ワンオクの新アルバム「Ambitions」なんか、暗くない?(個人の感想です)
先日ワンオク好きの友人とドライブに出かけた。往復3時間、出たばっかりということもあって、車内BGMはひたすら新アルバムAmbitions。
最初の内は「流石ワンオク!」「クオリティーやっべえな」みたいな話だったが、途中から段々と口数が減っていく…。
前作よりもさらに海外志向になったサウンドや、takaの「日本のファンとの接し方がわからなくなってきた」発言も含めて、いろいろと世間の話題をかっさらってるワンオクとその新作Ambitions。
その出来栄え、クオリティ的な側面は間違いなく彼らの中でも最高傑作。全曲シングルで出せるレベルのクオリティ。個人的にはもう国内で同じレベルのクオリティをだせるのはワンオクと同じく海外レコーディングというチート技を使う宇多田ヒカルくらいなんじゃないかと思う。
オーディオオタクの友人も「takaの声は1kHzに倍音が固まってる、これはすごい普通は出したくても出ない周波数。takaはオーディオにて最強。日本人の血継限界を突破してる」とか「m/s処理が凄すぎて、波形がかめはめ波みたいになってる(※図参照)」と興奮気味に語っていた。そういうマニアックな聴き方をする人も大満足のアルバムだ。
さてそんなアルバムAmbitions、現時点で10回くらい通して聴いて思ったんだけど、このアルバムなんか雰囲気暗くないすか?
”暗い”というと語弊がありそうだけど、雰囲気が重たいというか凄くシリアスというか。なんかやらかしたあとの家族会議のような張りつめた空気が全体を通して漂っている。とりあえず僕の経験上ドライブには向いてない。
改めて確認しながら聴いてみたが日本版アルバム全14曲、その中で自信をもって明るいなって言える曲は"One Way Ticket"と"Start Again"くらい。しいていえば"Bwdroom Warfare"と"Listen"もどちらかというと前向きな印象だけど、音作りがダーク気味。生半可な気持ちで聴くと重たさにやられてしまう。
ONE OK ROCK - American Girls
ちなみにインターナショナル版のアルバムには1曲だけ"American girls"というバカみたいに明るい曲が入ってるけど、これはどうやら向こうで売るために作らされた曲らしい。インタビューとか曲とかからも不本意な感じがヒシヒシと伝わってきてなんとも言えない気持ちになる。
というワケで今回は、ワンオクの新アルバムを聴いてみなさんどう思いました?という記事でございます。
Why so serious?
聴いていて思ったのだが、今巷で繰り広げられている
「ワンオクは変わっちまった、気持ちもサウンドも海外に向いちまってる」派と
「OORerなら変化を受け入れろ、海外うんぬんで文句言うやつはにわか」派による論争。
その発端はサウンドの海外志向というよりも、むしろ雰囲気が重たいところにあるんじゃないだろうか。
ONE OK ROCK - Taking Off
元々ワンオクの雰囲気は軽いか重いかでいえば重たい方だったし、そのシリアスさがウリの一つであったワケだけど、今回のアルバムはそのシリアスさの質が若干違うように思う。
ONE OK ROCK - じぶんROCK
極端に言えばこういう感じ。曲のテーマだけいえば、じぶんROCKは「アイデンティティ」とか「生きる意味」のような重ためのテーマだけど楽曲は前向きというか元気いっぱいというか。シリアスだけど暗くはなかった。重いけど暗くはなかった。
前作の35xxxvの”激しい曲枠”の曲、Take me to the topとかもそうだし、今までのワンオクは激しい曲だろうがテーマが重たい曲だろうが、最終的には人間の暖かみのようなものが感じらたし「やってやんぜオラ!」という打開策を見据えた希望・ヤル気があったように思われる。
ところが今回のアルバムのはどうだろう。
年齢を重ね経験を重ねていけばおのずと表現方法・アプローチも変わってくるものだとは思うが、海外志向になったうんぬんよりも、それ以上に根元のほうから以前とは違うように感じる。
スケールがデカすぎる
ONE OK ROCK - I was King -Japanese Ver.
I wad Kingに至っては雰囲気が完全にバットマンビギンズ。荘厳すぎる。
歌詞の内容のスケール感もサウンドのスケール感も完全にハリウッド級。「怖いものなどなにもなかった時、僕らはすべてを手に入れていた」って聴いて”あーこれスゲエわかるー!”ってなるのホリエモンくらいしかいないだろ。「成功者が抱える憂鬱」みたいなテーマ、自分と同じくリスナーの大半を占める一般人のみなさんにはいまいち共感しづらいんじゃないか。
確かにサウンドは海外っぽくはなったが、それよりも本人達の心情の変化の方が大きいように思える。海外のバンドがシリアスな曲ばかりかというとそういうわけでもないし、なんなら今回共演した5 Seconds of SummerやAll Time Lowはむしろ明るい曲が目立つバンドだし。
上のI was kingもそうだしアルバムのリード曲We areも歌われている歌詞の内容は海外に進出していった自分たち、ワンオクについて歌われている。
先のtakaインスタ「日本のファンとの接し方がわからなくなってきた」発言について、色んなメディアが乗っかって記事を書いていた。その中に海外で思い通りにいかなくてフラストレーションが溜まってるんじゃないかなんて深読みした記事もあったりしたが、あながち間違いじゃないんじゃないだろうか。
歌詞からもそれに悩んでいるのが読み取れるし、それがサウンドに影響したのではないかとも考えられなくないワケです。
今作の大きな変化として「アメリカ志向になった」というわかりやすい点の裏に「バンドが抱える苦悩が反映されている」という裏テーマみたいなものが見えるのだ。
グランドライン
ビルボードにチャートインしたりとそれなりに結果は出ているが、本人らも海外ではまだまだ新人扱いだと語っていたし、彼らが目指す海外での成功はもっと高いところにあるのだろう。
今回のアルバムというのはそんな彼らの葛藤のようなものが現れているアルバムなんじゃないかと思う。
そういえばAmbitionsの特設サイトを見ていたらこんな投稿を発見した。
Ambitions特設サイト投稿より引用
ワソ才ク口ツワ
彼らの活動は着実に海外のリスナーにも響いている。
海外にも通用する技術もクオリティももう揃っているし、人種的に日本人が出しにくい1kHzの倍音が出る歌声をもっているのはtakaしかいない。日本人の我々としては音楽性が変わったのはなんとなく寂しいような気もするけど個人的にはこの路線、応援していきたいなと思っている。
では今回の記事はこのあたりで!