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“今のギタリスト”が聴かれなさすぎるので、これだけは押さえるべき4人をまとめた

 ミュージシャンって大変だなっていつも思う。例えばスポーツ選手は年齢という壁で強制的に引退することになるけど、ミュージシャンの場合はジジイになっても全然やれてしまう。何なら死んだあとだとだってCDという形で若者に立ちはだかることができるしな。

 仮に今の時代にジミヘンより上手く弾けるギタリストがいても絶対ジミヘンには勝てないんですよね。ギタリストとして先駆者ってのもあるけど、それ以上に伝説になってるから。いわゆる思い出補正ってヤツのさらに強力なヤツが社会全体に掛かってるわけです。既に死んじゃってるから直接比べることも出来ないし。

 ギターヒーローとかスーパーギタリストなんて表現はもう死語だと思うけど、それに準ずるようなカッコいいギタリストを最近あまり聞かないのもそれが理由かなと思っていて。単純に洋楽でロックが下火なのもあると思うけど。

 逆に考えてみると、この逆境の中名を馳せてきたギタリストたちはみんなつわもの揃いなワケです。激流渦巻く鳴門海峡で育った鯛は身がしまっていて旨いのと同じ感じ。

 新三大ギタリスト、ジョン・メイヤー、ジョン・フルシアンテ、デレク・トラックスももうみんな歳。ジョンフルシアンテなんてもう48歳だからな。人生50年の戦国時代ならもうクライマックスシーズンに突入してるワケだし、そろそろ今の時代のギタリストを聴きませんか、というのが今回の記事です。

Mateus Asato


Mateus Asato - Empty Hands

 マテウス・アサトはブラジル出身のギタリスト。現在はアメリカに移住してスタジオミュージシャンとして活動中。

 初めてジミヘンドリックスの演奏を聴いたチャス・チャンドラーがその凄さのあまりギタリストが3人同時に演奏してるかと思った、という逸話があるが、僕はマテウスのプレイを聴いて同じことを思った。目をつむって聴くとスターウォーズに出てくる4つ腕で二つ頭のあるのエイリアンが演奏してるように聴こえる。

 ビルゲイツの総資産を見たとき、あまりの桁の多さでどれぐらい金持ちなのかわからないように、彼のギタープレイもあまりに上手いのでどれぐらい上手いのかわからないが、個人的にはダブルストップが凄い印象的だなと思う。あとフレーズが切り替わりが吉田沙保里のノーモーションタックルばりにスムース。とにかく上手いしカッコいい。

 かなり特徴的かつ今までなかったサウンドなので、このままの調子でフォロワーのギタリストが増えていけば 今後”マテウス系”としてギタープレイの1ジャンルが確立されるんじゃないかなと思う。

 ギターを弾く人もそうでない人も要チェックのギタリストだ。

 

Jason Richardson


Jason Richardson & Luke Holland - Tendinitis

 速弾きバカテク系はもう飽きた、という人にこそ聴いてほしい。ちなみに上の動画の曲は開始から一分くらいはハリーポッターのBGMみたいなのが流れるだけなので忙しい人は飛ばしてOK。

 彼の音楽性を一言で表現するなら”聴くパワーワード”、息継ぎ無しで100m泳ぎ切るような音楽だ。何事も度が過ぎると笑えてくるが、これは完全にその類。音楽的にオーバーキル。カッコ良さとかテクとかの前に圧が凄すぎて笑える。

 何が彼を突き動かすのか、彼は一体何と戦っているのか、こんなに激しい必要はあるのか、僕には一切わからないが、とにかく好きだ。これからも元気にピロピロウィーンウィーンビロンビロンバヨーンし続けて欲しい。

 

Joe Robinson


Joe Robinson - Out Alive

 曲が始まってから終わるまでずっと俺のターン!

 最近の若手ギタリストってギタープレイよりも曲全体のバランスを考慮してるのか少し控えめなギタープレイが多いが、彼は良い意味で若手っぽくない。ずっと弾きっぱなし。主演監督脚本全部俺、代打俺!みたいなギタリスト。俺こいういうやつ好き。

 上に貼った曲は正真正銘、ずっと俺のターン!な曲だが、この曲に限らず全ての曲がずっとジョーのターン。アルバム全編これでもかというほど引き倒している。そのおかげかアルバムが下手な教則本よりずっと使える、リフネタ特盛、パクりどころ満載の実戦で使えるオイシイフレーズ集と化している。

 プレイスタイル自体は特段真新しい感じはしないが、元々の演奏力の高さとフレーズの引き出しの多さが魅力のギタリストだと思う。というわけでギタリストに聴いてほしいギタリストだ。

 特に最近の日本のギタリストは、ラッドウィンプスを二回ダビングして劣化されてたようなのばかりなので、ジョーロビンソンを研究してギターに華を添えて欲しいなと思う。

 

Tom Misch

 事あるごとに彼のことを書いている気がするが、僕は彼の大ファンなので気にせずまた紹介したいと思います。

 トム・ミッシュは現在22歳イギリス出身のミュージシャン。若い割にはカッコイイ、みたいなのはよくあるが、彼の場合は普通にめちゃくちゃカッコ良い上にめちゃくちゃ若い。ヤバい。

 聞いてもらえればわかるようにギターのテクニックは申し分ないんだけど、それよりも個人的に面白いと思うのは彼のギターが一般ウケしてるところ。フレージングがオシャレだからかなあ。

 ギターが上手い人って基本的にファンが偏りがちというか、マテウスなんかもギタリストからの支持がアツい、まさにミュージシャンズミュージシャン的な感じだと思うんだけど、トム・ミッシュのファンってそうじゃない人が多いんですよね。それこそジョンメイヤーが流行り始めたころを思い出す感じ。

 ギタープレイの面では若いくせに手癖というか、リック単位ですら「トムミッシュだ!」とわかるシグネイチャーフレーズを沢山持ってるのが偉いなって思う。音選びがジャズっぽい。

 ただ歌もギターも最高なんだけど、デビューするちょっと前くらいからレコード会社のジョンメイヤー2号に仕立てたそうな雰囲気を感じる。一応自主レーベルらしいんだけど、何かそういうのを感じる。個人的にはBeat tape2のクラブ系、ヒップホップ、ジャズ、ギター音楽と歌モノが奇跡的なバランスでまとまっていた感じが好きだったので、最近のジョンメイヤー化は少し寂しさなって思ってる。まあ完全にそっちのが売れるのはわかるんだけどね。

 

いかがでしょうか

 個人的にギターで出来ることってもうやりつくされていたんじゃないかと思ってたんだけど、まだまだやれることがあったんだなって思います。特にマテウスとトムミッシュ。あの二人は今までの音楽のおいしいところを抑えながら今までになかったアプローチができてて、ホントに素晴らしいと思う。

 ということで、ギターが下火のこのご時世だけど、こんな良いギタリストがいるんだぜって記事でした。

 あと、ギタリストの人はジョーロビンソンのアルバムを聴くように!アレはマジで役に立つと思う。

 それでは!

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