神々がスリップビートでお戯れ「FRAGILE」
川柳っぽいタイトルになった
他意はない
さて若手でも変拍子などのリズムトリックを多用するバンドがいた(いる)せいか、音楽が好きだったりたくさん聴くような人はリズムトリックにそれほど嫌悪感を抱かないように思われる昨今である。
パッと聞いて違和感があるため使うだけでインパクトがある複雑なリズムはジャズやプログレ、フュージョンの世界では当たり前のように使われているが大衆音楽においてはたまに見かける程度である。
少しでもリスナーの耳に残るものを作りたいアーティストや、ありきたりな音楽には飽きてしまったリスナーにはリズムトリックはもってこいだ。
ただ恐ろしいもので世間は慣れてくる。
もはやメンバーみんな足並み揃えて5拍子や7拍子やってるようではインパクトなど期待できないのだ(暴言)
さてそんなありきたりリズムトリックでは満足できないアーティストやリスナーの方々に今回ご紹介するのは、もはや何やっているかわからないバンド「FRAGILE」だ。
メンバーはGt.矢堀孝一 Ba.水野正敏 Dr.菅沼孝三の3人、菅沼孝三に関しては「手数王」の異名から知っている人も多いはずだ。
このバンド、何がすごいってもう何やってるかわからんのだ。息をするように変拍子、スリップビートやらメトリックモジュレーションとかいう胃もたれを起こしそうなリズムもガンガン使ってくる。
変拍子、スリップビート、メトリックモジュレーション
さらりと3つ挙げたがこれらは厳密に区別しようとすると面倒なことになるのでここでは全てひっくるめて「リズムトリック」という表現をさせていただく。
さてそれでは40年ほど第一線で活躍し続けるそんな神々による天上界での遊戯を下界から少し覗いてみよう。
メンバー
先述のようにメンバーは3人
Gt.矢堀孝一
矢堀 孝一(やぼり こういち、1965年1月19日 - )は、東京都出身のギタリスト。fragile、Fazjaz.jp等のバンドで活躍し、音楽学校メーザーハウスの講師も務める。また、作曲家、アレンジャーとして、数々のミュージシャンのプロデュース活動も行っている。
ウィキペディアより引用
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9F%A2%E5%A0%80%E5%AD%9D%E4%B8%80
メンバー全員に言えることなのだが、超絶フレーズもヘラヘラしながら弾きこなす超人だ。
1992年にBa.水野正敏と出会いFRAGILEを結成。結成当初、1stアルバムを出したあたりでは演奏技術が残りの2人に対して一歩遅れていたようだが2ndあたりで急成長、以降第一線で活動を続ける。
最近歳のせいか速弾きがやりにくくなっているらしい。それでもまだ速い。1人目の神
Ba.水野正敏
水野 正敏(みずの・まさとし、1954年5月7日 - )は、エレクトリックフレットレスベースおよびアコースティックベース(ウッドベース)を演奏する日本人ベーシスト。プロデューサーとしても多くのアルバムを世に送り出している。
ウィキペディアより引用
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%B4%E9%87%8E%E6%AD%A3%E6%95%8F
ベースを手にした1年後にはプロとしてお金を稼いでいたというとんでもない人。当時は生演奏できる場が多く演奏家として活動できる受け皿は大きかったようだがそれでも1年は早い。
基本的にはフレットレスやウッドベースを使用することが多い。フレットレスではESP、フレッテッドではGoodfellowというメーカーのベースを使っていることが多いようだ。
この方、ジャコ・パストリアスの研究家でもあり音楽理論を極めた方でプロからも意見を求められる事が多い。独自の作曲法や演奏理論は水野式と呼ばれ、FRAGILEでも遺憾なく水野式を発揮されている。
最近「音学METHOD」なるアプリをApp Storeにてリリースした(iPhone iPadのみ対応)
2人目の神、というより妖怪と呼ばれることが多い。
Dr.菅沼孝三
菅沼 孝三(すがぬま こうぞう、1959年10月25日 - )は、大阪府出身の日本のドラマー。
日本だけに留まらず日本国外でも活躍しており、ジャズ・ロックなど幅広いジャンルで数多くのミュージシャンとの共演歴を持つ。
高速プレイや変則プレイ、ルーディメンツなどの精度の高さなどで知られ、手数王と呼び親しまれている。また、教則ビデオ・DVDのリリース、プレイヤー誌・教則本への執筆、ドラムクリニックの参加、といった活動も数多く、若手ドラマーの育成に意欲的に取り組んでいる。菅沼の弟子には坂東慧(T-SQUARE)や川口千里らがいる。娘はFUZZY CONTROLのSATOKOこと菅沼知子。ウィキペディアより引用
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8F%85%E6%B2%BC%E5%AD%9D%E4%B8%89
言わずと知れた手数王、超絶変態プレイを一番ヘラヘラしながら叩く。
超絶テクニックで有名なせいかオーソドックスな演奏をしたい時にも「超絶でお願いします」と注文を受けるのが一時の悩みだったらしい。
1988年、ディジュリドゥというオーストラリアの民族楽器に魅せられ自らもディジュリドゥ演奏をするようになる。ディジュリドゥはドラムセットの横においてライブ中に演奏している。
3人目の神
胃もたれしそう
さてそんな神々の演奏を聞いてもらおう
FRAGILEの中でも名曲といわれる「L.C.M」という楽曲だ。
5/4拍子を基本とした楽曲で各々やりたい放題やっている。
ドラムは5拍子を遊びながら叩き、ベースとギターは5拍4連で弾いている。
5拍4連とはなにかというと以下のようになる。
16分のリズムで考えるとドラムは
1 2 3 4 5
タツツツ タツツツ タツツツ タツツツ タツツツ
と5拍鳴らしているが、ベースとギターは
1 2 3 4
タツツツ ツタツツ ツツタツ ツツツタ ツツツツ
と5拍の中に4回しかアクセントを入れてきていない、こういったリズムを5拍4連という。
ツでゲシュタルト崩壊してきた人がいたら申し訳ない。
どうだろうか、いい感じだろう。そろそろ太田胃散が欲しくなってきた頃だろう。
次こそは比較的聴きやすいはずだ
最初からディジュリドゥ…………まぁいい、これはライブDVDのダイジェストだ。ダイジェストなだけあっていいところをかいつまんである。
これでだいぶFRAGILEのヤバさがわかっていただけると思う。FRAGILEはライブでこそ本領が発揮されるバンドだ。ひたすらノレない、ひたすらやかましい、たとえベースソロだろうが後ろで傲慢に叩き続ける菅沼孝三さんはもうさすがとしか言いようがない。
これ以上ライブが気になる方はAmazonで買ってみるといいだろう。一度見るとしばらく見なくてもいいやという気分になる。胃もたれ必至だ。
でも正直、参考にはならない
いかがだっただろうか、神々の遊戯は。音の洪水、リズムは怪奇、アンサンブルは二郎のよう。
Dave Weckl Bandのようなオシャレ演奏を期待していた方がいたら申し訳ない。こんなかんじだ。
ちなみにお気づきの方も多いと思うが、冒頭で「そんなあなたにご紹介」と軽いノリで紹介したFRAGILEであるが、こんな音楽真似したら日本では絶対に売れないと思う。
もちろんリズムトリックがダメというわけではないがアクセント程度に入れたほうが大衆ウケしやすいというものだ。(大衆ウケするような要因はいくつもあるため一概には言えないが)
何やってるかわからないと「スゴイ」よりも「気持ち悪い」という感想が出てくるしね。
大衆音楽にまとめ上げるならあくまでもリズムトリックは「ごはんですよ」くらいに抑えるといいと思う
FRAGILEはたとえるならこんな感じ
なんとなく言いたいことは伝わったと信じる
まぁ世の中にはこんな音楽があるのだと頭の片隅にでもおいていただければと思う。
なにか行き詰まった時にもしかしたら役に立つかもしれない
いや、ないか