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音楽プロデューサーとかって何をしているのか、料理に例えるとわかりやすい

2016/07/16

ぼく「やっぱリック・ルービンスゲエよ、関わったアルバムのクオリティがスゲエ高い!」
「リック・ルービン?バンド?有名なのそれ?」
ぼく「・・・」

ぼく「やっぱアラン・モウルダーの音は心地良いなー!神!」
「アランモウルダー?バンド?それかなんかの機材の話?」
ぼく「・・・」

 
こんにちは。
みなさんは上のような音楽プロデューサーとかエンジニアの話をして全く通じなかった経験があるだろうか?
今回の記事はそういった経験が”無い”人。即ち音楽プロデューサーとかそういった類のものがサッパリわからない人のために解説しようという記事である。

音楽好きでもプロデューサーやエンジニアが何をしているのか良くわからないという人は多いはず。
要は裏方にあたる職業なのでわかりにくいといえばそのとおりなのだが、そういったところまでわかるようになればより音楽を楽しめるのではないだろうか。

あと個人的なアレだが、そういった話が誰にも伝わらないので「上記のようなミュージシャン以外の音楽制作者」の仕事に感動した際は、仕方なく一人で「アランモウルダーは神、アランモウルダーは神」といった具合に呟くようにしていたところ優しく職質された。ということで私の人間としての尊厳を保つために今回はそういったことが減るように解説したいと思った次第だ。

しかし「ミュージシャン以外の音楽制作者」というのは非常にややこしい上に、まず取っ掛かりがないので理解するのが非常に難しい。wikipedia先生にそれらを解説するページも存在するが、先生は公正・公平さのために理解のしやすさをぶっ飛ばしているので正直読んでも何が書いてあるのかわかりにくいことが多い。
そこでだ、最低限人間に必要なもの「衣食住」 たまに家に住んでなかったり全くもって服に興味が人がいたりもするが、「食」に関しては興味があるなしに関係なく生きてる限り絶対に関わらなければいけないものである。いわば「食」は全人類共通のテーマだ。
ということで、ややこしいこと極まりないプロデューサーやエンジニアといった音源制作に関わる様々な職種を、この世で一番わかりやすい話題である「食」に例えて説明していく、というのが今回の記事である。

レコード会社

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例:EMI、ソニーミュージック、エイベックス等

レーベルとか呼んだりインディーズやメジャーとかあったりするのがレコード会社。
察しのとおり、その業務は多岐にわたるが今回は音源制作の部分にに焦点を当てて説明しよう。
レコード会社はざっくり説明すると自分達で音源の制作を企画したり、他からの依頼、例えば映画の主題歌を作って欲しいとかそういうのがあって最終的な音源の完成までをする会社である。

それぞれ会社によって色々ことなるが、自分達で制作に必要なスタジオ(キッチン)やエンジニア(料理人)をといった製作部門を抱えていたりするところもあれば、そうでないところもある。
制作部門を持っていないところは他のレコード会社に頼んだりすることもあるし、制作部門を持っていても場合によっては外部からそれぞれスタジオやエンジニアを集めて制作したりすることもある。要はケースバイケース、場合によって色々違う。


 

レコード会社は料理に例えると、幾つかのレストランを経営している会社だったり、レストランのオーナーだったりがそれにあたる。
音楽では所属レーベルによって特色がでるのでそれを当てにして探したりするが、料理で言えば居酒屋とかでよくある「系列の店」がそれにあたる。要は「レーベルメイト=系列店」といった具合だ。

 

プロデューサー

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例:小林武史、亀田誠治、リック・ルービン、クインシー・ジョーンズ

映画でいうところの監督、サッカーでも監督、学校なら先生だし部活の顧問。それがミュージシャンに対してのプロデューサー。とにかく制作にあたっての指示を色々だす人と考えればわかりやすい。
実際の仕事内容だが、結構多岐にわたるのだが狭義では「音の最終責任者」を担当する人物をプロデューサーと呼ぶ。
それ以外の業務では世間にはどんな音が考えたりプロモーションを行ったりするマーケティング業務、新人アーティストの発掘だったり育成とかをするA&R(アーティスト・アンド・レパートリー)。
さらに広義になってくると制作のための予算を引っ張ってきたり、それの配分を決めたりする人のことをプロデューサーと呼ぶこともある。

「やっぱこのプロデューサーすげえよ!」なんて話の時に指しているのは大抵最初にあげた「音の最終責任者」としてのプロデューサーの話である。予算の引っ張ってきかたが神掛かってるとかそういう話じゃないのでよろしく頼む。


 

音楽プロデューサーは料理で例えると、ズバリ料理長、シェフだ。料理の総監督だ。
料理長は何をするかといえば一番の仕事は「味の最終責任者」ということである。
料理を作るにあたって様々な食材とそれを調理する料理人、そして設備も様々に異なってくる。
全てが料理長の頭に浮かんだようになる時もあれば、欲しい食材が手に入らなかったり使えない料理人が混じっていたりと不測の事態が起きる場合もある。
そういった”料理を作る”過程を管理し、最終的にどの味で世に出すかを決定するのが料理長である。(音の最終責任者)

・料理長の仕事内容の中には、どんなお客様が来て、どんな料理、どんな味を希望しているか考えるという業務も含まれている場合がある。(マーケティング業務)
・また腕の良い新人コックを探してきたり、作る料理に必要なコックを探してくるのも料理長の仕事。(A&R)
・さらに料理を作るための予算をオーナーやスポンサーと交渉、どの食材に幾ら掛けるのか、どのコックにどれだけのギャラを払うのかなどを決定したりもする。(予算管理者)

 

作詞作曲するやつ(バンド・アーティスト・作詞・作曲家)

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例:秋元康(作詞家)小室哲哉(作曲家)

さあ音源制作するぞ、となったときに一番のキモとなるのが作詞作曲。
たまに作詞・作曲したらそのままCDになると思っている方がいるがそうではないぞ、作詞・作曲の後に録音があって編集があって始めてCDになる。作詞・作曲はそのあとの工程のための設計図のようなものだと思うとわかりやすいと思う。映画でいうところのストーリー(脚本)をつくる作業だ。

作詞・作曲がどういった作業なのかは別段説明する必要はないとは思うが、留意点としては「どこまで完成させて作詞・作曲をしたことになるのかは時と場合と人による」ということである。
例えば「アコギと歌だけの弾き語りを作った(バンドのフルアレンジがある前提の曲)」という場合もあれば「リリースできるくらい完成形まで近づいたのを作った(ボーカルだけ仮の状態)」みたいな場合でも作曲は作曲なのである。「アコギと歌だけの弾き語りを作った」の場合だと次に書く「編曲家(アレンジャー)が頑張ることになる。


 

作詞・作曲は料理・レストランでいうところの「どんな料理を出すか」と「そのレシピ」を作る部分にあたる。
他の仕事もクリエイティブだが、ココの仕事が一番クリエイティブだし、クリエイティブであることを求められる部分である。

 

編曲家

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編曲家として専門に編曲やっているというよりかは、作曲家として活動し編曲の仕事をした場合に編曲家とクレジットされるイメージ。

曲の最終的に演奏される楽譜(アレンジ)を行うのが編曲家。その仕事内容からアレンジャーと呼ばれることも。
演奏される個々の楽器の特性への知識や、各楽器の兼ね合いなど相当な技量が要求される職業でもある。
因みに作曲者がアレンジまで出来る場合でも、ストリングス(オーケストラ)などのアレンジは専門的な知識が必要なことも多いので部分的に任せる場合もあったりケースバイケース。


 

先ほどの「アコギと歌だけの弾き語りを作った場合」はレシピでいうと”キノコのオムライス”という料理名で「オムライスを作ってキノコをのせる」とだけ書いたレシピだけを作ったような感じだ。
そういった場合にそれをちゃんとした料理が出来るレシピにするのが編曲家である。
先ほどの超ざっくりしたレシピを「玉子は2個を割りボウルに入れる生クリームを小さじ一杯加え混ぜる、フライパンでバターを溶かし玉子を入れ20秒程度、玉子が半熟の状態で米の上に乗せる」といった具合に仕上げる仕事。

 

プレイヤー・演奏者(スタジオミュージシャン)

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例:今剛(ギタリスト)日野"JINO"賢二(ベーシスト)菅沼孝三(ドラマー)

いわゆるスタジオミュージシャンと呼ばれる人たち。楽器演奏のスペシャリスト達だ。
単に演奏者が足りない(必要)なので呼ぶ場合から、ミュージシャン自体の知名度を利用するために呼ばれる場合、そのミュージシャンでないと出せない音が欲しいため呼ぶ場合、取りあえず譜面どおり弾ければ誰でもいい場合、特に欲しい音があるわけではないが、彼(彼女)の技術なら間違いないものになるだろうということで呼ぶ場合。様々なケースと理由で呼ばれる。


 

料理で言うと助っ人料理人。
炒め物のプロフェッショナルから揚げ物のプロフェッショナルが必要なときに読んだり、料理人が足りないときに召集したりといった具合で集める。

 

レコーディングスタジオ

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例:ウエストレイク・レコーディング・スタジオ

その名のとおりレコーディングをするためのスタジオである。
レーベルが持っているスタジオ、独立したスタジオ、ミュージシャンのプライベートスタジオまで結構幅広い。厳密な定義があるわけでもなく録音した部屋なら取りあえずレコーディングスタジオと呼んで大丈夫なようだ。フーファイターズも自宅のガレージを改造してスタジオにしていたし。
それぞれスタジオ置いてある機材の差や、そこに在籍しているエンジニア、部屋での音の響き方、予算、場所、コネなど色々な条件によってどこのスタジオで録音するか選ばれる模様。


 

レコーディングスタジオは料理でいえばキッチン。
近年では自宅キッチン(宅録)で済ましてしまうアーティストも増えてきているが、自宅のキッチンでは火力が弱かったり専門の調理器具がなかったりとかそういう理由で専門のキッチンを借りたりするイメージ。
専門のキッチンでは調理器具の操作に熟知した専門家(レコーディングエンジニア)が在籍していたり、していなかったりする。

 

レコーディングエンジニア

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例:クリス・ロード・アルジ、アランモウルダー(多くの場合はミキシングエンジニアも兼任する。担当した作業によってレコーディングエンジニアと呼ばれたりミキシングエンジニアと呼ばれたりする)

スタジオは用意した、曲も用意した、演奏者も用意した、さあ録音だ!というときに重要なのがレコーディングエンジニア。映画だとカメラマンや音声さんみたいなポジション。
時と場合とによって録音への関わり方はかなり異なってくるが、プロデューサーの指示通りに彼らの目指す音へと近づけていくような関わり方から、録音の段取り進行から音に対して積極的に関わったりなどプロデューサー的な関わり方など色々ある。(海外は後者のスタイルが多いらしい)
実際の業務はスタジオの準備から、ミキサーコンソール(卓)の操作、マイクの選定・設置、録音の諸操作など。


 

料理で例えると、ちょうどココにあたるポジションの人がいないのでアレだが、強いて言えばキッチンの設備を上手く調整・操作する人みたいなポジションだ。

 

ミキシングエンジニア

Chris Lord Alge at Mix L.A. for Waves Photography by Brian Petersen at http://www.brianapetersen.com

Chris Lord Alge at Mix L.A. for Waves
Photography by Brian Petersen at http://www.brianapetersen.com

録音したらそれがそのままCDになるかと言えばそうではない、例えば小説ならば原稿用紙に書かれた文を印刷用にレイアウトしなければならないし、映画だって撮ったままの映像のままでは完成ではなく、その後の編集を経てやっと完成品としての映画になるのだ。
録音された音に様々な編集を施し、音源を完成品へと導くのがミックスダウンである。

そしてこのミックスダウン、担当するエンジニアによってそれぞれ音に対する考え方やアプローチ、技術などが反映され、音が全然変わってくるのが面白いところ。


 

レコーディングが終わった時点では料理で言うと、食材をそろえた状態にあたるだろう。
例えばハンバーガーを作るとして「パンを作った焼いた!肉をこねた焼いた!野菜をあらった!切った!ピクルスを漬けた!」ココまでがレコーディング。
そしてそれらを組み合わせ「ハンバーガー」として完成させるのがミックスダウンである。

 

マスタリングエンジニア

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ミックスダウンが済んで「よしコレでCDに出来るね!」と思った方、甘いぞ。まだ重要な工程が一つ残っている。
先ほどのミックスダウンが終わった状態のもの、実はアレは”一曲単位の話”だ。
CDに入る複数の曲、それらは作られた日が違うのはもちろん担当したエンジニアも違ったりと色々バラバラの状態になっている。曲間の空白を調節したり音質の調整、音圧上げとそれらの調整などの処理を施しそれらを1枚の作品、CDとして統一性をもたせる作業がまずマスタリングの第一ステップである。(プリマスタリングとも呼ばれる)
第2ステップは原盤の作成だ。原盤とは、製品CDのコピー元である。原盤をコピーして作るのが製品CDだ。そのまんまだけど。原盤作成の作業はよっぽどのことが無い限り普通の人が聞いてわかるような違いは生まれないのだが、それを大量に複製するわけなので非常に慎重に行うべき作業ともいえる。

因みにバンドマンやDTMerの諸兄の中にはマスタリングを単に音圧を上げる作業だと認識している人が多いが、音圧を上げる作業はマスタリングの中の一部である。その認識だと他と話すときに混乱するのでアレしよう。


 

料理が完成したしてそれをそのままお客さんに出せるかというとそうではない。オラ!ハンバーガーできたぞ!と手づかみで渡すわけにはいかないだろう。
マスタリングはそう盛り付けだ。さらに言うと他の料理も盛り付ける。ハンバーガーならポテトをそえたりだな。最後にパセリをかけるくらいは「盛り付け人(マスタリングエンジニア)」の仕事に含まれることが多い。
 

おわかりいただけただろうか?

いやー非常に長い記事になってしまった。お分かりいただけただろうか。私が「〇〇ってミキシングエンジニアのミックスがやべぇんだわ!」といっていたらば即ち「料理で言うところの最終的な組み合わせの部分、その組み合わせの妙技に感動した」といっているのだ。わかるよな・・・?

だがしかしバット、こんだけ書いておいてアレなんだがクレジットされているからと言って必ずしも彼(彼女)の仕事のおかげでよくなったとも限らないのがこの世界だ。
例えば冒頭に挙げたリック・ルービンという音楽プロデューサー、ビースティ・ボーイズやRun-D.M.C.をプロデュースから始まり、手がけたアーティストはレッド・ホット・チリ・ペッパーズ、スレイヤー、メタリカ、システム・オブ・ア・ダウン、ジョニー・キャッシュやアデルなどと錚々たるメンツ。彼の手がけた作品の名盤率の高さ。それはもうすごいプロデューサーなのだが・・・

スリップノットのサードアルバム、Vol. 3: (The Subliminal Verses)もリック・ルービンプロデュース作品なのだが、その時の彼の仕事についてボーカルのコリー・テイラーがブチギレており「オレが生きている間は二度と彼と一緒にやらない」とのコメントを残している。彼曰く「リック・ルービンは製作の際に週たったの45分しかスタジオに顔を出さなかった」とのこと。最終的にアルバム、Vol. 3: (The Subliminal Verses)は素晴らしいクオリティに仕上がってはいるものの、コリーの話を聞く限りではリック・ルービンが作品へどれぐらい貢献したのかは疑問が残るところだ。
この件を料理に例えると、有名な料理人がちょこっと味にコメントをしただけで「〇〇プロデュースの」とついたみたい話だろう。

 

ということで最後に疑問が残る形にはなってしまったが、今回の記事でみなさんの音楽の楽しみ方の幅が広がれば幸いである。
それではまた次回の記事で!

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