Yellow Studsのようなバンドを応援したくてこのサイトをやっている
日本にはそれはもうたくさんのバンドがいる。ギターやベース持った数人の集まりが曲を作って薄暗い密室で毎月毎週、ひとに自分の作品を聴かせようと頑張っている。
僕らはそれを「バンド」と呼んで存在に慣れてしまっているので、当たり前のことのように思ってしまうけれども、よくよく冷静になって考えてみてください。狂気の沙汰でっせ、バンドって。なんだよこの集まり。みんな楽器曲芸じみてに上手いし、良い曲作りまくる。なんだ、才能ってのは僕以外には全員にあるのか。
でも、それでもなかなか人は聴いてくれない。そりゃ、そうだ。もう50年近く前に生まれたショウビジネスのモデルをいまだに形を変えずにやっている。かたや50年でパソコンなんか処理速度1000倍は向上してるしね。一回ライブ行くお金で、スマホゲーならラスベガスかよってくらいの豪遊が可能。資産運用できるレベル。
だし、片手間でできるほど甘いもんでもない。趣味にしてはお金も時間もかかりすぎるし、一定レベルに達するまでの労力もハンパじゃない。
逆に商売として考えてみても、いやどう考えたって収益性が絶望。バンドでもうけを出すような商才と生真面目さがあるのならば竿竹屋でも財を築ける。間違いない、吹き荒れるぜ。竿竹屋に"旋風"ってやつがよ。
しかしそんなロックバンドたちだけれど、ライブに行ったりCDを買ったりするうちに「うわ、このバンド応援したいな」っていう人たちがバンバン出てくる。すごい。
例えばYellow Studs、このバンドなんかまさに。
このサイトは単純に読者に楽しんでもらいたい気持ちと、僕の好きなバンドをどうにかこうにか人に聴かせてやりたい気持ち、の二つ。ボランティアに見せかけたエゴ100%で成り立っている。
けれども、バンドを探しているとやっぱり個人的には好きじゃないバンドもいて、すべてのバンドを応援するわけにもいかない。僕は彦摩呂さんみたいにはなれない。宝石箱って生きてて一度も見かけたことないしな。
しかしわざわざ反感を買ってまで正直に好きだの嫌いだの言っていたのは、ほんとこういうバンドを勧めるときに「お前いつも褒めてばっかじゃん。ほんとかよ?」って思われたくないからだ。ほら、Goose houseの記事とか読んでくれ。教信者に住所解析までされたからなあの記事のせいで。僕はバンド勧めるだけで命懸けなきゃいけないんだよ。他にいないぞ、命懸けてで音楽紹介してるやつ。
僕の純情、1/3ぐらいは伝わったでしょうか。そんなわけでYellow Studs聴いてくれよ。
謝りたいことがある。以前「ミッシェルとかブランキーとか、ガレージロックがど真ん中で好きな人には絶対オススメだよ」なんてことを口走った覚えがある。忘れて欲しい。全員にオススメだ。揺り籠から棺桶にまで鳴れ。
ガレージロックが好きな人間には、もう言葉すら不要。自分で見つけて自分で勝手に好きになってくれるはずだからそういう手合いに「オススメだよ!」なんてね、言う意味すらない。
逆に、ガレージロックを通っていない人間に聴いてほしい。ガレージロックの入口はミッシェル、ブランキーであるべきなんて、だれが決めた。イエスタから入ってそこからブランキーに流れればいい。感化されてみんなでロッキンオンの編集殴ろう。
今頑張ってる若いガレージロックバンドだっていっぱいいる。もっとこういうバンドな、増えるべきだよ。増えてくれ。僕の老後の夢は毎晩酔っぱらって適当に入ったライブハウスでこういうアツいバンドがライブやってんのを聴いて暮らしたい。このままだと僕が老ける前にロックバンド文化が絶える。国を挙げて普段見かけない鳥とか山に住んでるネコとか保護してる場合じゃない。
邦楽ロックだって、邦楽ロックなりの楽しみ方がある。者に構えず聴けば、すごく完成された娯楽だよ。追求され過ぎて変なところまで来てるし。いや、でも、増えすぎたと思う。バランスを取ろう。キノコヘアでキャッチーな音楽やってる人もういっぱいいるから、こういうバキバキのバンドやってみてくんない?頼む。聴くから。
新譜がとても
良い。すごいぞ。ボーカルの野村(兄)、完全に心がやられてる。こういうのは言うべきでないことかもしれないけど、ボーカルの精神衛生環境は劣悪であればあるほど作品がとんでもないものになる。ストレスは時として原動力になる。
汚い虹、ってな。まともな頭じゃ思いつかないだろうこんな曲名。
アホみたいな感想になるけど、僕これ聴くたびに涙が出そうになるよ。いや、その日の仕上がりによっては出る。今聴きながらヤバい。一回休憩したい。
Yellow Studsは、頑強なバンドなんですよ。悪びれるし、ヤケクソだけど強気だし、皮肉っぽい。音楽レビューから脱線するけど、僕はそういう気難しい悪人たちがとても好き。
でもそんなYellow Studsが、こんな懺悔のような歌を唄ってるのは、涙でも溜めなきゃ聴けない。
精神面を横にどけて、楽曲として考えると、彼ららしくない曲だと思う。持ち味は生かされていないし、サビの入り方も乱暴だよ。アルバム内収録の他楽曲の方がサウンドとしてか彼ららしいし以前にも増して鋭く鳴ってる。
けれどもこの楽曲がMV楽曲として採用されているのは、やっぱりこれが今のYellow Studsの本当なんだと思う。嘘がない。だからドラえもんの映画を無感傷で見れる僕みたいな捻くれた人間も、泣かせてしまう。
バンドは、よくボーカルの感傷を使って聴衆に訴えかける。みんなやっていることだ。
しかし人様の感傷に価格をつけるのは大変おこがましいとは思うが、感傷にも安っぽいものから、胃もたれ起こすような重苦しいものまで様々ある。この野村太一の歌う唄は、鉛のように重い。「悲しい振り」じゃない。
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僕は、最後の「夜空に願いを」が好き。アルバムが鳴りやんでエンドロールでも流れてきそうだけれど、最後まで後ろ向きな中でそれでも死ねもしない、そういう希望が残されている。
とにかく、僕なりに一生懸命イエスタの良さをみなさんに伝えようとしたのだけれど、伝わりましたか。多少は。
ほら、いつもこのサイトをタダで見てるわけだよみんな。それは一向に構わないし音楽が好きなやつは大抵貧乏なのでそんなところから金をむしろうなんて思わない。けどもたまには僕の言うことを聞いてだね、Yellow Studsのアルバムを買ってみてくれよ。僕に金なんか払わなくていいから。
このバンドは、ずっと聴ける。10代で飽きて忘れてしまう音楽にお金を払うよりは、コスパに優れる。
これで、一人でもアルバムを買ってくれる人がいたのなら、こういうサイトをやっていた意味があったなと思うよ。嬉しいです。