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2016/07/16

記事 邦楽ロック

Suchmosはファッションアイテムか、本物か?

Suchmosが流行ってる。マジで流行ってる。
この前美容院行った時も髪洗ってくれた兄ちゃんが「最近Suchmosってバンドにハマってんすよ~」って。二人でイイよな~って言ってたんだけどさ。ラジオで掛かりまくってるしCD屋ではプッシュされてるし、挙句の果てにはマイマザー48歳が、僕が流したSuchmosに反応して「そのバンド知ってる~」って、マジかよ。

とにかくね、皆さんも肌で感じていると思うけど、最近のSuchmosの勢いはマジでヤバいんですよね。今年初めにリリースされた"STAY TUNE"も今や100万再生越えの大台になってるし、100万再生って和田アキ子の新曲の10倍以上再生されてんだぜアレ、やべえよ。

この流れ、なんか小恥ずかしいのであまり言いたくないんですけど、「流行る前から知ってた」ってやつなんでして、見事大流行してくれて、個人的には凄く気持ちいいんですが、
最近の流れには若干の違和感を感じておりましてね、それがなんですけど「なんか誰しもがSuchmosべた褒めし過ぎててキモイ」っていうアレなんですよ。

自称音楽通の人々はモチのロンのことね、今までずっとカナブ○ンとか聴いてウェーイ!以外の言葉を発しなかった僕の嫌いな知り合いまでみんなして「Suchmos最高!最の高なんだよな~」ってさ。
もう取り返しのつかないところまでひねくれてるって自覚はあるので好き放題言ってくれて構わないんですけど、僕はひねくれてんるんでね、こう、みんなが最高って言いまくってるこの感じにこう、なんていうんだろ「お前らSuchmosを良いって言っとけばセンスが良いと思ってるだけだろ!」って思うんですよね。

ということでですね、今回の記事はSuchmosがただの流行りものなのか、邦楽ブラックミュージック界の”本物”のスターなのか。
考えていきたいと思うわけなんですよ。

ファン層の分析

まずはどんな人々がSuchmosを「Suchmos最高!最の高なんだよな~」って言っているのはどんな人々か?考えていきたいと思うわけなんだけど。
ファンの方々にとっては、こうやってカテゴライズされるとちょっと気分はよくないかもしれないけど、音楽についての流行りとかファッション的な意味を考える時に、それを無視するのは逆に不自然だろうからさ。

シャレオツ系のバンドの流れ

cero、yogee new waves辺りのバンドを好きな層でございます。
まあ、この層に関しては上の一文だけでわかると思うんだけど、つまりそういうこと。
服装がオシャレ、オシャレな仲間と集まって楽しそうでオシャレな日々を送っている・・・ように見える傍から見ると。

ここに関しては良くも悪くも流行ってりゃ取り入れるし、それがダサくなったら手放す。
いやだってさ、2000年代中盤から後半あたりかな、あんまりブラックミュージックを聴いててもステータスにならなかった時期とかにエリカバドゥとか聞いてカッケエ!って言わないでしょ彼らは絶対に。

元ロックキッズ達

ライブに集まるファンとかSNSとかを見るとわかるんだけど、元々いわゆるロックキッズだった人たちが「Suchmos最高!最の高!」って言ってるパターンも結構見受けられる。
僕も若干この節があるので気持ちはすげえわかるんだけど、20代になってしばらく経ってくるとゴリゴリのロックって若干しんどくなってくるんだよな。
そのロックにちょっと疲れてしまった人たちのニーズにジャストで飛び込んでくるのがSuchmos。「30代からの年齢化粧品」みたいなもんだよ。20代のための邦楽みたいな。

あと邪推だけど、ここらの人今まで一緒にモッシュッシュしてたロックキッズたちに対して「まだそんなお子ちゃまな音楽聞いてんの?」って思ってそう。相対的マウントポジション的な?

元々こういうのが好きだった層

「”日本のジャミロクワイ”なんて大そうな二つ名を使ってらっしゃるんだから、ワシらが審議してやる」みたいな?
流行とか関係なくそもそもブラックミュージックが好きな人々ね。簡単に言うと音楽オタクだよ。

今でこそSuchmosが流行ってさ、ブラックミュージックがナウなヤングのイメージだし、ちょっとピリッっと悪そうなイメージがついてきたけどさ。
そればではマジでナードみたいなやつばかりだったんだぜ?

この人種は基本的には音楽についてイチイチ細かいし、うるさいわりにはあんまり金を落とさない不良債権みたいな連中のはずなんだけど、
なんか最近は世間がやっと彼らの方を向いてきたというか「我がの世の春がきたー!」みたいな感じになってていい感じ。見てるとほっこりする。

「ファッションアイテムとして消費されてしまう」とは

ということで上で挙げた3層、とりあえず一番下の「もともとこういうのが好きだった層」は省きましょう。働きアリって二割が実際に働いていて他は遊んでるだけらしいんだけど、それと似たような感じで、どのジャンルの音楽だろうが二割は流行りとかに関係なく聞き続けるからね。

で、僕がいまから話したいのは働かない方の8割のアリの話。
すげえ失礼な言い方をするけど、後の八割はミーハーな人たちっすね。

つまりまあミーハーだから流行ってるときには寄ってきて、ミーハーだから旬が過ぎたら別のところに移動するというか。遊牧民みたいなもんだよ、草が沢山生えてる地域に集団でやってきて、草がなくなったら次の草のある地域に移動して。
そういえばSuchmosが属しているこのジャンルもひと昔前に流行って、一度廃れてもう一度流行り始めたし。今はちょうどこのジャンルがダサいとされていた時期にたっぷりと生えた草をむさぼってるタイミングだろうな。

つまり遊牧民が集まりすぎるとさ、沢山生えてたはずの草が短期間に食べられすぎてなくなってしまうわけだよ。
「人が集まりすぎるとファッション的な価値がなくなる」って言う言い方もできるかな。
少なくとも今Suchmosに集まってる人たちは流行に敏感なタイプだけど、そういう人たちって流行っりまくったら逃げてくでしょ。
一部のシャレ乙な人が広めた最近のニューバランスのブームも、ブームになりすぎてオシャレな人はもう履かなくなったじゃん。

実際”本物”かどうか。どうなのよ?

先ほどの、遊牧民が集まりすぎて草がなくなってしまう現象でホントに人がいなくなってしまうってのはつまりファッションアイテムだったってことなんだよ。
逆に言えば、本物なら人がどっと集まって流行ってそれが去っていった後でも人が残る。今までの歴史を見てきてもそうなってるよね。

今回の記事のテーマは後々わかることなんだけど、今の段階で音楽的な側面だけから考えると、個人的にはまだやれんだろ?って思う。
いやモチロン音楽の価値ってのは演奏面だけできまるわけじゃないんだけどさ、

彼ら”卓越した演奏技術!”っていう売り文句だけど、マジレスするとアレだ。邦楽の若手界隈だけでの話だ。
例えばディアンジェロをバーン!って出したらンなもん、アレよ。ピッコロと一緒にラディッツと必死に戦ってた頃の悟空の目の前にマジギレした魔人ブウを召喚するようなもんよ。
別にディアンジェロじゃなくてもいいよ、ホセジェームスでもベンウエストビーチでもロバートグラスパーでも、なんならジャミロクワイでもさ。
つまり何が言いたいかって海外には魔人ブウクラスの化け物がゴロゴロしてるんですよね。

あとね彼らの致命的な弱点としてドラムが結構深刻に下手。
CD音源ではなんとかソレっぽくなってるけど、ライブになると全曲ビートの叩きわけができていないんだよな。それぞれ曲によって叩かれるべきビートが違うし、そういうサインもでてるけど全部同じように叩いてる。
音楽的にもドラムが占める割合が多く、マジで最重要ポジションだと思うのでなんか良くなるといいなあ・・・。

さてさて

割とネガティブなことまで書いてしまったけれど僕自身も彼らの音楽が好きだしマジでかっこいいと思ってる。
だからこそ、一過性のムーブメント、ファッションの流行として消費されてしまうのにはもったいなさすぎると思うのだ。

あとね、海外勢と比べちゃったけど、彼らには海外勢にはないセンスがあると思うんだ。
いやだってさ"Stay tune in 東京 Friday night"って歌詞でカッコいいと思わせられるんだぜ?ひと昔前ならありえなかったし、なんなら今でもSuchmos以外が同じ歌詞歌ったらもう大変なことになるのが想像つくよな?ディアンジェロだって絶対無理だよ。
その今までダサいとされていたものと、今カッコいいもののキワキワのライン、それを攻めていって、リスナーに提示した上でカッケエ!って思わせられってのが彼らの最大の魅力なんじゃないだろうか。

ということでね、今回はこのあたりで!
近いうちに新曲がリリースされるようだし、名実ともに今一番アツいバンドSuchmosがこれからどうなるのか楽しみである。

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