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2016/07/16

記事 邦楽ロック

Yogee New Wavesの何が若者の心をつかんだのか?

私事になってしまってうのだが、先日久しぶりに弟にあった。
最近ハマっている音楽はYogee New Wavesだという。
コイツは昔からミーハーで、2年前にリオでワールドカップが開催された時には、もうサッカーが世界の中心だと言わんばかりに騒ぎ散らかしていたのに今では「サッカー?ああ、そういうスポーツあるよね^^」みたいな具合。
マイブラザーが目を付けたということは、つまりそういうことよ。
ヨギーは確かにかなり勢いがあるバンドの一つだったけど、”そういう人たちも群がるようになった流行りモノ”になってしまったとしみじみ感じる。

さてYogee New Wavesというバンド、確かにファッションはかなりオシャレだ。
何かをやりたいけど、やることを見つけられないので服を買いあさる大学生のような身から浮いたようなファッションではなく、オシャレが身に染みて離れないようなタイプのおしゃれ。
そりゃあもちろんファッションアイコンとしての役割を存分に果たすし、そういうのに群がる人たちが増えるのも納得がいく。

だが、逆を言えばファッションがおしゃれなバンドなんて彼らに限った話ではない。
というかむしろ、オシャレしてるだけで音楽で成功できるならそんな人をおちょくったような話があるかってもんだ。
ヨギーよりオシャレなファッションをしてても日の目を見ないバンドなんて沢山あるよ。

つまりYogee New Wavesはオシャレなだけでなく、若者の心を掴む何かをもっているということである。
では彼らの何が若者の心をつかんだのかを考えていこう。

シティポップ・・・?

現代の「シティポップ」と呼ばれるムーブメント。
みなさんも多かれ少なかれ、違和感を感じていると思うが、もうクチャクチャである。
元々日本でシティポップと呼ばれていたはっぴいえんどから大滝詠一とかそういう流れは無視されがちだし、バンドごとのジャンルもバラバラ。
シティポップという言葉が先行して、人々の間で行きかううちに、それっぽいファッションであればインディーロックだろうがチルウェイブだろうがファンクだろうがとりあえずシティポップと呼ばれるようになってきた。
音楽ジャンルというよりかは、むしろ人間のジャンル分けみたいな感じだ。まあある意味それはそれで興味深いのだが。

とまあ、とりあえずシティポップはそんな具合なので一度おいておくとして、
Yogee New Wavesの音楽性はと言うと、一言でいうとはっぴいえんどですね。


はっぴいえんど - 風をあつめて

コチラははっぴいえんどの名曲、風をあつめて。40年以上前にリリースながら今聞いても古臭さが感じられない。
最近のヨギーとかnever young beachから遡ってはっぴいえんどに辿りつく”逆ルート”で聴くと逆にコレが最近の音楽じゃないことに驚くだろう。

このはっぴいえんどの古臭さを感じさせない現象、私はビートルズを古臭く感じないのと同じからくりがあると思う。
バンド形態でのロック・ポップミュージックを発明したのがビートルズならば、はっぴいえんどは日本語でロック・ポップミュージックを発明したバンドであるからである。
音楽の歴史はファッションの流れに似たようなものがあって、前時代のものを否定しながら進化をしてきた。
つまりビートルズの時点、はっぴいえんどの時点でロック・ポップミュージックの理想形のようなものは完成していたのではないかということである。

はっぴいえんどのメンバーの大滝詠一が後に発表した曲なんかは凄く時代を感じるのも恐らくそういった理由からではないだろうか。

 

2010年代にはっぴいえんどをやる意味


Yogee New Waves - Like Sixteen Candles

Yogee New Wavesの音楽性、先ほどは「思いっきりはっぴいえんどである」と言ったが、もちろん全部が全部そういうわけでもない。
あえて言うなら2010年世代流のはっぴいえんど。
はっぴいえんど以降の音楽からの影響や演奏のシャープさ、ボーカルへのアプローチも一見同じだが、よく聞くと「いろいろ巡っていったら、はっぴいえんどっぽい歌い方に辿りついた」感じが読み取れる。歌詞も同様だ。
最初からはっぴいえんどをやろうとしてやったというよりかは、結果としてそこにたどり着いたという感じがする。

では何が若者にウケたのだろうか。
一つはカウンターとしてのユルい音楽ではないかと私は思う。
2000年代後半のシーンを思い出してみてほしい。もちろん当時も彼らのようなポップスもなくもなかったが、メインストリームを席巻していた音楽は激しい激しくないは置いておいて「気を張った」音楽が多くはないだろうか。
「気を張った」音楽ばかりのシーンで人々が無意識に求めたユルい音楽。
はっぴいえんど的な普遍性も含めて、時代の大きな流れを感じ取った、耳の早いリスナー達がヨギーを評価したのではないだろうか。


Yogee New Waves - CLIMAX NIGHT

もう一つは若干説明が難しいが、今の若者特有の悩みを歌っていることではないだろうか。
ある意味正しい意味での”シティポップ”かもしれない。
むしろ悪化しか感じない景気やらスマホで人が繋がりすぎて起きる摩擦などの今の若者を包む閉塞感。
それらをダイレクトに表現しているわけではないが、間違いなくそれらを共有しているのが感じられる様子。

もう終わりなの まだ踊ってたいのに
Yogee New Waves - CLIMAX NIGHT

何気ない歌詞の1ラインだが、楽曲のなんとも言えない気だるさも相まって非常にグッとくる。
僕以外にもこの1ラインがただならぬのを感じ取った人は少なくないんじゃないだろうか。

 

いかがだっただろうか。
ヨギーが注目を浴びることになったのは、そして鋭い時代感覚とはっぴいえんど的普遍性があってこそだろう。
早くから彼らに目をつけたみなさんには賛辞の言葉もない。流石だ。これからはこっそり僕にも教えてくれないか。

だが、しかし世の中は7~8割はミーハーな人間で構成されている。
順調にバンドが成長していけばほぼ確実にミーハーの壁にぶち当たるのだ。
逆に言えばファッション性に目をつけて集まったミーハー層が増えたようにみえるというのは、その是非は置いておいて、バンドが成長している証である。
しかし売れ始めたタイミングから急に「ヨギー良さしかない」なんて言い始める人が増えるのをみると、ワールドカップで騒ぎ散らかす人たちみたいな不安も沸いてしまう。

いずれにせよ今後は舵取りが難しくなってくるとは思うが、若者たちの心を掴んだ、センスというか時代感というか、彼らの核となる部分が損なわれてしまわないようにいってほしいと思う。

では今回はこのあたりで!

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