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谷澤 千尋

2016/07/16

コラム 記事

ライブハウスのブッキングライブのいびつな状況 【クオリティが低いヤツはライブすんな!】後編

前編:ライブハウスのブッキングライブのいびつな状況 【誰が悪いのか?】前編

このいびつな状況の原因

元々この問題、原因を辿ればシンプル答えにたどり着く。それは「ライブハウスに行くという文化を根付けるのに失敗した」ということである。
本来の(本来という表現は適切ではないかもしれないが)ライブハウスの在り方、アメリカのライブハウスのシステムを紹介しよう。

一口に「アメリカのライブハウス」と言ってもそりゃあもちろん様々な形態があるが、今回話題にしてるライブハウスと対になるであるうライブハウスは飲食店の形態をとっている。日本のライブハウスも届け出的には飲食店だが、そうではなくガチの飲食店。みんなメシを食いに来るし酒を飲みに来るところ。ついでにライブもやってるみたいなそういう感じ。(日本のライブハウスで入場時にドリンク代が回収されるのは届出が飲食店であるってのの名残)
今から遊びに行こうぜ!っていう時の選択肢にライブハウスがある感じ、日本だとクラブ行こうぜ!みたいなニュアンスが近いはず。それかメシ食いに店にいったらライブもやってんじゃん!みたいな、そういうところもある。
ライブハウスの収益は基本的に客の飲食代で賄っており、有名じゃないバンドの時なんかはライブの入場料とかが発生しない、ノーチャージのことが大半である。

じゃあどうやってバンドの出演が決まるのか?
これに関しては色々パターンはあるがバンドから出させてくれ!ってのかライブハウス側から誘うかのどっちか。ただ日本よりスケジュールとかは大雑把な感じで、知り合いのバンドとかは路上で演奏してたら「ユー!ウチのライブハウスで演奏しないかい!?」ってな感じで急に決まったりとかある。まあバンドがいなくても飲食店として客が入るしあんまりカツカツしてないんだろう。

それでカネの話だが、バンド側の出演するとライブハウスからギャラが出る。さらに客からチップまで貰える。
アマチュアバンドの場合は正直大した額にはならないが、ライブをする為に金を払ってる我々にしてみりゃ羨ましい限りだな…。
ただその分、ライブをするハードルは日本よりもずっと高いってのもある。

とまあこんなのが大体の流れ。
日本にもアメリカ式のこの感じ、飲食店とライブハウスの間くらいの店もあるし、最近では結構増えてきてるイメージがある。
実際に客が飲食するため、あんまりバンドに対してもカツカツしないし、客もライブを見る以外の選択肢があるため普通のライブハウスに比べりゃ非常に快適。興味あるバンドはちゃんと見るし、興味ないバンドだったらメシ食うのに集中できる。
個人的には非常に歓迎したい流れである。
当然の話だがメシも普通に美味いのもグッドである。値段も普通の飲食店より若干高いくらいか同じくらいで、いわゆる”お祭り価格”ではない。(ただどの店にいってもフィッシュアンドチップスがマズイのに関しては個人的にムカついている。白身魚のフライとポテトを一緒にだしたらフィッシュアンドチップスじゃねえからな!その辺はしっかりして欲しい。)
いわゆるライブハウスでは一応メシも置いてなくはないが、基本冷凍食品。というかむしろメシ食える場所って認識がないぐらいの勢い。飯を注文されるとスタッフはビックリする。

さて・・・

アメリカのライブハウスの話もしたところで、じゃあ実際にどうするべきなのか。ということについて考えてみよう。
先ほどの話をまとめると、つまるところ日本のライブハウスは「人が集まる場所」ではなく、音楽以外に何をすることもできないハコ。文字通りホントにハコ。この呼び方皮肉だな!
ということなのである。恐らく現在のいびつな状況の原因はそこにあるはず。

つまり流れを書き出すとこんな感じ。

 何もしないと客が入らない・持ちこみ企画だけでは空いてしまう日程が生まれる

 ↓

 ブッキングイベントやろう

 ↓(質の良いバンドを集められるハコとそうでないハコとの格差)

 ヤバいイベント誕生・ヤバいイベント客にトラウマを植え付ける
 ”バンドのノルマありきの金まわり 友達のバンドを見にきて二千円とか三千円取られる クオリティがヤバいバンドばっかり集まる 興味ないバンドばっかりの苦痛の時間”
 
 ↓

 ヤバイイベントに呼ばれた客、ライブハウスを避ける。
 人が減ったので、さらにヤバイイベントが産声を上げる

ザックリこんな感じじゃないだろうか。

ライブハウスは儲かってねえよ!

さて、今までの流れだと結局、ライブハウスが金を稼ぐために見境なくライブを開催している、みたいな感じで捉えられるかもしれない。
だが、実際のところ、そういうわけでもなくてだな・・・。

よくよく考えてみたらこのブッキングライブという形、あんまり金になってないはずなのである。

単純計算して
バンドのノルマ分(2000円×15枚=3万円)1バンド辺り3万円がノルマだとして4バンド出演したことにしよう、そうすると12万円。客が30人入ったとするとドリンク代が1万5000円。
一日営業して売り上げが13万5千円・・・。
そこから音響担当を1人、無理させて照明も兼任させよう。
あとバイトを2人にイベント全体を仕切るブッキングマネージャー兼のスタッフが一人。
最低限こんだけ、4人稼動させないと厳しいはず・・・。

そっからさらにブッキングをする分の労力とか、提供したドリンクの原価とか、家賃とか機材費とか、その他諸々吹っ飛んでいく。
これ以上はあまり細かい計算はしないが、言いたいことはわかるな・・・?
そういえばブッキングマネージャーをやってる知り合いが「ブッキングはマジで金にならねぇ」って言ってたし、その後ボソっと「バンドをそそのかして自主企画やらせると金になる」と言っていたので多分そういうことだ。察せ・・・。

悪いが日本の音楽の未来のために、誰にも望まれていない人たちはライブすんな

我ながらゲームのラスボスみたいな思想であると思うが、今の状況を根本的に解決しようと思うならば、簡単だと思う。
上の見出しに書いたのでわかると思うが、クオリティが低いバンド・需要がないバンドがライブをしなければ状況が変わるはずだと思う。
ライブをするということ事態のハードルをグッと上げるわけだ。選ばれしもののみがライブを出来る状態。
クオリティの低いバンドのライブを排除し、出るバンドのクオリティさえ保障されれば自然と人が増えてくる。金回りもよくなる・・・。
こうすれば全部解決!

と、書いたみたのだが、私も本心で言っているわけじゃない。
あくまで極論の一つとして、である。
ただ上の意見を別の角度から見ると新しい側面が見えてくる。

クオリティが低いバンドを排除せよ、ということはつまり「客が払った二千円、三千円に見合うだけの価値をもたないイベントを排除せよ」ということである。
先ほどまで長々と問題を書き連ねてきたが、詰まるところ客が払った金とイベントの価値が見合っていないので問題が発生するわけである。人が来ないところから金が回らないところまで全部さ。
イベントの価値をバンドのクオリティで計ると、上のようなハードコアな意見になるわけ。そんなのがまかり通ったら街から音楽が消え去ったディストピアみたいになるしな。選ばれし者も選ばれなかった者もみんなが音楽を楽しめるのが本当に良い世界だと思う。

ということでだな、次は本心で意見だ。
つまり「客が払った金分の価値を提供できないならライブをするべきではない」
これはライブハウス側に関しても出演者側にせよ、考えて欲しい問題である。

「初心者の人でもライブをできる環境を・・・」とボランティア気分でブッキングしている人がいたが、悪いがジリジリと音楽の未来の首を絞めていることになっていると思う。
いや、もちろん初心者だろうがオッサンだろうが演奏が下手くそだろうが、そこにライブ入場料に見合う価値があるならば全く問題ないと思う。
音楽だけでは価値を生み出しきれないのであれば、もっと他にも手段はあるはずだと思う。
現状に文句を言う前にそういったことを考えてみる方がよほど建設的ではないだろうか。

まとめ

ということで今回は前編・後編と合わせるとクソ長い記事になってしまったが、もう一度話をまとめよう。

ブッキングイベントはいびつな状況にある(バンドのノルマ・客が入らない)
その状況は「客が払った金に見合うだけの価値を提供できていないから」である。
ということだ。

もちろんコレは私個人の意見だし、正しい保障も全くない。
ただ、現状を見ると「客が払った金に見合うだけの価値を提供できていない」イベントは腐るほど沢山あると思う。
今の状況に疑問や不満を感じているのであれば、イベントの価値を高める方法を考えてみてはいかがだろうか?

最後まで読んでくれてありがとうございます。
それではまた次回の記事までステイメタル!

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