彼のビート抜きでは今のブラックミュージックを語ることはできない Chris dave
みなさん、こんにちは。
先日のD'angelo来日、もろもろの事情で私は行けなかったが、エゲつないライブだったとの話を何度も聞いた。
「D'angeloのライブ行けないとか人生損しすぎ、なんのために生きてるの?バカなの?」というなんでチケット取れなかっただけでこんなに怒られるんだろう・・・みたいな発言から「パシフィコ横浜なんてデカいホールでやったら音が回ってライブどころじゃねえだろ・・・」との声まで、もちろん彼の音楽は間違いなかったのだろうが、それ以外も含めて印象的なライブであったようだ。
さて、みなさんはそんなD'angelo来日に合わせて密かに騒がれていた男がいるのをご存じだろうか?
今回の来日(前回の来日もそうだったが)D'angeloのステージのドラムを担当する男、クリス・デイブである。
D'angeloのステージやBlack messiahのレコーディングに参加している、という情報だけでもブラックミュージック好きには「ほほう」となると思うけど、
彼のドラム、マジでやばいんですよ。
今シーンで最重要なミュージシャン達から引っ張りだこ。
そして本人もかなり重要な存在。
ということでね、今のブラックミュージックを語るのには欠かせない、
最重要人物の一人、クリスデイブを紹介していきたいと思います。
信じられんぐらい上手い
彼のドラムの良さというか、方向性として一つ目は良いビート、例えば上で書いたD'angeloの時とかもそうだし、後に紹介するアーティストのバックで演奏している時もそうなんだけど、
とにかく心地いいビートというか曲の良さを引き立てるビートを鳴らす。こっちの方は後ほど紹介しよう。
そしてもう一つが超絶技巧。
こういう言い方は失礼だと思うけど、大道芸的な派手に上手い超絶フレーズまでやっちゃう。
とりあえずこちらの動画でその様子が確認できるので、見てみてほしい。
Chris Dave - Medley (Pt. 1)
まずね、初っ端からね、指でスネア叩いてる。
ドラムをやっているひとならまずここで「あ、コイツ普通のドラマーとはちょっと様子が違うぞ・・・」ってわかるはず。
なんで指で叩いてるかって、彼の音楽的なルーツになるんだけど、
ファッション的にもそうだけど、彼のドラムはヒップホップがルーツになっていて。
ヒップホップ的なサンプラーで作るビートを生ドラムに逆輸入するという発想でドラムを叩いてるんだよね。
サンプラーでビートを作ると、一曲の中でも何種類ものスネアの音を使うんだけど、今回の指で叩いたのはそれの再現をしているわけ。(だと思う)
それでバースのビートに入っていくわけなんだけど、
そこで気づくと思うんだけど、スネアを二つ使うのも彼のドラムの特徴。
注目して欲しいのが45秒からの展開で、
人力ドラムンベースみたいなのをやってて、片手でエゲツナイ速さで刻むなーとかフィルのバリエーションがとか色々思うと思うんですけど、
注目して欲しいのはそこじゃなくて顔。
結構イッちゃってる顔してると思うんです、僕らには見えない世界を見ているというか・・・
個人的に”超絶集中モード”と呼んでいる顔なんですけども、
演奏に集中しすぎて顔の筋肉が弛緩するという、サイヤ人でいうところのスーパーサイヤ人みたいな状態に入っております。
同じブラックミュージック系でもまたちょっと畑が違うけども、
エゲつない上手いことで有名なベーシスト、ビクターウッテンもね”超絶集中モード”に入るんですよ。
これがね、強者の証というか。
モテまくり
先ほどの超絶技巧から、ビートのセンスまで含め、時代をリードするミュージシャンたちの評価を一挙に集めている。
冒頭のD'angeloもそうだし、新世代ジャズの旗手ロバートグラスパー、ホセジェイムス、グラミー賞他、様々な賞を総なめしたアデルまで、
第一線の中の第一線のミュージシャンが重要なアルバムをリリースする際はこぞって彼、クリス・デイブが起用される。
Robert Glasper Experiment - Afro Blue
例えばこの曲とか、ロバートグラスパー・エクスペリメントのメンツ+エリカバドゥというブラックミュージックファンにとってはメンツの名前を見るだけでやばいのが確信できるが、
曲をリードしているのはクリスデイブのビート、もともと3拍子系のリズムの原曲を4/4のリズムで演奏するというところまで含めて彼の技術とセンスが堪能できる一曲だろう。
Adele - He Won't Go
知らない間に耳にしていた方も少なくないんじゃないだろうか。
アデルのこのアルバムもクリスデイブが参加している。
ビートの幅の広さというか懐の広さというか、そのあたりも面白い。
José James - It's All Over Your Body
最後は個人的に好きな曲を。
乾いたサウンドのビートがスモーキーなボーカルと相まって非常にエロい。
ということで今回はこのあたりで!