最後まで聴いてくれ、ガンガンシナプスが潰されていくぞ。
一聴してすぐに"ヤバい"と直感できる彼らの楽曲だが、何がおかしいのだろう。展開自体は至ってシンプル、変拍子はなくサビらしきものはある。
音楽面においての胃脳らしさ、はおそらくその音作りに集約されているのだろう。
20年前の人間が考えるSFみたいな、そんなミョンミョンしたサウンドが耳にクる。Kraft Workの時代に帰ってきたかのようだ。音階がヘンなのではなく、音作り、音そのものがヘン。変な音を正しい音階で並べて作ったアンサンブル、そんな様子だ。
あとはもう、歌詞と声と映像ですわな……それらが"こう"じゃなかったらオシャレなエレクトロポップに聴こえなくもない。
映像
見る麻薬と言わんばかりのこの映像、AC部という団体が作っているらしい。サイトはこちら。のっけからなんだこれ、ディストピアかよ。
1999年から存続するながーいグループで、NHKを初めとする各種テレビジョン放送にも活動の手を伸ばすかなりちゃんとしたグループ。ちゃんと、狂ってるんだな。
最近じゃオレンジレンジの「寿司たべたい」のMVも手掛けたりと、作る作品作る作品に強烈なインパクトを残し、都度一定の評価・爪痕を残している。
今から寝るのに勘弁してくれよ。90年代の悪い部分だけを集約した傑作だ。
そんなAC部の映像と胃脳の音楽はもう、鬼に金棒というか、泣きっ面に蜂というかだ。とにかくお互いのポテンシャルを引っ張り上げてだな、良い意味で最悪。良い意味ででだよ。
慣れる
「美人は三日で飽きる」その言葉のよろしく耳触りが良いだけの音楽はすぐに飽きられがちであり、音楽っていうのはある程度のルールに沿って鳴ってさえいればそれだけで基本的に心地いい。
上の言葉と並べてよく「ブスは三日で慣れる」とも言う。人間はある程度の苦境であればすぐに慣れてしまう。そして慣れてくるとだんだんクセになってくる。そんな経験はないだろうか。ほら、こう…足の爪の匂いとか……
足の爪の匂いと同じにしちゃ悪いが、group_inouの音楽はその部類。ウワッ、と思っているうちに癖になってきて気が付いたら…、そんな構図だ。
最近なにかと当サイトで話題に上がる水曜日のカンパネラも、今でこそ向いてる方向は違ってきているが、元根差していた部分は近しいようだ。両者共にサウンド面は嫌にハイレベルだし。
最近のgroup_inouはポップに角が取れた。なんて言う風に言われたりするが、新譜を出せば出しただけ変化と挑戦を見せてくる彼ら。僕は今の胃脳も好きだ。ドギツさがきっかけで聴き始めたが、こういうクールな音楽をやっていても姿勢も歌詞も俄然攻め。根幹は何もブレていない。それらも含めて全部カッコイイ。
やっと時代が追いついた。そんな風に言ったっていいだろう。
好奇の目から入っても良い。是非group_inouを押さえておいてほしい。