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いつまでたってもサカナクションの新アルバムがでないのは新宝島のせい

 サカナクションの新アルバム全然でないですね。今年春くらいに言ってた3作品連続リリースとは一体何だったのか。

 もしかして勘違いしてたのは僕の方だったのではないかと思い、再度調べてみたところ

「春フェスが始まり出す頃にリリース予定のニューアルバム」

 という本人コメントが見つかった。

 2018年も寒露を過ぎ秋も深まって参りましたが、いかがしてるのかな?2019年の春の話だったのかな。そろそろ音楽界の冨樫とか言われちゃうよ。今年で10周年だったけど、言い換えればバンド活動の半分の間アルバムを出してないことになる。ヤンママなら10年あれば9人は産むぞ。

 取り乱した。とにかく新アルバムは出なかったし、今のところ目立ったアナウンスもされてない。これが事実だし俺は早く新アルバムを聴きたい。それが全てである。サカナクションの、新しい作品を、聴きたい、ピュアネスな、ファンである。

 

 何故いつまでもアルバムがでないのか?答えは簡単だ。多分みなさんも記事を開く前から頭に浮かんでいたと思う。サカナクション、もとい山口一郎が完璧主義が原因だ。

 完全に偏見だけど、顔つきに完璧主義がにじみ出てるもんな。忙しい朝でも納得のいくコーヒーが淹れられなかったら容赦なく捨ててそう。彼の頬のコケ具合をみてるとそういう日常が透けて見える。

 とまあ完璧主義が原因なのはみなさん承知の上だと思うが、それにしても遅くないかと思っているはず。ということで今回の記事では、その完璧主義を掘り下げていこうと思う。

代表曲を更新し続けるバンド

 中堅クラスのバンドで特に顕著だが、一番売れた代表曲のイメージが強すぎて逆にその曲に呪われてしまうバンド、というと幾つも例が浮かばないだろうか。踊ってない夜を、知らないだろうか?

 ああいうバンドがもう一発当たる曲を中々書けないのは日本のシーンに理由があると思う。簡単に言えばキャッチーなイントロ、Aメロ、Bメロ、そしてキャッチ―なサビ、といった具合で日本で売れる曲はフォーマットが決まっているのだ。

 コード進行だって勝負曲に使えるようなもの、というとあらかた決まっているし、もう一発当てようと思うと大体似たような曲になってしまうのである。かといって似たような曲ばかりやっていると飽きられてしまうし。というジレンマがあるのだ。

 あと売れる曲を書こうと思って書けたら。一定の法則があってそれに則るだけで良い曲が書けるなら。世界中がミュージシャンだらけになってしまうしな。

 


サカナクション - 『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』

 そう考えるとサカナクションは上手に代表曲を更新してきたバンドだと思う。

 MVがバズって一般に名前を知らしめたアルクアラウンドから、暴力的なキャッチーさで勝負を仕掛けてきたアイデンティティ。僕としてはあれくらいのタイミングで息切れしそうな予感がしていたが、予想を裏切って『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』が出てきたし、日本人相手に売り込むときの最適解を使わなくとも、代表曲になり得るということを証明してきた。

 その後も夜の踊り子、さよならはエモーション、そして新宝島と常に代表曲を更新し続けてきた。しかも、一般的なポップスとは言い難い、挑戦的な作風の楽曲でだ。

 アルバム単位でも元々クオリティが高いバンドだったけど、並べて聴いてみるとリリースする度に次のステージに進んでいるのがわかる。本当に、毎作品進化し続けている。

 

 とまあ、新アルバムが中々でない理由の一つはこれじゃないかと思うのだ。完璧主義だし、他に例を見ないほど音楽に対して真面目。だからこそ、常に最新のサカナクションが最盛期のサカナクションという状態を維持してこれた。

 その結果ハードルが上がり過ぎたのではないかと思うのだ。

 単純にスキルが上がれば出来ることも増えるし、今まで気にならなかったようなことも気になるし、一つの曲に足して試すアイデアの数も増えていく。そういう意味で今まで以上に時間が掛かるのは当然のことである。

 だが、それ以上に新宝島の存在がデカいのではないかと。あの曲の出来が良すぎたし売れすぎたせいでハードルが上がり過ぎてしまったし、サカナクションは律儀に正面からそのハードルを乗り越えようとしているんじゃないかと思うのだ。

 

新宝島の出来が良すぎた


サカナクション - 新宝島

 改めてちゃんと聞いてみたが、凄まじい完成度だと思う。

 出だしのレトロで実験的なシンセリフとそれを最後に伏線回収するところ、印象的なリフの多さ、メロディーのキャッチ―さ、ロックバンドとしての高揚感、ロックとクラブ音楽の融合のスムーズさ。

 音楽的な面でもこれ以上ないというくらいの完成度だが、個人的には一見シンプルに見える歌詞もとんでもないと思う。

 歌にした時の音のノリの良さも完璧だし、無駄なラインの無さも凄い。「描く」ということと「歌う」がリンクするテーマ、タイアップの映画の内容とのリンクもそうだし。

 元々歌詞の文字量があまり多くないサカナクションの曲の中でもさらに少ない方の曲の中に様々な要素をぶち込んで、なおかつそれがパズルのピースみたいに完璧にはまっている。

 どこか1ライン1単語でも変えたり、足したり引いたりしても台無しになってしまうような、危うさまで感じるほどだ。新宝島を英語詞で歌ったカバー曲にイラっと感じている人が多いのも、元の完成度の高さがあったからだと思う。

 異常なほどの完成度の上、さらにセールスの方もしっかり上がってしまった。リリースされた2015年は正真正銘その年の顔になっていたし、10年代全体でみてもこれに匹敵するのはほんの一握りだけ。

 ハードルが上がらないはずがない。プレッシャーはもちろんないことはないと思うが、それよりも楽曲の完成度。完璧主義のサカナクションが、一度自分たちで生み出したもの以下のものを良しとするはずがない。

 新宝島についての記事をみる限り完成までに相当苦労したみたいだが、恐らく新宝島以降の曲は全部その水準で作っているんだと思う。現に新宝島を機にリリースのスパンはどんどん長くなってきたし、アルバムづくりに時間が掛かっているのも、山口一郎の頬に落ちる影が年々色濃いのも、全部合点がいく。

 

多分新アルバムは一度完成していて、もう一度作り直してる

 先ほどまでは曲の水準が上がり過ぎて時間が掛かっているという話だったが、少し掘ってみたら別の原因も見つかった。

選曲もいろいろあったのよ。新しいアルバムを出すにあたって、シングルが6曲あるの。だから本当はこのベストアルバムにシングルを6曲入れちゃって、まっさらな気持ちでニューアルバムを作ろうと思ったんだけど、5年間で作ってきたシングルをなかったことにするのは自分的には無しだなと思って。そのシングルの中からベスト盤にはもちろん何曲か入れるんだけど、新しいアルバムには、そのシングルにプラスした新しい曲で構成して、その次のアルバムから、ファーストアルバムやセカンドアルバムを作るような気持ちでいけたらなと思っています。

SCOOL OF LOCK - サカナLOCKSより引用

 こちらは今年の初めごろのサカナクションのラジオ番組の中での新アルバムについてのコメント。

 これを見る限り、一旦完成の目途が立ってたんじゃないかと思う。3作品連続リリースのくだりも春にリリースするってのも、恐らくそれありきの話だったのだと。でも結局妥協したくなくて白紙に、みたいな感じじゃないだろうか。

新しく作っている曲もすごく地味だから、みんなが聴いた時にどう思うかはわからないけど、次に出るアルバムを愛してくれる人たちはきっと今後もずっと自分たちを応援してくれる人なんじゃないかと思う。
SCOOL OF LOCK - サカナLOCKSより引用

 凄く納得いってなさそう…。

 このシングルを入れる入れない問題もアルバムが出ない原因なのではないだろう。

 シングルはなかったことにしてアルバムにいれないのは嫌だ、でもシングルを全部入れると半分以上が既発表曲になってしまう。どっちをとっても完璧にならない。

 ここで直接話に上がっていなかったが新宝島の扱いも大変なんじゃないかと思う。新アルバムに入れないパターンにすると、バンド最大のヒット曲がシングルかベストでしか聞けないという状態になる。後々のことを考えるとちょっとすっきりしない。

 でも逆に入れたとするとアルバムのメインが新宝島になりかねない。まだリリースされたばかりの曲ならともかく、発表から3年経った曲がアルバムの顔になるみたいな状況、あの山口一郎が納得いくはずがない。かといって他に顔になるような曲が…。個人的には多分、風。も新宝島と同じくらい良いと思うけど、世間の認知度を考えるとどうしてもね。

 とまあここでも結局、新宝島の存在がでてくると思うのだ。

 たらればの話だが、新宝島がなければもっと早くアルバムは出ていたような気がする。未収録のシングルが6曲もあったりする状況にもならなかっただろうし。

 

楽しみにしてます

 ということで長くなったが、新アルバムがいつまでもでない理由はこんなところだろうか。

 ニルヴァーナのスメルズしかり、ヒット曲というやつは時にバンドの運命を狂わせてしまうものだが、サカナクションもそんなバンドの一つなのではないだろうかという話だ。

 で、結局いつでるんだろうか。僕の書いた話が合ってれば、多分もっとかかりそうな気がするけど。

 個人的にはそろそろ待つのに慣れてきたころなので、納得いくまで作くりこんだ最高の作品を聴かせてもらいたいなと思う。本当に、楽しみにしている。

 というわけで今回はこのあたりで。

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