アイドル化する邦楽ロックをブチ殺す本物ロック Suspended 4th
最近の邦楽ロックがマジで面白くない。
ただ自分が歳をとっただけじゃないのか、じゃあ今の若者は何にハマってるのか、と思ってツイッターの「#日曜日だから邦ロック好きと仲良くなりたい」みたいなやつを見てみたんだけど、面白くない理由がわかりました。
5年くらい前から変わってないんですね。新鮮味が一切ない。CHAIとかヤバTとかポルカとかチラホラ最近のバンドも混じってはいるけど、大多数は昔と一緒。過半数がアラサー以上。ちなみにバンプはもうアラフォー。面白くないわけだ。そりゃギブソンも潰れるよ。
じゃあ何故若いバンドが出てこないのか。考えてみたんですけど、多分みんな賢いせいで逆にダメなんじゃないかと。
わかりやすいのでヤバTを例に出させてもらうと、アレが売れた要因って元々ライブハウスでウェイしたいだけの人たちや、YouTubeでしか音楽を聴かないっていう層が一定数いて、その需要に沿ってあるあるネタなり、YouTube映えするMVなりを提供して売れたと思うんですよ。
最近のバンドってどこもそうなんですよね。自分たちの音楽が先じゃなくて、聴く側が先にいてそこに自分たちを合わせにいってる。もし仮にヤバTがマキシマムザホルモンみたいな音楽性だったとしても多分売れたじゃないですか。ファンがつく要因に音楽が介在してない。もう彼らにとって音楽はビックリマンチョコのウエハース、プロ野球チップスのポテチなワケです。
でもこの音楽不況の時代に売れようと思ったらそれが一番の近道なんですよね、レコード会社が元気だったころにはカッコいい音楽をやっているバンドをちゃんと世に出す仕組みがあったけどけどもう今は既に売れてるバンドしかとらなくなったし。賢いバンドはそれに気づいてて、音楽よりもそれ以外の部分に注力してる。
それでも売れりゃいいじゃんって思うかもしれないけど、これじゃダメなんですよね。このやり方だと音楽がおざなりになるからターゲットにした界隈から外にまでは広まらなくて。控えめにいってもヤバTって音楽的な魅力ゼロじゃん。どんだけ宣伝しようがウェイ勢より外には出ていけないんだよ。
で、結局音楽全体の活気がなくなって、今まで以上にファンを囲い込む必要がでてきて、さらに音楽がおざなりになって…という悪循環が今なんじゃないかなと思うワケです。
さて前置きが長くなったけどいよいよ本題。愚痴が言いたいわけじゃなくてSuspended 4thっていうバンドを紹介したかったんです。
Suspended 4thがバカで本当に良かった
Suspended 4th - ストラトキャスター・シーサイド
俺達はこういうバカを待っていた!
若いバンドはみんな賢いって書いたけど、いるもんですねえこういう音楽のことしか考えてないバカ。ほとばしるマッチョイズム。聞いたら一発でわかる一切の説明がいらない圧倒的演奏力。音圧で自分たちが何者なのかを語る感じがとても良い。
山にこもって修行しまくって、久々に下界におりたらもう相手になるやつがいなかったネテロ会長みたいなバンド。そんな感じがする。
個人的にはイントロから一切出し惜しみしない感じが好き。最初にやりたい放題やると、相対的にサビが盛り上がらなくなって失敗しがちなんだけど、この曲は上手いこと繋がってるなって思います。ラストサビとかもうこれで完全に盛り上がりきっただろうというところからまたさらに一歩盛り上がるのが凄い。このあたりからも実力の高さがうかがえる。ドラムが黒人なのはズルいよ。
今の日本に必要なのはこういうバンドだと思います。確かに売れるためには客にあわせていく必要があるんだけど、元々ロックバンドってそういうのじゃないじゃん。初めて聴いてグッときて、こっちがバンド側に合わせる。そういうもんじゃん。彼らの音楽にはそういう音楽以外のごちゃごちゃを黙らせる圧がある。今の若いバンドは確かに賢いかもしれないけど不況のせいで一番大事なものを見失ってる。ファッションとかファン層とかクソくらえ。
リスナー側にもこのヤバさが伝わったようで、地元名古屋以外じゃほぼほぼ無名のバンドがMVを上げたら話題になって、2か月足らずで20万回くらい再生されてる。やっぱりみんなこういうマジモンのロックを待ってたんだね。
いやーSus4が安易に客に媚びていかなくてホントに良かったなと思います。バカでよかった。あと名古屋で活動してたのもよかったね。名古屋はセンスという概念が存在しないからな。音楽だけのことだけをひたすら考えて煮詰まりに煮詰まったモンスターが生まれる土壌としては最適な街。
路上ライブで鍛えた演奏力
Suspended 4th - INVERSION
先ほど貼ったの「ストラトキャスター・シーサイド」なんだけど、あの曲本人達曰くギャグらしい。
で、こっちが本気の一曲とのこと。こっちの方が絶対カッコいい。僕はこれを聴いて本物だなって確信しました。
ボーカルの方の野太いファズギターの音とかね。超良い。10代の女子には絶対に伝わらないと思うけど良い。そういうこだわりが積み重なってる。
あとドラムマジで上手いな。この感じでまだ19歳らしいよ。ドラゴンボールもワンピースもナルトも結局強さの秘密は流れてる血だったけど、現実でもそうなんだね。
ここまで実力がありながら今まで話題にならなかったのには理由があって。彼ら普段あまりライブハウスにでないんですよね。
普段は路上ライブを中心に活動してるそうです。年間100本くらいやってるらしい。そりゃ嫌でも上手くなるよな。
彼らの音楽から、最近の邦楽の良くない流れを感じないのも多分これが原因で。普段みてる客がライブハウスにいる人じゃなくてホントの意味で不特定多数だからこそ、小手先の何かに頼らずに音楽のパワーだけで勝負しようってなんたんだと思う。
この度、STREET MUSICIAN SUMMITは、ギター・ベースなどの弦ブランドの「D’Addario」様 とドラムヘッドブランドの「EVANS」様 からご協力を頂くことになりました。
この栄誉を背負って一同素晴らしいライブを行うので、是非 #ストサミ に足を運んで下さいね pic.twitter.com/NFoPLLDGmh— ストサミ【公式】 (@SMS_nagoyaske) 2018年8月6日
そして近々Sus4主催でフェスをやるらしいんだけど、それの協賛にダダリオがついたとのこと。知らない方のために一応説明すると一番有名な弦のメーカーです。雑誌で言えばジャンプ。カミソリで言えば貝印みたいな感じ。
レコード会社無所属、まだ一切の大人の手が入ってないのにダダリオに認められてる。ヤバい。順番が逆。
このペースで伸び続けたら来年には余裕で路上でライブなんてできなくなる規模になると思います。ホントの意味での生音を聴きたい人はいまのうちに是非。
ライブハウスじゃないところから現れた実力派バンドSuspended 4th。ここから最近の閉塞感のある音楽シーンをぶち壊して欲しいなと思います。あと売れても変な大人に良さを殺されないで欲しい。マジで。
ということで今回はこのあたりで!