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2017/04/15

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今の10代がマイアミパーティを聴いたらきっと好きになっちゃう

 最近は特になんだけれど、音楽なんていうのは結局のところビックリさせたもの勝ちだ。

 あなたが今大好きで仕方ないバンドも、好きになったきっかけはきっと一番最初に聴いたときの衝撃で、YouTubeを開けば選り取り見取り選び放題並ぶバンドたちの中でそのバンドを選んだのは、手に取ったとき耳にしたときの「これだ!」という驚きが忘れられないからなんじゃないか。

 俺は割と、なんでもかんでも楽しめるので、友達が作った曲とか、テレビで流れてる音楽とか、人から借りたCDとか、何を聴いても大概「あ、結構良いね」とか思って聴いている。でも、ビックリはなかなかしない。良いね、悪くないね、で止まることが多い。

 だけど、肝心なのはその「ビックリ」で。人をビックリさせるような音楽じゃないと誰の耳にも残らないのだ。だって、良い曲なんか探さないでもどこにでもあるから。ありすぎて選べないから。ただの優しい男よりも意地悪で面白い男の方がなぜかモテるのときっと同じだ。音楽はただ良いだけじゃ人がお金を払ってまで聴きたいとは思ってもらえないみたいだ。

 そんなわけで、バンドで衝撃を受けてバンド音楽にハマり「これもいいね、あれもいいね」なんて言いながら惰性でCDを買い漁るも、最近は買ったCDをiPnoneに取り込むのすら面倒で「アレ、俺本当に音楽好きなのかな…?」と自分のことすら何が何だかよくわからなくなってきているみなさん。朗報です。マイアミパーティ、良いですよ。こちらです。

 仮に今俺が10代で、ライブでこんな曲聴かされたら「それじゃん、俺が待ってたヤツ」ってなると思うんです。ミイラズのパクりじゃんって今言いかけてる20代のジジイは今呼んでないからブラウザ閉じて住民税払ってデリヘル呼んで寝ろ。

 いや、確かにミイラズなんだけど。きっとメンバーの誰かがミイラズの1stとか好きなんだろうけれど、もうミイラズか若手でなくなって、サラバーズが解散して数年経った今、新しくこういうバンドが出てくるのって自浄作用っぽくて良い。悪さしすぎた人間に地球が温暖化という形で反撃するみたいに、主張とか怒りよりも女ウケになってふんわりと丸くなってきたバンド音楽にもう一回トゲが生えるような、そういうのを待ってたヤツにやっと春がきたような、そういう構図に見える。良い。

 ミイラズって言うとアクモンのパクりバンドだ!みたいなイメージで語られがちだけど、彼らが出てきたときの衝撃って当時あの周辺では結構なショックだったのだ。画期的だったのだ。

 だからミイラズもサラバーズも当たり前でなくなった今の時代に10代を過ごしている人たちにとって、マイアミパーティの少年的で生々しい歌詞と声はショッキングに聴こえるんじゃないか。今のバンドに慣れた耳に深く刺さるんじゃないか。

 

 歌下手だ。でもこうやって「下手だったら何なんだよ」ってくらい大声で歌われてしまえば、そんなことどうでもよくなってしまう。上手い歌よりこういう余裕のない嘘っぽくない声の方が、俺は好き。

 歌が下手なばかりか顔も良くないしギターも雑。けどその「これしかできません」っていう、不器用な感じが良い。歌の上手いイケメンが高いスタジオで録ってプロに編曲させた音源なんか共感できないし、さっきも言ったけどそういう音楽ならどこにでもある。なんかそんなの聴いてたって完成されすぎていてコンビニの弁当とか冷凍食品食ってるみたいで数年後には味も思い出せない。結局憶えていることなんて金がなかった頃友達とツナ缶にポン酢かけて食ってたこととかだ。これは、そういう音楽だと俺は思う。

 

 著作権ってなんて読むんですか?みたいなMV、良い。

 何度も歌うサビのフレーズに

「こんな毎日じゃ、仕方がないよね」

 なんて、歌える奴最近いたかい。キラーフレーズはこのくらいわかりづらい方が良い。

 わかりやすければ、30秒の動画にでもしてSNSに流してフォロワーが増えていいねがついてCDが売れて親が安心するかもしれないけれど、チープでつまんなくもなっていく。

 わかりづらくても、わかるやつには嫌というほどわかってしまうし、言葉のインパクトだけで勝負したいなら音楽でなんてある必要ないとも思う。ラップバトルじゃないんだからさ。

 このバンドまだ本当に駆け出しで、分かりやすい尺度で言えばYouTubeの再生数なんか1000前後。

 でも続けていたらきっと売れるバンドだと思います。応援のし甲斐があるバンドだと思います。

 マイアミパーティ、良ければ是非。

 それでは。

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