Helsinki Lambda Clubが聴かれないのは、もうみんな知ってるからなのでは
ヘルシンキの新曲が良い、という話を別の人間三人から三回耳にした。この曲のことだ。
三回とも「すごく良い曲だよね」と返事した。本当に良い曲だ。今月は特に色んな曲を聴いたけど、このHelsinki Lambda ClubのJokeboxという曲がたぶん一番だ。橋本薫、本当にありがとう。平成最後の8月は橋本薫が優勝した。
冒頭の三人は、全然ヘルシンキと関係のない位置にいる人たちで、特に彼らのファンだという話もいままで聞かなかったのに、最近になって突然「この曲かっこよかった」と各々が言い出した。
逆に、ちょっと前までヘルシンキヘルシンキと騒いでいた人たちが彼らの新しいリリースに騒いでいる様子が不思議なぐらい、ない。
他人事のように話しているが、自分もそうで、すごく好きなバンドだったはずなのに、しばらくライブに行ってないし動向も追いかけていなかった。
いや「ファンって、薄情だよねー」っていう話がしたいわけじゃない。今日言いたいのは、これってバンドにありがちな現象なんじゃないか?そしてそれはバンドにとってもファンにとっても損な現象なんじゃないか?ということだ。
ネームバリューが起こす弊害
バンドにおいて、有名になる、名が知れるというのは、一般的に良いことだと言われるが、一概にはそうは言えないんじゃないか。
たとえばの話だけれど、コンビニでおにぎりが二種類売れ残っていて、片方はもう食べたことある具のおにぎり、そんでもう片方はまだ食べたことない具のおにぎり。あなただったらどっちを手に取るだろうか。
これは食べたことある具が、おいしかったかどうかによるとおもう。前回食べて大ヒットだった具だったらば迷わず食べたことある方を手に取るはず。だが、そうでもない具だったらどうだろう
「これ前も食ったし、ちょっと冒険してみっか」
となると思う。俺だったらなる。
誤解を生むような例え話になったけれど、別にヘルシンキが「微妙な具のおにぎり」と言ってるわけじゃない。でもおにぎりの例えのまま話を進めるなら、ヘルシンキラムダクラブは同じパッケージのまま違う味になってしまった経歴がある、と言える。
去年のリリースだけれど、元々ヘルシンキにあった歌モノのイメージから、180度方向転換を図った時期があった。
イメージなんていってもそれはこっちが勝手に押し付けたもので、元々ヘルシンキはただストレートなだけの歌モノバンドではなかったし、流行なんかと全く関係ない音楽性でやってきたバンドだから、こういう曲があっても不思議ではないけど、一部のファンにとって期待するものじゃなかったらしい。
おにぎりの話に戻ると、ヘルシンキラムダクラブというおにぎりを愛好していたファンの間で
「あれ、味変わったなこれ…」
と距離を取ってしまったひとがいるんじゃないかと。また、たまたまこの時期のヘルシンキおにぎりを食べて
「ああ、こういう味のおにぎりか」
と認識したひともいるはずだ。
俺はこの時期のヘルシンキが好きだ。かわいくてかっこいい。気取ってなくて気さくで素敵だ。
この夏のヘルシンキは、俺たちヘルシンキラムダクラブver1、ver2のファンたち待望の橋本薫だ。
なのに、せっかくの名作なのに「ヘルシンキならもう知ってるよ」と手に取られないことが本当に惜しい。パッケージが同じだから、ネームバリューか邪魔して逆に手に取られないのだ。
なんというか、バンドに一貫性を求めることなんかはファンの身勝手なエゴに他ならないし、ヘルシンキの魅力はふざけてる面とか、意外性とか、そういうところにもあるって俺も思っちゃいるんだけど
ジャケットおほしんたろうさんに頼んだり
エロ動画サイトをテーマにした曲出したり
本当に、人に勧めづらい。本当はめちゃめちゃ良いやつなのに初対面の人に変なこと言うから友達に紹介できない友達っているじゃん。そんな感じ。あと多分、俺は友人全員に人に紹介しづらい人だと思われてます。
橋本くんは、本当に天才だと思う。安っぽく聞こえるから簡単に天才なんて言いたくないけど、メロディーメーカーとしては紛れもなく天才。
90点を連発する人間の方が、商売としては重宝されるけど、橋本くんみたいに意味わからん曲(弾き語りイベントで「さっき電車の中で作ってきました」つって突然やりだした曲とか本当に意味わからんかった)も作るけど、たまに999点の魔作を作る人間の方が俺は天才だと思う。
本当に、天才なのに、商売が下手すぎる。誤解されすぎる。
この記事も、ただ普通に「ヘルシンキの新曲めっちゃ良いですよ」って紹介すべきだろと自分でも思うんですけど、ヘルシンキには思うところも恩も色々とありすぎて、なんか勝手に悔しいというか、歯がゆいというか、そういう思いが先立ってしまい、素直に紹介できず申し訳ない。橋本くん熊谷くん稲葉本当にごめんよ。
離れてしまった人、ずっと追いかけている人、まだ聴いたことない人、全員に聴いてほしいです。本当に名曲です。
ヘルシンキラムダクラブを宜しくお願いします。それでは。
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