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ヒトリエが取り払ったバンドとボーカロイドの垣根について

 このサイトを始めてもう4年になるんだけれど、当時一緒に記事を書いていた友人と、ヒトリエっていうバンドについて意見が分かれ、それぞれ記事を書いたんだけれど僕はもう真っ向の否定派で「売れるわけがない」と、そういった内容の記事を書いたんですけど。

 

 今も見事に大人気でして。ホント、すみませんでした…

 

 本題に入る前にまずこのヒトリエというバンドの概要を説明すると、ボカロPとして当時名を馳せていたwowakaが、ニコニコ動画界隈から個々活躍するスーパープレイヤーを集い結成したバンド。幻影旅団みてーなな。

 とにかく、フロム・インターネットな雰囲気を持った4ピースバンドで、今でこそ、米津玄師を旗手に垣根がなくなりつつあるインターネット音楽とバンド音楽の垣根のさなかにいた4人。これ、どっちに転ぶの?っていう面白さがあの時にはあって、そこで意見が割れたわけで。

 バカ言えこんな

 聴くインターネット、バンド社会でウケるわけなかろうと。幻聴でワコツと聴こえる。幻覚で文字が左から右へ流れて消える。耳から有線LAN生える。

 というわけで、平たく言うと「ボーカロイド過ぎて売れない」という見解だったんですけど、見事にセールス・人気、獲得しておりまして。以下四年越しの反省文となります。どうぞ。

 キエーーー、ボーカロイドだ。これこれ。インド人がターメリック持ってるような安心感。ボーカロイドはこれでなくっちゃ。息継ぎを無視、爆速カッティング、人間が叩くように作られてないドラム。音楽業界のラーメン次郎。そうボーカロイド。その模範。教科書。法典。

 で、ヒトリエなんですけど

 

 ウケる。うぽつ。

 彼らが出てきた当時、ボカロP出身のバンド、旧lyu:lyuとかがちょうど台頭し始めた時期だったんだけれどその中でも特に異様で、一番ボーカロイド音楽そのままでバンド業界に殴り込んだのがヒトリエだった。

 で繰り返しになるんだけど「こんなボーかロイド過ぎるバンドは世に受け入れられないよ」と思っていたんだけども

 

 先見の明があったのは彼らでした。

 

バンドとボーカロイドにあった壁

 ここからが本題なんですけども。

 ここ2〜3年前は壁を隔てたベルリンの如く、バンド音楽を聴く人とボーカロイドを聴く人はキッパリ分かれてたと思ったんだけど、ここ2年ぐらいでいつのまにか壁はすっかり倒壊して「バンドもボーカロイドも歌い手も隔てなく聴く」という人がめちゃめちゃ増えた印象。

 ちょっと前までは、音楽のイジワルな側面、いわゆるマウントという奴で「バンド音楽を聴く人間はボーカロイドをバカにしている」という傾向が、良くないことだけど確かにあった。オタクがカラオケで歌う奴じゃん〜みたいな。JPOP、EXILE Tribe、洋楽、邦楽ロック、ボーカロイド、色んな属性の音楽リスナーが互いを互いにバカにしあってたし、今もそういうしょうもないマウントの取り合いがインターネットの各所で執り行われている。

 で、明確に抗争状態だったバンドとボーカロイドなんだけど、若い世代の間ではいつの間にか「両方あり」ということになっているようで、ボカロPの名前と歌い手の名前とMy Hair is Badが仲良く並んでるのをよく見かける。ちょっと前ならありえないことだったと思うこれは。

 原因として一番大きいのがスマホの一般化。このせいでインターネット=オタクという図式が崩れたのが大きい。TwitterもyouTubeもニコニコ動画も一般のものになったし、スマホの一般化から5年ほど経った今。ガラケーを知らない、パソコンいじれないけどインターネットは見る、そういうスマホネイティブな世代が音楽のメインターゲット層である中高生になったのが2018年だ。

 水面下で、そういう革命があった中で

 

 ヒトリエはウケたんだろうなと。米津玄師とヒトリエはバンド音楽とボーカロイドの垣根を取り払った功績者で間違いない。

 こういうムーブメントがなければ、最近多いおいしくるメロンパンを代表とした歌い手声のバンドの台頭もなかっただろうし、今の流行は間違いなく違ったものになっていたと思われる。

 ボーカロイド出身者でバンドという環境を生き残ったヒトリエ。デビュー当初から音楽性を徹底してブレない根性、胆力も生き残った要因だと思われる。良い意味で、ずっと変わらない。ずっとボーカロイドという素地を忘れない。普通だったら同じ音楽性を続けるなんて怖くてできない。狂ってる。

 僕と同じく、普段こういったバンドを聴かないという人も、是非聴いてみてください。面白いです。発見があります。

 それでは。

 

 

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