今夏フェスに行く前にMONO NO AWAREを聴いておこう
しばらくの間膠着して動きのなかったバンド業界だけれど、最近はteto、SUNNY CAR WASHなんかを筆頭にシンプルでローファイなサウンドのバンドが賑わってきている。これらにもきっとそのうち「シティポップ」みたいに名前がつくのかな。
で、その流れで今回紹介したいのがMONO NO AWARE、既にフジロックをはじめとする各種音楽フェスにも出演が決定している、まさに今ブレイク寸前のバンドだ。これはロッキンオンジャパンの巻末に並んでるショートレビューに書く事なくて字数埋めに書かれてる「ブレイク寸前」じゃなくて、マジのやつ。キてます。
キてる理由は聴けばすぐにわかるはず。良いバンドは、何を説明しなくても聴きゃみんなわかってくれる。勝手に口コミで広がって行く。多分今回もきっとそうなるでしょう。
MONO NO AWARE、今夏フェスに出かける前、マストです。
今年見たどんなお金のかかってるMVよりも素敵な映像音楽。
MVって今やバンドの生命線で、だからこそどのバンドも力を入れるし下手を打たないようにするんだけれど、ともするとやっぱり「かわいい黒髪ボブ」「アンプに繋がってない当て振りギター」「唐突なダンスシーン」みたいな無難な内容になりがち。
人間は慣れた刺激には無反応になっていく。見飽きたYouTubeの広告の先に、もっと見飽きた髪型のボーカルが、#カメラマンさんと繋がりたい みたいな顔した女と交互に登場。サビでボーカルの顔面アップ。それは、何かい。憲法とかで決まっているのかい…?ロックだろ、ルールも常識も憲法も違反しようよ。
"井戸育ち"なんていう華飾のないタイトルのこの曲。思い出みたいにちょっと色落ちした映像が始まると目が離せない。曲が始まってしまうともっとそう。
映像に曲も歌詞もしっかり絡まっていて、わかりづらいけどしっかりテーマのある内容で韻を踏みつつ進行していく。聴いているとどこかパスポートが必要なところまで飛ばされてしまいそう。
と思いきや別のバンドにでもなったかのように慎重でナイーブな曲調も。
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曲幅がとても広いのもMONO NO AWAREの非凡なところで、わからぬルーツからごった煮で音楽性がぐるぐる回って行く。でもちゃんと、"彼らの曲"という範囲の中に着地する不思議なバンドだ。
共通するのははっぴいえんど譲りの巧みで含みのある日本語詞と、歌声。去年から一昨年にかけて盛り上がったバンドのいくつかも、はっぴいえんどからモロに影響を受けていたけれど、MONO NO AWAREの場合はその別解というか、新解釈というか。ただのリバイバルじゃなくて別物になるまで煮込まれている音楽。アルバムは是非聴いて欲しいです。
彼らをライブハウスで¥2500で見られるのは今年のうちまででしょう。
フェスに行く人も行かない人も、MONO NO AWAREを是非、聞き逃さずに。