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コレサワ「君のバンド」について好き勝手言う

 ブレイク寸前。なんとテイの良い言葉だろうか。
 そもそもどこからがブレイクなのかが曖昧模糊だし、「寸前」ってどのぐらい手前なのか。有耶無耶に勢いを出せる接頭語として旧来からゴシップメディアがこぞって使う言葉だ。

 しかし今ブレイク寸前と呼ぶにもっともふさわしいバンドがいる。ちょっと聴いただけで「うわぁ~!こんなんブレイクしちゃうでぇ~!」と白目剥いてひっくり返りそうになるほどの"ブレイク寸前"を感じる。

 今日はその人、コレサワについて好き勝手言わせてもらおうと思う。

コレサワ「君のバンド」

 あざとい。つつける重箱の隅がたくさんありすぎて、書く前からワクワクが止まらないよ。何角形だよこの重箱。

 まず一番最初に目につくのはバンド名。巷にはKANA-BOONとか、ゲスの極み乙女。みたく「お前2分も悩まず決めただろ」みたいなバンド名のバンドが溢れかえっているが、バンド名はやはりバンドにとって重要なファクター。
「森進一の息子と友達」

「ONE OK ROCK」
なら見たくなるのは後者だろう。僕個人としては前者もだいぶ気になるけど。

 これを踏まえて「コレサワ」すごくいい。シンプル。シンプルであるということは清潔感に直結する。聴く前から名前でプラスイメージを与えるのは困難だ。まずはマイナスイメージを与えないシンプルな名前を採用することは命名に於いて限りなく最適解だ。[Champagne]みたいにフランスに訴えられて泣く泣く名前を変えるリスクもない。 バンド名に「凛として時雨」とかつけちゃうような大人はきっと我が子にもとんでもない名前をつけたりするだろう。良くないよピエール。
 ぼちぼち本名フルネームで活動しているシンガーソングライターがいるが、あれも個人的にはあまりよくないと思う
「内藤 雄一」みたいに知らん奴の名前を関連動画などで見かけてもノータイムで「誰だよ」という感想が頭をよぎる。聴く気にさせる名前ではない。

 

 でもって曲名。これもいい。漫画家が漫画の漫画を描くようなメタ感がある。

 入口でこれだけの安定感。おそるべしコレサワ。

 

曲はどうか

 まず出だしからサビ。しかもめちゃくちゃわかりやすく頭に残るメロディ・歌詞を持ってきている。字幕もある。
 YoutubeやらBandcampやらでいくらでもタダで音楽が聴ける現代。リスナーはサビまで待ってはくれない。イントロで「あ、ちがうな」と思ったらすぐ次に行ってしまう。そこで出だしから良い意味でも悪い意味でも「ウッ」と思わせるこの歌詞。計算づくだとしたら、かわいいクマのマスコットを隠れ蓑にしたかなりの頭脳犯だ。

 しかし曲自体はシンプル。Aメロ Bメロ サビ。メロディ的にもギター弾き語りで作ったであろうスタンダードな曲だ。メロディの引き出しもそこそこに、何かすごく突出した部分があるわけでもないが、この手の楽曲に下手な尖りは必要なく、これはこれで完成形と言えるだろう。

 だが過去の楽曲はアコースティック・弾き語りスタイルだったのにも関わらず、急なバンドサウンドと複雑な編曲(特にサビ)を聴くに、良いプロデューサーがついたのだろう。この曲で一気に垢抜けた印象だ。

 歌い声も可愛く今風、吐息やロングトーンの末尾も遊び心がある。今時の女子が飛びつきそうな所をよくわかった上でやっているクチだこれは。あざとい。

 

顔面を出さない

 このPVはコレサワの現身?であるクマが終始全面にプッシュされている。
 使われてるロゴや絵柄からして10代のサブカル女子狙い撃ち。男ウケ?そんなもん後からついてくるわと言わんばかり。

 ちょっと調べたら出てくるが、ルックスにどこも難はなく、スラっとしたかわいい女の子だった。

 しかし昨今のMVにはこぞってモデル級の美少女を起用する傾向にあり、邦楽ロックMV内での顔面偏差値が爆上がりしている。ガールズバンドは大変な時代になったなホント。

 たしかに本人が歌ってもマイナスにはならないが、このMVのように、期待する潜在ファン層が好きそうな絵柄、字体、色使いのアートワークの方が加点が大きい。コレサワ絶対頭良い。怖い。

 

歌詞

 最後に歌詞について。
 字幕を表示しているあたりからもわかるように、この楽曲はかなり歌詞に重きを置いた楽曲だ。

 僕らのような、意地悪なひねくれ者が聴けば
「一般人のセンスと違うアタシって個性的アピールがきっつくて聴いてるのしんどいなこれ…」
となりかねないかなりドギツイ歌詞だが、純情な10代女子なら
「きゃー!わかるー!かわいー!すきー!」
と一発で虜だろう。(女って基本的にこの4単語しか言わないよな。なんなの)

 10代・女子にもかかわらずこれを好きになれないというあなたは残念。こっち側の人間だ。強く生きてくれ。

 Aメロで出てくる園子温の恋の罪だが、ザ・園子温なハードコアな映画だ。フェイバリットムービーにこれをあげる女子嫌だ…アメリとかが好きな女の子がいいよ僕は…
 余談も余談だが個人的には「みんなエスパーだよ!」がオススメだ。ヒマでヒマで仕方なかったら見てみて欲しい。ホント時間の無駄だから。

 

終わりに

 既にグイグイ来てる感満載のコレサワ。こりゃもうなんかちょっとしたきっかけでいつ人気に火がついておかしくない状況だ。
 従来の売れ線バンドたちとは違った角度からの成功を狙う彼女。その戦略性の高さ、きっと悪いやつだ。とても好感が持てる。

 好き放題言ってみたが、みなさんには彼女がどんな風に映っただろう。
 これから彼女がシーンにどうやって食い込んでいくか。要チェックだ。

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