バンドマンはみんなACIDMANの弱点の無さを見習って欲しい。
「売れ線狙いすぎ、ミーハーっぽい、コア過ぎる、顔が悪い、顔が良い、ハゲてる、演奏が下手、言動がムカつく、ダサい、ヒット曲がない、わかりにくい、わかりやすすぎ、ネタに走りすぎ、シリアスすぎ、老害、新人のクセにしゃしゃってる、とにかく癪にさわる、息が臭い」などなど、バンドを貶す表現を挙げてみればキリがない。
どれだけ真摯に音楽や人と向き合っていたとしても、一たび世間に向かって発信してしまったが最後、それを気に食わない人たちがどこからか沸いてはある事ない事好き放題言ってくるものである。生まれたら最後死ぬのが当然であるのと同じように、バンドが売れたら叩かれるのはこの世の道理、自明の理。
だが、そんな道理を捻じ曲げてしまうバンドがいる。とにかく弱点の無さと安定感が他の追随を許していない。
その弱点のなさは「属性攻撃と状態異常攻撃が一切入らない系のボス」のよう。
ご存知ACIDMANだ。
音楽、歌詞、ルックス、言動、全てにおいての一切の隙がなさ、安定感。
私ぐらいになるとACIDMANという文字列にすら安心感を見出し始める。ちなみに次点は[Alexandros]、カッコで囲ったおかげの文字列的な収まりの良さ、それが安定感ポイント。
ACIDMANに対して「最高!」と「安定感!」以外のなんのコメントも浮かばない私、あまりに隙が無さ具合に必死に悪口を考え、捻りだした結果は「髭が生えてる」。それぐらいしか浮かばなかったよマジで。
バンドマンのみなさんはACIDMANの隙が無さを見習って欲しいホントに。ということで今回はそんなACIDMANの弱点の無さ具合を紹介したいと思う。
音楽に関してはケチのつけようがない
ACIDMAN - ALMA
まず演奏技術の面、とりあえず彼らについては説明不要。邦楽ロックでも髄一の演奏能力の高さを誇っている。
だがよくあるのが「演奏は上手いけど、上手すぎてライブでもCDを聴いているみたいで面白くない」という批判。
ライブでの表現力といえようか。難しいフレーズが弾けるとか、ミスが少ない、精確な演奏といった単なる技術的な部分だけでは計りきれない、ライブ力。
だが流石ACIDMAN、そのあたりも抜かりない。
上に貼ったライブ映像をご覧になればわかるが、盛り上がりきったオーディエンスの熱狂に負けないどころか、先導して引っ張っていく熱量。
ライブらしく、スピードもずいぶん上がっているが、その熱量に対して冷静に聴いてもかなり安定した演奏。
作曲面も凄い。
まず曲のレパートリーの広さ。
幻想的なバラードからキッズ好みのメロコア系の曲まで、ACIDMANらしさを保っている。その懐の大きさ。
コード進行もかなり良くて、一般的に王道進行や小室進行というコード進行に頼るバンドが多い中(みんな使いすぎ)、ACIDMANがそういったコード進行を使うのは稀である。
ジャズやボサノヴァ由来のコード進行から、ロック的にコード進行の枠を外れた作曲もある、あとACIDMANのクセっぽいコード進行{Ⅲ→Ⅳ→Ⅴ(Ⅴ♯)→Ⅵ}も特徴的だ。
各々のフレーズも非常に個性的で面白いが、特にギターが凄い。
音楽理論にのっとりながら、必要があればそれを無視した上で個性的でギターの特性をいかしたフレーズ、ロックなアプローチからジャズ、ボサノヴァからの影響がみられる高度なコード。腱鞘炎まっしぐらハイパーストレッチフレーズも多い。
スタジオミュージシャンにありがちな型にはまった演奏でもなければ、叩き上げのバンドマンにありがちな音楽理論フル無視のただ目立つだけのフレーズでもない。邦楽3ピースロックバンドの最高峰のギターフレーズだと思う。
ACIDMAN - world symphony
個人的にヤバイと思うのはこの曲のギター。
最初から最後までずっとストレッチのコード、バッキングとリードを同時に成すフレーズ。
パズルのように繊細に組み上げた楽曲だ。
歌詞も弱点がない
歌詞は非常に難しく、シンプルにすれば「中身が無い」とか言われかねないし、凝った世界観の歌詞を書くと「中二病」とか「ドラゲナイwwww」と嘲笑されるリスクがある。
その点ACIDMANは歌詞の具合も非常に秀逸。
木漏れ日に舞う粒子達が
世界を一つ作り出した
透明な迷路を越えてイコールで繋ぐ
重なる声とリアリズムに乗って
生ける日々が弾け飛んでいったACIDMAN - イコール より引用
ACIDMANの歌詞は大体どれもこんな感じ。
「木漏れ日に舞う粒子達が」みたいな詩的な表現がきて、「イコールとかリアリズム」とか頭が良さそうなカタカナ語を混ぜてくる。
で、それらが「弾け飛んだり」「舞い降りたり」「積み上げたり」「祈りを捧げたり」「笑ったり」なにかしらして全体をまとめて終わる。
歌詞のテーマは結構バラエティに富んでいるが構造的には割りとワンパターン。逆に言えばどれを聞いても大丈夫という安心感がある。
そんな感じの歌詞なのだが、ちょっと同じ言葉が登場しすぎているところがちょっとアレ。
ACIDMANの歌詞によく登場する単語なんてページまで作られている。もはや様式美すら感じる。
このページを参考にテキトーに単語を並べるだけで、「アカシアの花がひらひらと舞い降りて、小さな世界に白い灯りがともった」とこんな具合。ホラ、ACIDMANっぽい。
いやこれも個性といえば個性なんだが。
顔面
顔面も非常に秀逸だ。
ボーカルの大木はどっちかって言うとイケメン寄り。
めっちゃイケメンかっていうとそうでもないが、イケメン過ぎると逆に叩かれたり「顔ファンがあー」と無益な争いの種になりかねないので、バンドマン的にはちょうどベストだろう。あと身長が180あるのでカッコいい。
次、ベースのサトマ、髪が長い上に常にキャップを被っているためイマイチどういう顔をしているのかわからない。心なしにサトマだけ老化のスピードが速いというか、いつも疲れた顔をしているので心配だ。
そしてドラムのウラヤマイチゴ、彼の顔面が一番秀逸。仙人のようなルックスがとにかく味がある。邦楽ロック界で一番味わい深い顔面を持ってるのは間違いなく彼。こういった傾向の顔面を持つメンバーがバンドにいると非常に収まりがよくなるのだ。
そして特筆すべきは、メンバー全員常に帽子を被っていることだろう。
現在メンバーは37歳、あんまり深く突っ込まないが、メンバーの内の誰か一人くらいはそろそろ頭皮がアラフォーし始めてもおかしくないだろう。
だが流石ACIDMAN、抜け毛のことまで抜かりないのだ。ドラムのイチゴ氏限定の話だが、彼は多分ハゲても全く違和感がないだろう。というかハゲ始めてからがスタートみたいなルックスだ。
いかがだろうか
意気揚々にACIDMANには弱点がない!と始めてみたものの、こうやって細かくみてみると「世界が響き」すぎる歌詞と帽子被りすぎ問題など一応弱点らしいものもあるようだ。
だが裏を返せば弱点のない人間なんて気持ち悪いともいえる。
そういった意味ではちょっとした弱点があって人間味があるところまで完璧だと言えよう。まあ髪は致命的になってくるけど。
ということで今回はこのあたりで、
バンドマンのみなさんはとにかく隙だらけなので、ACIDMANを見習って頑張って欲しい。あと頭皮ケアも忘れずにな!
それではバイチャ!