戦略的メンヘラ、ポルカドットスティングレイ。
人間が相手の第一印象を決めるのにどれぐらいの時間を掛けるかご存じですか?
これが思ったよりもシビアで、研究結果によるとたったの3秒ほどとのこと。
これを聞くと外見って大事だなって心底思う。
第一印象の話はなにも人間だけに限った話ではなく、音楽でも同様だし、何なら今読んでる記事についても同じ。
記事なんて酷いもので「あ、なんか違えぞ・・・」と思ったらすぐさまブラウザバック。世知辛い。
先日、例のごとくYoutubeでイントロだけ聞いては関連動画をクリックする作業をしていたんですけども、ビビっとくるアーティストに出会ってしまったのです。ポチポチしてた指、即止まりました。
思わず聴き入ってしまった挙句、これはみなさんにシェアせねばと思って記事にしている次第であります。
精巧な構図による印象操作の賜物だよこれ
コインランドリーでメガネでボブの女の子がアーチトップギターをかき鳴らす四つ打イントロ。狙いすぎなぐらいサブカル大好きっ子が好む構図だが、不思議と不快感は全く感じない。完璧な第一印象だ。
イントロが終わりさあさあボーカルが口を開き息をを吸い込む。この雰囲気オタサーの姫感満載のボブっ子は一体どんな魅せ方をしてくれるのか。その唇でどんなふうに俺の鼓膜をウオ、ウアオオオオオ
エロい
はい!エロい!良い!!こりゃオタサーになるわけですよ、納得です。
ここまで700文字の間に6失礼ぐらいカマしておりますが、止まらん。ここまでにしてボブのギターボーカル雫さん、ほんと困ったことにとてもエロい歌い方をする。
そう、歌い方。声質からくるエロさなら大人っぽさを感じるはずだ。しかし彼女のそれは、少女と大人の中間地点を想わせる質感に仕上がっている。
この曲のAメロには歌い終わりにイ行が多く使用されているが、母音のイとウが語尾にくると口を大きく開けることができずロングトーンなどは上手く歌わないとピッチがよれてしまう。
本来ならば喉を開き腹式呼吸を意識して歌いあげるのだが、彼女の場合、逆に喉を少し締めて歌うことでどこか艶っぽくエロさを含ませ見事に歌い上げている。
椎名林檎はこれとブレシーボイスを巧みに操って歌うのでエロく聞こえるわけだ。そういえば椎名林檎も東京事変初期にDuesenbergのスタープレイヤーをメインに使っていなかったか?もしかしたら、彼女は林檎教入信者なのかも。
また後ろのオタサーのオタ、彼らもしっかりと姫を持ち上げる演奏を心がけているのが伝わってくる。
特にリードギターのエジマハルシ氏のカッティングギター、がちゃがちゃしすぎてカッティングの本質を失った演出が見受けられるバンドも多い中、彼のギターは絶妙に彼女の声に乗りマッチしている。ワウを利用したウーマントーンの使いどころも完璧だ。
サビで再び4つ打ちになり、楽曲が縦ノリに
ここでボーカルが踊り始めたら役満ツモあがりだったが、そこは流石に控えてくれたようだ。
最近のMVはすぐ女の子を踊らせたがる。私はああいった踊りモノはフジファブリックの銀河しか認めない主義だったが、歳のせいかな、もうかわいい女の子なら何でも良くなってきてしまっている。踊れ踊れ。ブスは止まれ。
さて、この曲ではひたすら同じギターリフが繰り返されているが、人間は特徴的なフレーズを繰り返されると脳みそに刷り込まれ無意識のうちに口ずさんでしまうようにプログラミングされている。
毎日山の数ほど世に放たれる楽曲の中で埋もれず口ずさんでもらうには、脳みそが擦り切れるぐらいのインパクトが必要だ。それ故にこの手の楽曲はリフが命となり、ボーカルにも勝るほどにその価値は高くなってくる。そして、この曲のメインリフにはその乱世を生き抜くための矛が隠されている。
それはずばり、サビ前最後にくるハンマリングとプリングによるフレーズだ。楽器未経験者の方には専門的で分からないかもしれないが、手軽に早いフレーズを弾くことができるテクニックだと思ってほしい。
この少しの一手間が、メインリフへストレスなく且つ自然に誘導してくれている。
サビ前にブレイクをいれたり、フロアタムをドンっと叩いてサビに移るパターンは王道でよく使われる。今からサビに行きますよ、という暗示となり聞き手は身構えることができるし、A,Bメロと差別化してよりサビを映えさせるにはもってこいな手法となる。
しかしこの曲はサビの中毒性が最大の売り所だ。変に抑揚を付けてしまうとかえって逆効果となってしまう。
そこでよりサビを聞き入れやすくするために、同じ音域で目立つフレーズをサビ前に置きにいっている。その事前準備がなされることでよりサビへ柔軟に移り聞くことができ、一層勢い良く縦ノリに入りやすくなる演出が成されているといえよう。
そしてサビ終わりはメリハリをつけるために、フロアタムによるブレイクでキリ良く2番に移れている。
ですが皆さん、ここからだったんですよ、彼らの本当の矛は。
エロいのは声だけじゃなかったのか…
着物です。攻めの姿勢良い!後出しなのがいいよね!!最初から着物だとはいMVなので着物着ました~感否めないですし、これくらいのタイミングが丁度よきかななんですよ。
そしてポルカドットスティングレイというバンド名だからでしょう、柄が水玉模様になっていますね。
ポルカドットスティングレイはアマゾンに住む淡水エイで、全身が水玉模様でとても愛嬌のある見た目をしている。ストレイテナーのライブカメラマンとして有名な橋本塁が展開するファッションブランド、スティングレイも恐らく同じネタだ。
ペットショップでは滅多にお目にかかれない希少なエイなんですが、どこで知ったんですかね?適当に熱帯魚図鑑でも見てバンド名を決めたのか。もしかしたらバンド名がプロトプテルスエチオピクスコンギクスとかになってたかもしれないと思うと、ポルカドットスティングレイは良案でしたね。
もうオレのライフはとっくにゼロ
バニーだ。ボーカルがバニー姿になる。しかもにゃんにゃん振り付けもしてくれる。よく見ると胸ピまである。もう俺どうしたらいいのかわかんなくなっちゃったよ。とりあえずこのMVの脚本書いた人にアカデミー賞あげたい。遠慮はいらねえからもらってくれ。
ポルカドットスティングレイはまだ本格的な活動を初めて1年前後ではあるが、既に前線で戦える程の魅力を持っている。
今後は拠点である福岡以外での活動も精力的に行うらしく、もし全国をツアーで回るとなれば、私も自らの五感で彼らのサウンドを体験してみたい。範囲が広がればより知名度も増すだろう。もしかしたら近い将来、彼らはあなたのうしろに、いるかもよ。