MUSIC REVIEW AWARD結果発表!
お待たせいたしました。先日公募いたしました。優勝賞金たった1万円!MUSIC REVIEW AWARDの選考が終了いたしました。
たった二週間の募集だったにもかかわらず、怒涛の応募ラッシュ、嬉しく思います。休日と体力を全部持っていかれましたが、それ以上に楽しい時間と眼精疲労を頂きましてこの野郎!って感じです。ありがとうございます。
そんなわけでミュージックレビューアワード、受賞作品を紹介していきたいと思います。
石左賞
題材が良いです。タイトルも著名バンドを引き合いに出して、読者に興味を持たせる構造になっており秀逸です。
結局レビューなんてものは主観でしかないんですけども、主観にも面白い主観とつまんない主観があります。この記事のは前者。「この人普段から変なこと考えて変な音楽聴いてんだな」と興味をそそる意見構成になっています。
文体は結構淡々としていて僕は好きです。文字を読むのが苦手な僕でもさらさら読めたので文章上手だと思います。ただこのサイトの雰囲気に合わせて無理矢理粗暴にした感じも否めません。もっともっと淡々としてていいんすよ。
ここで紹介されているユニットも、世に広めるだけの価値があるものだと僕は思いました。これ売れたらヤバいです。みなさん、是非。
今回の応募、例に挙げた為か米津玄師のLOSERについて書いてくれてるひとが多かったんですけれども、彼が一番深くまで考察できていると僕は思います。
タイトルはポエミィでちょっとマイナス。なんですけど、米津玄師の今までのキャリアと過去作を持ち出して、今作までの経緯を推察し、しまいには米津玄師視点に立ってモノを言ってます。
文章は若干一文節が長めの傾向ですが、全体を通して上手です。でもちょっと堅苦しくって若者には読むのがキツいかなあとも。内容も結構重量があるので読む側の体力が試される感じです。が、その分逆に彼のファンは面白く読める内容になっています。
谷澤賞
以前当サイトで実施した、デモ審査にも応募してくれた、通称「魔剤」君の投稿。
彼本人も、この記事も非常にインパクトがありますので、悪ノリだと思われかねないですが、乱暴な文章に目をつむって読んでみると割とシッカリとしたレビューだということがわかります。
まず「オタク大好き!著作権ガン無視キモオタ系音楽ロリコア!」というタイトリングが秀逸。この記事のテーマであるロリコアは、一般的には全く知られていないディープな音楽ジャンルです。
最初の「オタク大好き!」という一文で、記事の内容についてザックリ方向づけています。
そして「著作権ガン無視」という言葉。特にこういう読者にとって新しいものを紹介する記事の場合は、何か興味を惹くポイントがないとそもそも記事を読んですらくれないことが多いです。
このタイトル、見た目からヤバさが伝わってきますが、ポイントを押さえた秀逸なタイトルと言えるでしょう。
記事の中身についても雑さが目立ちますが、基本的なポイントは抑えてあるように思います。
特筆すべきはその知識量でしょう。
ロリコアというジャンルは、そもそもがマイナーであるブレイクコアの中のサブジャンルであり、試しに検索してみましたが、当然のようにウィキペディアページもなく、殆ど詳しくまとめられている記事等がない状態です。
ちょっと雑だけどロリコアについてインターネット上で初めてまとめられた記事だと思われます。
海外の個人ベースでの活動のアーティストについて、サンプリング元まで含めてよくここまで調べられたなあという印象です。
ちなみに私は記事内で紹介されているアーティストの中ではmaedasaltがすごくグッときました。
マイナーなジャンルにスポットを当てた上で、それを知らない人に上手く紹介出来ている良記事であると思いました。
・テン年代を変えた相対性理論 その頭脳、やくしまるえつこの頭の中
冒頭のthe sign magazineからの引用・改変のトリックからインタレスティングの方の面白さに引き込まれました。
文章についても破たんがなく読みやすく、内容も相対性理論というバンドについてかなり深く考察されており、とても面白かったです。
ただ、特に文章の書き方についてですが、紙媒体時代の音楽レビューのような印象を受けました。
文章を読む前提として、相対性理論を知っている必要があるのと、知識の部分と筆者の主張の部分が交互しまくるので、記事全体でのメリハリがなくなってしまって、結果として筆者が言いたかったことが伝わらないまま終わってしまうように感じます。
それらを差し置いても豊富な知識に裏付けられたボリューム感のある考察は読みごたえがあり、非常に面白かったです。
草谷賞
・ライブにつまらんプレイを「持たず つくらず 持ち込ませず」が理想
日常生活に支障きたすレベルで音楽好きなんだろうなー。イライラしすぎ。笑
送られてきた記事一通り読んでて「ああこの人こういう人なんだろうなぁ」と想起できる点で、他より分かりやすかったです。
ライブハウスに行くとよく見かけるような女性がブツブツ何か言ってるってだけで僕ん中でおもしろかった。
言ってる事もすげぇ分かる。良いバンドとか見つけると変に他人と話したく無くなんねんな。
不要なストレスで肌荒れてると思うので、僕から雪肌精の化粧水を差し上げます。
綺麗になってください。
・【アラサー彼氏なし独身OLが選ぶ、結婚式で流したい邦楽ロック5選】
かわいい。
1人で「これは入場の時に使おう、ファーストバイトの時はこれで、、、」って、女の子がニヤニヤしながら考えてるの。かわいい。フルコース考えてるトリコくらい可愛い。
この人僕と同世代っぽいんだけど、最近マジで結婚式多いんすよ。
何気に誰でも1回は考えた事あるんじゃない?結婚式に何の曲使うか。僕の未来の結婚式プレイリストにはjimmy eat worldのif you dont dontが入ってます。
文面からラブリーさが滲み出てるので入賞。
上の人もそうなんだけど、「キャラが立ってて」「その人の欲求が見える」と読みやすいんだなーと気付きがありました。
この人も30過ぎまで結婚できない気がするので、サボンのバスボムを差し上げます。
良い匂いになって、色んな人に抱かれてください。
メジャーレーベル勤務、M氏総評
もらった中で良かったのは、
「ただの大衆ポップス。“Happy”」
「JQの正体、そしてNulbarichの商売」
「Hi-STANDARDに感化され過ぎるな」
「ライブハウスに足りないもの」
「ベスト盤の名前 どうあるべき?」
「おまえらは、SNOWで盛ってる女子をディスれんの?~ライブでの再現性について考える~」
「みんな覚えてる?ファレル・ウィリアムス」
「ライブハウスの行き方」
「“ヨシ子さん”がいない理想の世界」
「岡崎体育と割れチョコ」
「Hi-STANDARDのゲリラ発売について考える」
ちょっと後ろに
「back numberを馬鹿にする人と将棋部の人に宛てて」
ってのが僕の感想です。
ここからさらに絞るのであれば
「JQの正体、そしてNulbarichの商売」
「ハイスタが僕に気づかせた難題」
の2つが印象に残ったかな。
「JQの正体、そしてNulbarichの商売」
に関しては、文章全体のテンポが良く、最後までストレスなく読めた。
1番は、Nulbarichってアーティストを私は知らなかったのだけど、文章読んでこのアーティストの曲を聴いて良かった。
ちなみに、もらった作品の中で私が知らなかったアーティストを扱ってる文章もあったけど、YouTube開いて曲聴いたりみたいなことをしたアーティストは他にいなかった。
なので、単純に1つ知識を教えてもらって有難うって感じ。
「Hi-STANDARDのゲリラ発売について考える」
は単純にCD屋のやつが書いて応募してきてるのが凄いなと。
僕みたいな仕事してても、個人でやってる店の話なんかほとんど聞けない。
そこに本当に価値があるなと。
個人でCDやるなんて、こんだけCDが売れない時代に何やってんだと思うけど。笑
最優秀賞
というわけで、意外にも各人票がばらけまして、優秀作品の中から大賞を決めるのに揉めに揉めたわけですが、今回の最優秀賞は
に決定したいと思います!
ファレルの良さを誰でも分かるように説明してくれており、聴いた事無い人は「なんか良さそう、聴いてみようー」となるし、知ってる人は「そうそう、そうなんすよ」となる、たいへん均整の取れた記事かと思われます。
強いて弱点を挙げるならタイトルが若干弱いかもしれません。「なぜPharrell WilliamsのHAPPYをあなたが聴いたことがあるのか」とか「ただの大衆ポップス"Happy"が世界中を席巻した理由」ぐらいの方がメディア記事っぽくていいのかもしれないです。そうしたら曲名アーティスト名を知らない人も「え、俺聴いたことあんのその曲?」と確認のためにリンクを押すでしょうし。
文章も綺麗。自然体でとても読みやすいです。言うなれば攻守共に優れたレビューでしょう。
逆に「オタク大好き!著作権ガン無視キモオタ系音楽ロリコア!」なんかは本当に攻撃力の一点特化。僕なんかはこれすごい好きなんですけど、相談の結果僅差でファレル。ロリコアは準優勝!という結論となりました。
上記以外のものだと
ここら辺も個人的には面白かったです。切り口とかってやっぱり大事なんだな、と改めて勉強になりました。
そんなわけで優勝賞金としてファレルの彼(推定10代)にささやかながら一万円の賞金をお送りさせていただきたいと思います。学生時の一万って、社会人になってからの五万円ぐらいの価値あるよね。パーっと使ってください。
加えまして、せっかく応募していただいたみなさんの文章もなんとか読者が観覧できるように編集いたしましたので(死ぬかとおもった)よろしければみなさんお目を通してみてください。
それでは!